名実ともに「塊根植物のエース」。パキポディウム・グラキリスは知っておいてください。

昨今、まだまだ増殖している塊根植物愛好家。ずいぶん前から塊根植物の魅力に傾倒し、自身のセレクトショップを立ち上げたときに趣味が高じて塊根植物も販売し始めてしまったというオーナーが、すでに塊根植物の「沼」にハマッてしまった人や、初心者で塊根植物を育ててみたいと思っている人にもやさしくお届け! 塊根植物の紹介や、育成のコツ、それに塊根植物にまつわるツールや雑貨などをゆるーく記事にしていきます。

今回は塊根植物になかでももっともメジャーな王道ともいれる品種、パキポディウム・グラキリスを紹介します。

塊根植物という名前を広めた立役者。

ここ数年のブームともいえる塊根植物の高い人気。その人気を牽引し、塊根植物という名称を広めた立役者と言っても過言ではないのがこのパキポディウム・グラキリス。塊根植物をまだ育てた事は無くても、その姿や名前は目にし、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

同じ塊根植物であるオペルクリカリア・パキプスはその貫禄のある樹形と稀少性から「塊根植物の王様」と称されますが、パキポディウム・グラキリスは現在の塊根植物の人気を生み出したエースとも呼ぶべき存在かもしれません。

ボールのような美しい塊根。

グラキリスの名はラテン語の「細い葉」に由来し、生育期には枝先から細長い葉を展開するのも特徴です。たしかに細い葉もグラキリスの特徴ではあるのですが、高い人気を誇る理由はこのボールの様に丸みのある塊根部の形状です。

乾燥地帯に適した進化。

グラキリスをはじめ、パキポディウム属の多くの品種はマダガスカル島の乾燥地帯に自生します。硬い表皮に覆われた塊根部の中は貯水細胞で出来ており、塊根部を肥大させることで、雨が少なく乾燥した気候でも水分を保ちやすい進化を遂げた植物である。ちなみにグラキリスの表皮は白っぽい色をした個体が多いことから、その表皮の色に由来し「象牙宮」という和名が付けられています。

形状や色といった個性も魅力。

「象牙宮」という和名のとおり、白っぽい肌をした個体が多いのですが、中には緑がかった肌や、赤みの強い肌の個体も見られます。ちなみに画像左の個体は、緑色に近い肌の色をしています。(写真は肌の色がわかりやすいように、撮影時に表皮を多少濡らしています。)個体ごとの形状は勿論のこと、肌の色の違いなどの個性もグラキリスの人気の理由だと思います。

古傷さえも愛おしい。

こちらのグラキリスは成長過程で枝が折れた個体です。折れた傷口は硬く乾いており、折れてからある程度の年数を経ている様に見えます。塞がった傷口の付近には新たな成長点が出てきており、厳しい環境で育つ植物の逞しさを感じさせてくれます。枝折れ一つない綺麗なグラキリスも良いですが、この様な古傷を持った株も愛おしく感じられるのは、長い年月を経て成長した塊根植物の魅力だと思います。

花芽が伸びるとワクワクします

植物を育成する楽しみのひとつが「開花」ではないでしょうか。お店にご来店されるお客様からは「花は咲きますか?」と質問されることが多くあります。多くの人が植物の開花を楽しみにされているのだと実感します。グラキリスは春先から初夏にかけて開花する場合が多いですが、枝先から花芽を伸ばし先端に黄色い花を咲かせます。

ただし、毎年必ず開花してくれるとも限らないため、花芽が伸びてきたのを見つけた時は本当にワクワクします。グラキリスを複数育成していると、タイミング良く同時に開花してくれることがあるかもしれません。そんな時は受粉できるチャンスです。自分で受粉して取れた種を播種し、発芽させた時のワクワク感は開花以上かもしれません。

執筆中に開花しました。

今回の記事を執筆中(2023年3月)に蕾が開き、夕方に開花しておりました。この開花が、今シーズン最初のグラキリスの開花となりました。現時点で、他のグラキリスに花芽は付いていないため受粉はできなそうです。また、受粉できるチャンスがあればあらためて紹介させていただきたいと思います。

今回は塊根植物のなかでもメジャーな品種を紹介させていただきました。奇妙で愛おしいフォルムはインテリアとしてもおもしろいですし、こればかりをコレクションしている人もいるほどの人気種です。これから塊根植物にトライしたい人の初めての一鉢としてもいかがでしょうか?

【DATA】
BIZARRE GREEN
長野県長野市篠ノ井布施高田879-1
TEL026-247-8160
営業/11:00~20:00
休み/火曜
https://www.bizarre-green.com

この記事を書いた人
傳田達朗
この記事を書いた人

傳田達朗

塊根植物案内人

セレクトショップ 「BIZARRE GREEN」オーナー。約20年勤務したアパレルメーカーで商品企画やプレスを担当。2019年に独立し、地元である長野市にアパレルをメインに趣味の延長で植物も扱うセレクトショップBIZARRE GREEN(ビザールグリーン)をオープン。植物以外の趣味はヴィンテージ雑貨の収集など。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

ジャパンレザーの集大成がここに。AJLP始動。

  • 2026.08.06

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトが始動した。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく、革のプロフェッショナルたちがここに集結した。 ALL J...

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...

Pick Up おすすめ記事

ジャパンレザーの集大成がここに。AJLP始動。

  • 2026.08.06

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトが始動した。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく、革のプロフェッショナルたちがここに集結した。 ALL J...

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...