ショールームを兼ねることで、低価格が実現しているのかも
我々のような日常的にパソコンやタブレット、スマホを持ち歩く人種にとって都市部の『カフェ』は、サードプレイス的な仕事場所で、充電スポットでもある。しかし、エリアによっては、または人によってはカフェは休息場所であり、憩いの場所であり、コミュニケーションの場所であるから、『カフェで仕事しないで欲しい!』と思っている人もいるだろうし、時にそういう軋轢も起こる。
東京だと、カフェでパソコンを開くのが当たり前になっているが、地方に行くと「キーボードの音がうるさい!」という目線を感じたりすることも、このあたりは地方によって温度差がある。
仕事をすることがなんとなく許容されている都心部でも、充電設備のあるカフェもあれば、ないカフェも、中には設備があるのに封印されているカフェもある。長時間滞在されると、回転が悪くなり収益率が下がるであろうことは想像に難くない。
しかし、モバイルバッテリーで知られるAnkerのカフェであれば安心して仕事や充電に使えるに違いない。オープンしたばかりの1号店に取材にうかがった。
先の記事にも書いたが、ゆっくり充電されると客の回転率は下がる。つまり収益率も落ちる。しかし、350円のコーヒーだけでなく、たまに5000円のモバイルバッテリーや電源アダプター、ケーブルなども売れるというのであれば収益率の低下は十分カバーしておつりが来るだろう。Ankerのアンテナショップとしての役割も果たすというわけだ。
Anker Storeは2018年に1号店がオープンして以来、いまや全国に35店舗を数えるに至っている。モバイルバッテリーも電源アダプターも、元は我々ガジェットマニアの使うものだったが、今やスマホを持つすべての人に必要な、デジタル時代の『米(こめ)』的存在である。
しかし、コンビニや家電量販店、果てはディスカウントショップなどでも、まだまだ低品位なバッテリーも数多く販売されており、Ankerのような高品質なバッテリーの存在、果てはAnkerのブランドも、しかるべきユーザー層(つまり全スマホユーザー)に知れ渡ってるとはいえない。だから、タッチポイントはどんどん増やすべきで、そこに『Anker Store & Cafe』の存在理由がある。
電通本社ビルの真下、汐留駅からの入り口の横
ともかく、第1号店舗を御紹介しよう。
場所は、地下鉄大江戸線の汐留駅から、電通本社ビルの下にある複合施設カレッタ汐留に入る地下2階の入り口のところにある。これ以上ないアクセスの良さだ。
店舗入口には、Anker製品がズラリと並ぶ。
我々ぐらい取材でいろんな製品に触れる機会があっても、自分が使うバッテリーやケーブルを選ぶ時に、実際に手に触れて、サイズ感や重さを体感できるのは嬉しい。しばらく触ったら、誰でも2つ、3つの製品を買ってしまうのではないかと思う。
驚くほど美味しい料理。これもAnkerクオリティ
店内スペースも紹介したいが、先にフードをご紹介しよう。
まず筆者のお勧めは(全部食べたわけではないが)ハムサンド(790円)だ。
サイトやメニューの写真を見るとさほど魅力的には見えないのだが、実際にはフランスパンのようなハード寄りのパンの香ばしさといい、ハムの美味さといい大満足だ。ぜひカフェラテと一緒に食べていただきたい。美味しい。
バターチキンカレー(甘口)(990円)も食べたのだが、これも十分美味しかった。
場所柄、周囲のお店ではカレーは1300円ぐらいなので、割安感さえある。
ホット/アイスのカフェラテ(490円(Lサイズ。Mは440円))を飲んだがどちらも美味。
カフェラテも安いが、コーヒーは350円からということで、場所柄を考えると非常に安い。やはり、バッテリーなどを売ってるストアの収益を見込める点が影響しているのだろう。
次に行った時は、エッグサンドやチキンカレー(辛口)、ケーキなども食べてみたい。また、グルテンフリーな人が関係者にいるのか、サラダチキン中心のプロテインプレート(990円)、ライスヌードル(890円)というメニューがあるのも気になった。
また、Ankerが作っているオリジナルの『急速充電エール』というクラフトビールも販売しており、ナッツと一緒に一杯やって『チャージ』することもできるようになっている。
今後、多店舗展開していくにしても、このフードとドリンクのクオリティは、ぜひ落さずに続けて欲しいなぁ……と思う。
複数デバイスを充電しながら仕事ができる
さて、本題であるはずの、充電設備としてのお話をしよう。
各テーブルには、AC電源に加えて、2本の充電ケーブルと、机に埋め込み式の非接触充電器が備え付けられている。充電ケーブルはUSB-Cが2本出ている席と、USB-CとLightningが出ている席があったので、座る際には自分のデバイスに合わせて選ぶようにしよう。
電源ケーブルをたどると、65Wの充電器に繋がっていたので、iPhone、iPad、MacBook Air、M4のMacBook Proぐらいまでなら楽々。
公式情報によると、USB-Cは単ポート最大65W、Lightningは20W。2ポート同時使用時はUSB-Cが45W出力になるとのこと。多くのビジネスマンはこのスペックがあれば大丈夫……という想定とのこと。
ACコンセントもあるので、MacBook Pro 16インチなど、大電力があった方が嬉しいデバイスの場合は、自分でAC接続のアダプターを持ち込んだ方がいいかもしれない。
非接触充電器は机の上にシールが貼られている部分に埋め込まれている。AnkerのQi2対応マグネット式ワイヤレス充電器が入って要るとのことで、対応したiPhoneであれば最大15Wで充電可能。
電源供給の不安がないと、安心して仕事ができる。もちろん、十分な速さで接続できるWi-Fiも完備されている。
ビデオ会議と、4人までの対面会議も可能
3部屋の1人用ビデオ会議ルーム(160円/15分)と、1つの4人用の会議室(480円/15分)も設けられている。外出先でビデオ会議に出ないといけない状況は少なくないので、これはありがたい。1人用の部屋は1時間使っても640円という価格も嬉しい。4人用の部屋も会議室としては破格値だろう。
もちろん、それらの部屋にも充電デバイスは設けられているし、ヘッドフォンやミーティング用のスピーカーもある。ある意味、ショールームでもあるのだ。
これらの会議室は、Anker公式アプリからの予約制。すぐに満室になる日が来るような気がするが、それまでは活用したいと思っている。アプリから事前に空室状況が見られて、予約しておけるのも嬉しい。
大電力が必要なVision Proの利用にも最高
総じて、我々のようなノートパソコンを持って歩く人種にとっては素晴らしい場所だといえる。
今後、反響をみつつ出店を検討したいとのこと。全国の駅前に出来て欲しいが、この価格、このクオリティでは、常に満席になることは間違いないと思えるので、その点だけが心配だ。
電源があるからと、ずっとそこで仕事や勉強をする人が増えたらさすがにルール作りも必要になるのではないか……と、まだ起こってない事象まで心配になってしまう。それのぐらい使いたい場所だ。
仕事するのが前提の場所だと思うと、Vision Proのようなデバイスも使いやすい。実際に使ってみたが、今のところ誰も注目したりはしなかった(あえて目を逸らしていたのかもしれないが)。Vision ProとMacを一緒に使うと、電源なしに長時間使うのは難しいので、そういう意味でも素晴らしい場所だ。
筆者が、ここでVision Proで仕事をしていたとしても、ぜひスルーしていただきたい。
(村上タクタ)
関連する記事
-
- 2025.05.28
相変わらず業績好調なAnker新製品発表。次なる一手は『Anker Cafe』
-
- 2024.11.21
福島県白河市にある、バッティングセンター横の「ボクらがつくったファミレス」
-
- 2024.11.20
こだわりソーセージを使ったホットドッグが売りの横浜にある「23cafe」ってもう行った?