英国王室御用達の証、ロイヤルワラントってなに?

  • 2021.10.26  2020.09.11

よく耳にするけれど、実際詳しくは分かっていないこの言葉。その出自から歴史、こぼれ話まで。知ればタイトルホルダーの英国ブランドをもっと好きになる!

教えてくれた人・・・「ブリティッシュ イクイップメント パブリッシング」オーナー・マサキさん

英国アイテムのみを扱う恵比寿の名店、ブリティッシュ イクイップメント パブリッシングの頭。英国の豊富な知識やマシンガントークは業界屈指。年中ショーツ、が基本。

王室御用達の歴史は1155年にさかのぼる。

ロイヤルワラントと聞くと、おそらく堅いイメージを持つ人が多いのでは? 実は、仰々しく考える必要などありません。なにせ王室御用達アイテムは、いわば王室の私的な愛用品のようなものですから。

英国ロイヤルワラントの歴史は古く1155年までさかのぼります。発端は、ヘンリーⅡ世が、狩猟用の衣類等を提供していたThe Weavers’ Company(生地屋の組合)に与えたRoyal Charter(公式勅書)。衣服が最初であったことからも推測されるように、王族たちが気に入った商品に与える、という図式は今も変わらぬロイヤルワラントの本質といえるでしょう。

ヴィクトリア朝時代には2000件!?

ロイヤルワラントという呼び名になったのはジョージⅣ世の時代から。その後1840年にロイヤルワラントホルダー協会(王室御用達協会)が設立され、無許可での使用を禁止しました。

ヴィクトリア女王が統治していたヴィクトリア朝時代には、安価な輸入品から英国の優れた産業事業者の利益を守るという名目で、2000件以上の認定が出されています。しかし、そのほとんどは王室への献上業者とも。このことからも、いかにヴィクトリア女王が大きな権力を握っていたかがわかるでしょう。

基準は、英国の象徴として存在感を放てるか。

現在は、エリザベス女王、その夫のエディンバラ公、息子のチャールズ皇太子の3名がロイヤルワラントを認定す
ることができます。その数は、企業、個人を合わせて800以上。

とはいえ、厳しい審査基準は当然ありますし、それらをくぐり抜け最低でも5年連続商品、またはサービスを供給できなければロイヤルワラントの保証書は与えられません。まあ、ロンドンのコーヒーショップ、H.R.ヒギンズは、ちゃっかり3年で貰ったりしていますが(笑)。

とにかく、それらを経てRoyal Arms(紋章)を商品や店先に掲げる権利を得られるのです。しかも先述したロイヤルワラント協会による5年ごとの厳しい再審査があり、その結果では与えられたロイヤルワラントを失う場合も。

不明瞭な点もありますが、英国王室が認めたアイテムは、英国を象徴する存在であること、自信を持って世界へ輸出し英国品質を示す商品であることに限られます。

現在のロイヤルワラント認定者は3人。

権限を持つのは直径の王位継承者のみ。現在はエリザベス女王、エディンバラ公フィリップ、ウェールズ大公チャールズの3名。以前はエリザベス女王の母にも権利があり、4名だった時代も。ゆくゆくはケンブリッジ公ウィリアムもこの中に加わると言われています。

エリザベス女王の紋章

エディンバラ公の紋章

チャールズ皇太子の紋章

3人から認められたファッション界の名門、バブアー。

王室のひとりから得るだけでも非常に名誉なことだが、中には3人全員から認められたところも。その代表として有名なのが、洒落者御用達のバブアーだ。

3人の紋章が入ったタグ

1894年、イングランドのサウスシールズに設立された、英国アウトドア&ライフスタイルを体現するブランド「バブアー」。港湾労働者のために作られた、オイルドクロス製の防水ジャケットの類稀な性能で名声を広め、世界大戦時には英国軍にアイテムを供給するなど数々の実績を残してきた。

その功績が認められ、’79年にはエディンバラ公、’82年にはエリザベス女王、’87年にはチャールズ皇太子よりロイヤルワラントを授かっている。

3つのワラントがつくまでのタグの変遷。

最初期から1950年頃までは、創業地サウスシールズの象徴であるビーコン(灯台)が描かれていた。1951年からは文字だけのロゴへ、1979年にはエディンバラ公より初のロイヤルワラントが授与。それを機に1987年には3つのロイヤルワラントを獲得。2001年~現在、“英国王室御用達” の称号は揺るがない。

1910年

1934年

1951年

1954年

1968年

1979年

1982年

1987年

2001年

ロイヤルワラントおもしろこぼれ話。

ボクらが大好きなファッション以外のモノでも、もちろん王室から認められた逸品は多数存在。明日話せる雑学としても、知っておいて損はない。

【こぼれ話①】スピード狂のエリザベス女王もジャガー ランドローバーに心酔。

エリザベス女王は、ご高齢にもかかわらずつい最近まで自らジャガーを運転されていました。かつてバルモラル城に招いた国賓のサウジアラビア皇太子をランドローバーの助手席に乗せ領地を案内。おしゃべりしながら飛ばす女王に皇太子が、「どうかスピードをお落としください」と懇願したのは有名な逸話ですね。当然、双方の車ともに女王のロイヤルワラントホルダーとして知られています。

【こぼれ話②】その数なんと200個以上! エリザベス女王の“おきに”なブランド。

エリザベス女王が、ロイヤルワラントとして認定してきた企業や個人、ブランドは数え切れないほど。その種類は、服飾、ジュエリー、食品、雑貨など多岐にわたります。でもおそらく、彼女がもっとも好意を抱いているブランドはきっとロウナーでしょう。なにせ、アイテムを200個以上も所持しているらしいですから。間違いないです。

ロウナーとは?

創立70年以上を誇る老舗バッグブランド。1960年代に英国王室御用達ハンドバッグメーカーとして、エリザベス女王に認定を受けて以来、女王陛下のお気に入りアイコンとして、品質はもちろんそのスタイルを磨き上げてきたハイクオリティなブランドだ。

【こぼれ話③】酒メーカーが多いのは酒好きのあの人のおかげ!?

英国王室御用達ブランドの中でもお酒は、ジョニーウォーカーやタンカレーなど実に豊富。そういえば、現在、認定者は3名ですが、以前にもう一人いたことは知っていますか? 現エリザベス女王の母、エリザベス・ボーズ=ライアンです。彼女は無類の酒好きでした。まさか、お酒メーカーが多いのは……。

ジョニーウォーカーとは?

斜めに傾けたラベルでも有名なスコッチウィスキー。ジョニー・ウォーカー・ブルーラベルは、究極のスコッチウィスキーとも。

タンカレーとは?

4度の蒸留によって生み出されるすっきりとした味わいは格別で、時に“ジンのロールスロイス” と形容されることもある名ブランド。

【こぼれ話④】高級ブランドだけでなく、実はこんな日常品も。

オースチンリードやバーバリー、ジェームス・ロックなど、英国王室御用達とくれば、老舗の名門や気品にあふれた高級ブランドなどをイメージしがちですよね。しかし、フルトンのビニール傘やハインツのトマトケチャップ、日本でもお馴染みとなったシュウェップスも実はロイヤルワラントホルダーなのです。

シュウェップスとは?

英国で230年以上も親しまれてきた老舗で、世界初の炭酸飲料ブランドともいわれている。1839年には英国王室御用達のソーダメーカーとして認められ、今や世界中で愛されている。

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部