エコな取り組みもバッチリなスウェーデンのスーパー
異国のスーパーに入るのはちょっと怖いかも!? いえ、入ってみてください。スウェーデンのスーパーは楽しくてカラフル! 人に寄り添ってくれるから、どんな食生活を送っても頼りにできる。 わたしは、スウェーデンに帰るとき、必ず「ヘムシェープ」に行きます。
このスーパーは、2005年に「アクスフード社」が「スパール」と「ヘムシェープ」を合体させ、2012年には全国に180店舗を誇るフランチャイズになりました。広い敷地面積に、日本と比べると余裕のある通路。野菜や果物の並べ方がカッコいい、そして環境への配慮を感じます。
果物はパッキングされてなくて、プラスチックを無駄に使わない。わたしは日本に来たとき、バナナがビニール袋に入ってるのを見て驚きました。え?バナナにはもう皮が付いてるのに……と。一房を買うのもいいけど、房を手に取って、1本だけもぎ取って他を戻す。自分が食べられる分だけを買う。ひとり暮らしならリンゴひとつだけでも買えます。この買い方はフードロスにつながりますね。
また、パッキングされていないことはプラスチックやゴミ問題だけでなく、人のためにもなります。ランチ時のサラダも、できあがったものではなく、自分の好きな量を取る。
店内を回って見ると、日本人にとって「これは一体何かしら」と思ってしまうものも多いかもしれません。ですので、私のお気に入りを紹介しますね。
地元ピープル御用達の食品、お菓子をゲットしよう
ここからは私のお気に入りたちです。もちろん日本には持って来られないものもありますので、現地で食べてみるバージョンとお土産として抜群で日本に持って来られるものを、カゴ別でご紹介します。
「Örtsalt」(オルツサルト)はテッパン土産で、わたしの周りのみんなが大好きなハーブソルト! このハーブソルトに出合ってしまったら、なかなか他では物足りない。10種類以上のハーブがブレンドされて、なんともいえない美味しさ。日本のお友だちに「買ってきて」とよく頼まれます。入れ物が結構大きいので、近しい方なら分けてもいいかも。なぜなら、日本の湿度だとしばらく置いておくと固まってしまうこともありますので、小袋に入れてあげるのもグッド。トマトに、肉に、魚に! わたしはお酒を飲むときこれを舐めます(笑)。
続いてスウェーデン人の定番のお菓子、アールグレンの「bilar」(ビーラル)。これは、クルマを複数で言うときの言葉。袋にも書いてあるコピーは「スウェーデンで一番売れてるクルマ」。これだけ一袋に入ってたらそうなりますね! 1953年、アメリカのマシュマロみたいなお菓子を作りたくて真似をしてみたものの、小さくて硬くなってしまった……。でも、味は美味しいし、失敗した形が車に似てることから改良して正式に販売。 マシュマロとグミの間の感触です。スウェーデン人ぶりたいなら、クルマをひとつ手に取って引っ張って伸ばしてください。そして一言放つ。「私のはリムジンだ」と。スウェーデン人の間の小粋なギャグです(笑) 。
「POLKAGRIS」(ポルカグリース)は昔ながらのペパーミント飴です。1883年からポピュラーになった、金太郎飴みたいなイメージの飴かな。長〜い状態を作って、切る。赤と白だから日本人にとってはめでたい感じもしますね。
「GOTT&BLANDAT」(ゴッツ・オック・ブランダツ)はいろんな色のグミ。味も日本人の口にも合うフルーツ系。
「Djungelvrål 」(ユーンゲルヴロール)はちょっとした曲者です。リコリスです。薬草の味で日本の食べ物に似た味がないため、みんなまずいと言って吐き出します。でも、そういうのもちょっと面白かったりします。今まで わたしは200人の日本人に食べさせてますが、美味しいと言ったのは4人かな。
滞在中はここでしか食べられないものをゲット!
現地にしばらくいるならば、「köttsoppa」(シェットソッパ)=お肉のスープを試してほしい。缶を開けてお鍋に出して同じ量のお水を足して沸かすだけ。塩分もほど良くて、前の日に食べ過ぎたときにも抜群。簡単だしね!
「LEVERPASTEJ(レーヴェルパステイ)は柔らかいパテです。朝ごはんのときにパンに塗るのがポピュラーです。これを塗る前に、マーガリンもしっかり塗ってね。合わさったパテの苦味とマーガリンの甘味がよく合います。
そしてそして! スウェーデンへ行ってこれを食べてなかったら、残念〜。「 KALLES KAVIAR」(カッレス・キャビア)はどの家庭の冷蔵庫にも100%入ってます! パンにはもちろん、ゆで卵にもぴったり。え? キャビアって高いでしょと……と思ったあなた。ご安心ください。スウェーデン人は魚の卵をキャビアと言います。グニュっとチューブから出すと、イメージ的に飛びっ子とマヨネーズを混ぜた感じ。材料はタイセイヨウダラの卵、砂糖、塩、すり下ろしたジャガイモとトマトピューレこのカッレス・キャビアの製造元は「アバシーフード社」という会社で、カッレスは1950年から新聞広告を掲載し、笑顔の男の子のイラストと抜群の味は瞬く間に人気に。今は「カッレス」という商品名になり、2022年にはヴィーガンタイプも発売。流石のこだわり。
アバシーフードと聞いて、「おや!?」と思ったあなたはさすがです。 スウェーデンが誇るポップグループABBAのマネージャーさんがみんなの名前を呼ぶのが面倒で、頭文字だけを取ってABBAと呼ぶようになったとき、こちらのキャビアのアバ社に電話したらしい。名前を使っていいのかどうか。明らかにキャビアのABBA社が知名度ありましたからね。ABBA社は快くオッケーし、言うまでもなく相乗効果! ちなみにアバ社は魚介類を専門として、缶詰を作ってます。お魚のツミレをロブスターソースやディルブイヨンも温めるだけなのでずっと愛されてます。
FELIX社のラビオリもトマトソース味で絶品。これも……温めるだけ! 気づきましたが、スウェーデンに住んでたら料理ができなくても楽チンに暮らせます!
「WILD CHIPS」はヘラジカのビーフジャーキーみたいなもの。ジビエが例え苦手でもこれなら大丈夫なのでは? 牛乳やバターのセクションも豊富で昔から脂肪分で分けられてます。200ccに対してライトミルクは1グラム、ミドルミルクは3グラム、そしてレギュラーミルクは6グラム。自分の身体や健康を考えて選ばれています。
マーガリンやバターには乳製品もありますが、アレルギーの方向けに菜種油のものも豊富に揃ってます。
これは、魚を注文するときに発行されるQRコード。これがあるから列に並んで待たなくてもいいシステムです。
ケーキにお花になんでもそろうからパーティーもおまかせ
前回はキャンディショップ「カラメラ」を紹介しましたが、 そこでお話ししたように、スウェーデン人は甘いものが好き! だからヘムシェープにもキャンディ量り売り場があります。 ホールケーキも菓子パンもたくさんあります。フィーカ文化はやはりこうしたところに出ますね。日本でしたらショートケーキのひとり分ならスーパーにもありますが、ホールが何個も積まれてます。そして売れます。
お花も日常の中では当たり前なので、広めのお花売り場も。フラワーショップの営業時間は夕方までのところが多く、こうして売られると助かります。わたしも自分のウェディングブーケをスーパーで買ったバラで手作りしました。
このほかにも紹介しきれない日用品などもあります。 外国人はワゴンいっぱい買い物するイメージがあると思いますが、それは昔スーパーの閉店時間がとても早かったから。わたしが小さい頃、スーパーは18:00で閉店。自動販売機もなく、家に飲み物がなかったら水道水。それも美味しかったけどね! でも、自分や家族のためにもいつでも冷蔵庫をいっぱいにしたいもの。1週間分買わないといつ買い物が出来るのかはわからない。こうしたヘムシェープみたいな大型スーパーは平日朝7:00〜夜11:00まで開いてますので、かなりありがたい。スウェーデン人は家族と過ごすことを大切にしてるので、クリスマスイブは16:00までだったり、お正月も店舗によっては早く閉まります。
いよいよお会計。ちょっとドキドキするかもしれないけど、セルフレジと有人レジもあります。袋が必要なら積まれてますので、自ら取ります。もちろん再生紙。このヘムシェープではもらったレシートを出口のところで読み取って、門が開く。こんな素敵なスーパー、一度入るとずーっといられます。この原稿を書いていたら、 買い物に行きたくなりました!
では、次号のスウェーデン最新情報もお楽しみに♪
撮影/黒澤義教
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