2000年代から様々な軍モノが解明された。
渋谷区の富ヶ谷にある人気ヴィンテージショップであるミスタークリーン。オーナーであり、バイヤーを務める栗原さんは、アメリカで日本人バイヤーが立ち寄らないような場所を独自で開拓し、これまで何度も奇跡的なバイイングを達成したゴッドハンド。
メディアやSNSなどを通じて、ミリタリーに関する情報も発信しており、そのセンスや目の付け所は各所から注目されている。そんなミリタリーのスペシャリストでもある栗原さんに、ここ30年のヴィンテージミリタリーにおける動向を伺った。
「’94年は17歳で前職のロストヒルズへ入社する前でしたが、もう古着は買っていました。当時のヴィンテージブームは今の市場と比べて非常にシンプルで、デニム、スウェット、フライトジャケット、スニーカー、アロハシャツとわかりやすいものが主流。
ミリタリーにおいては、ナイロンフライトジャケットの王道であるMA‒1やM‒45チノパンの人気があったくらいで、あとは映画『トップガン』の影響でG‒1や、一部のマニアの方たちがA‒2に熱狂していた印象です。
’90年代後半になるとコーネリアスの小山田圭吾さんなどがECWのゴアテックスパーカーを着たことで、近代のミリタリーウエアにも注目が集まります。またストリートブランドなどの影響もあって、N‒3Bなどのナイロンフライトジャケットが現行でも人気が出て、ヴィンテージでも注目が集まったり、いわゆる元ネタとなったものが高くなるのもミレニアム以降は強くなっていった印象ですね」
2000年代初頭になるとエディ・スリマンのディオールなどの影響もあり、大きなシルエットの古着は冬の時代に。その一方で人気ブランドがモチーフとした古着にも注目が集まるようになり、様々なジャンルのミリタリーが開拓されていく。
「モッズパーカーやベトナム戦争のジャングルファティーグなどが人気を集めたのもこの頃から。あとは2000代半ばあたりからパタゴニアのMARSを筆頭に様々なアウトドアブランドが、ミルスペックを製造するようになり、近代装備がより注目されるようになったのも特徴です。
2000年代後半になると雑誌や人気ブランドの影響もあって、USネイビーなどが注目され、戦前のミリタリーも解明されていきました。また2010年代にはSNSが台頭したこともあり、情報が爆発的に増えて、新旧問わず、珍しいテストサンプルの価値が高騰しました」
ここ30年間で市場変動の激しかったミリタリーアイテムとは?
栗原さんにここ30年で盛り上がったアイテムをピックアップしてもらった。現在の第二次ヴィンテージブームも手伝って、今でもなかなか手の出しづらい価格になってしまったものも多数ある。
US AIR FORCE G-1
米国空軍のグランドクルーの誘導員に支給されていた通称ラインマンジャケット。その個性的なヴィジュアルから様々なブランドで元ネタになっていたことでも有名。近年行われた著名デザイナーのプライベートコレクションのオークションにて9000ドルで落札され、高騰した。私物
CHAMPION リバースウィーブ
近年、盛り上がっているリバースウィーブの中でもミリタリー系のプリントは高騰。その中でも象徴的なのが、この米空軍士官学校のリフレクタープリント。’90年代は手の出しやすい値段だったが、今では高値に。16万5000円
US AIR FORCE N-3
N-3AやN-3Bの前身モデルとなるN-3。パイロットではなく、航空機搭乗員用に製作されたヘビーゾーン用。生産年数が短く、弾数も少ないため、後継に比べるとプライスも高い。レザーのオキシジェンタブも特徴。19万8000円
US MILITARY ECWCS LEVEL4
米軍で採用されている拡張式寒冷地被服システムであるECWCSのウィンドシャツのテストサンプル。近年のマーケットでは、希少なテストサンプルの高騰化が著しく、SNSの影響もあり、かなり解明されている。私物
Patagonia MARS DAS PARKA
Military Advanced Regulator Systemの頭文字を取ったMARSは、パタゴニアが米軍へトライアル用に製造したライン。その希少性から高騰しており、特にダスパーカは人気が高い。私物
(出典/「Lightning 2024年5月号 Vol.361」)
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