最高級素材を使って徹底的に作り込み再構築したM-48。
「今回、M-48をベースにしたのは、その作りのおもしろさです。M-51とM-65のパターンは直線的で、端的に言うと自転車カバーのようにざっくりと覆うようなオーバーコート。でもM-48は、袖が立体的に付けるなど、昔ながらの紳士服の作りを踏襲しているんです。それならM-48をラグジュアリーな素材で再構築してみようと思ったんです」
デザイナーならではの鋭い視点で解説する小林さん。当作はその本質を崩すことなく素材からパターンまで徹底的に作り込んでいる。
「今回のキモは、カリビアンシーアイランドコットンですね。生産量が決まっているため、協会の会員にならないと使うことができない素材なんです。そんな最高級素材をオリジナルと同じアプローチでサテンに。また色に関しては、テストサンプルなどで幻の個体も多いネイビーに仕上げました」
知っておきたいモッズコートの変遷。
U.S. ARMY M-1948
1948年に採用されたフィッシュテールコートの元祖。M-51の前身であるが、袖のポケットや立体的なアーム、内側のウールライニングなどが当モデルの大きな特徴。採用期間が極めて短く、現存数も少ない。
ショルダー部分にダーツが入り、左袖にはポケットが付くなど、M-48ならではのディテールが光る。インナーはウール。
U.S. ARMY M-1951
M-48は重厚なウールのライニングが付くため、かなり重く、兵士たちから不満があった。その問題を解消するために、ライニングを変更し、軽量化。英国でモッズたちが払い下げ品を愛用したことでも有名。
着脱式のライニングの他に、パーカ部分のファーも取り外しが可能である。年代によって裏地や表面の素材が異なるのも特徴。
U.S. ARMY M-1965
近年、人気の高いM-65のフィールドパーカは、前作と比べてキルティングライナーに変更され、パーカが取り外しできるように改良された。またアームホールなどが細くなり、合わせやすいのも人気の理由だ。
パーカー部分が取り外せるようになったのも大きな特徴。またジャケット同様にコットンナイロン素材に切り替わっている。
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※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2024年1月号 Vol.357」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/T.Furusue 古末拓也
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