一度は飲んでみたい! 価値あるレアな年代物のリカー(蒸留酒)20選。

ワインを始め、ウイスキーなど蒸留酒など長い期間、樽で熟成を重ねた熟成酒があるが、今回はそういった意味だけではない年代物の古酒の世界の扉を開けてみる。昨今人気のウイスキーを筆頭に、知られざるヴィンテージリカーの価値を探ってみよう。

CONTENTS

想像を遥かに越える高値がつくこともある、ヴィンテージリカー。

ファッションの世界にヴィンテージがあるように、お酒の世界にもヴィンテージが存在する。その価値の判断基準は、お酒が蒸留された年号が旧く、かつ優れた味わいのものに価値が集まるのだ。

例えば一昨年の話であるが、シングルモルトのスコッチウイスキーであるマッカランの60年熟成ものが英国にて競売にかけられ、1本110万ドル(約1億2500万円)で落札された。このウイスキーは1926年に蒸留され、その後樽の中で60年熟成。そして’86年にボトルに詰められた歴史を持つ。

また高値を付けるのは海外銘柄の古酒だけではなく、日本産のものにも存在。2011年にサントリーが販売したシングルモルトウイスキー「山崎50年」は、150本限定生産で、当時1本100万円で販売されたが、2018年には香港で行われたサザビーズのオークションにて、3250万円もの高値がついたのだ。

これらエピソードは古酒の世界の中で、頂点を極めるお酒の話である。とはいえ古酒の世界は、一度飲んだら終わりのため、必然的に現存数は少なくなり、時が経つにつれ価値は高まる傾向にある。

そこで今回は、ヴィンテージの古酒のみを扱う、東京・亀戸にある「バー・ブランシュ」にお邪魔して、価値のある各ジャンルの古酒を紹介してもらった。

ヴィンテージリカー(蒸留酒)の市場価値を知ろう!

作られた年代に想いを馳せながら、その年代の味を楽しむのが古酒の世界。いわば趣味性の高い世界だからこそ、より市場価値を高めていく。そんな世界の中で人気を集める銘柄の、いまの相場観をチェックしてみよう。

1.【コニャック】LOUIS XIII(レミーマルタン ルイ13世)

憧れのお酒の代名詞とも呼ばれるレミーマルタンのルイXIIIだ。この個体は1970年代にボトリングされた、通称「ルイXIIIベリーオールド」。ユリをイメージしたバカラ社製の美しいデキャンタが特徴である。ちなみに当時の販売価格は10万円ほどであったが、現在の取引相場は30万円以上だ。

2.【カルヴァドス】ADRIEN CAMUT 1933(アドリアン・カミュ)

仏ノルマンディ産のリンゴを使ったブランデーのことをカルヴァドスという。このアドリアン・カミュは16世紀から今日に至るまで、自家栽培・自家蒸留を貫く良質なカルヴァドスの名門。こちらは1933年に蒸留され、’90年代にボトリングされた希少なもの。流通当時は5万円ほどだったが、現在は30万円以上の価格がつく。

3.【ジン】GORDON’S OLD TOM GIN(オールド・トム・ジン)

こちらのゴードン オールドトムジンは’40年代にボトリングされた1本。その年代の見分け方としてキャップに注目。旧い順にコルク→ティンキャップ→スクリューキャップとなり、その後またコルクへと戻る。ジンなので流通当時は安かったと推測されるが、今だと10万円ぐらいから取り引きされる。

4.【コニャック】CROIZET(クロアーゼ)

ナポレオンも認めた名門ブランデー銘柄。ガラス内部に気泡が残る、手拭きのガラス瓶を使った、クロアーゼの’80年代ボトリングのもの。だが中身のコニャックの蒸留年代自体は100年前のもの。当時の販売価格は25万円ぐらいで、いまの相場観は10万円ほど。実はコニャックの市場価格は、他の古酒に比べあまり上がらない。

5.【ジン】BENGAL GIN(ベンガル ジン)

スピリッツもリカー同様、蒸留酒のことで、大麦やじゃがいも、ライ麦などを原料にして作られるのがジン。このベンガル・ジンは’70年代にボトリングされたもので、キリン・シーグラム(株)が英国から輸入していたもの。ジンなので当時は900円ぐらいの価格であったが、時を越えた現在は2万円ほどの相場観だそう。

6.【コニャック】MARTELL CORDON BLEU(マーテル コルドン ブルー)

300年を越える歴史を持つ老舗コニャックメーカーであるマーテル。そのコルドン・ブルーは別名「飲む香水」と呼ばれるほど香りの素晴らしさで高い評価を集める、世界のコニャック愛好家に愛される格別な逸品として知られる。こちらのボトルは’60年代ボトリングのもの。当時は2万5000円前後であったが、今は人気が高く相場は8万円ぐらいから。

7.【リキュール】GRAND MARNIER(グラン・マルニエ)

高級コニャックとオレンジ果皮を独自のレシピで混ぜ合わせて作られる、オレンジリキュールの老舗ブランドがグラン・マルニエ。ヘミングウェイなど多くの著名人に愛された。この個体は1940年代のプレステージクラスであるキュヴェスペシャルの限定品。当然ながら数も少ないが、ウイスキーほど相場は上がらず5〜10万円ほどで取引される。

8.【ラム】RONRICO(ロンリコ)

1860年に誕生したプエルトリコのラム酒ブランドであるロンリコ。現在ではサントリーが日本に輸入販売している。これは1960年代にアメリカ国内で流通していた個体。今も現存するブランドの古酒は、コンディションによるが良い味のものが多く人気が高い。現在は2万円ぐらいが相場観だ。

9.【リキュール】BUTON CREMA CACAO(ブトン クレマ カカオ)

1820年にイタリアのボローニャで創業したブトン。元々はブランデーなどを蒸留するメーカーであったが、その後リキュールの製造にも注力。これはイタリア産のカカオを原料とするカカオリキュールで、’49〜’59年に流通していた個体。メタルタックスと呼ばれるキャップ部分の封印の図柄で年代特定が可能。相場は3万円前後

10.【バーボンウイスキー】VERY OLD FITZGERALD(ベリー オールド フィッツジェラルド)

ケンタッキー州にあるオールドフィッツジェラルド蒸留所でかつて生産されたベリーオールドフィッツジェラルド。ライの代わりに小麦を使う上品な味わいのバーボンだ。この個体は’56年に蒸留され、’64年にボトリングされたもの。数年前から価格が高騰し、今は30万円前後で取引される。ファンの間では、瓶の注ぎ口に“凸” があるものが旨い、と語られているとか。

11.【シングルモルト ウイスキー】MACALLAN(マッカラン)

オールドウイスキー市場の中でも別格の存在であるマッカラン。オールドウイスキーが1億円以上のプライスが付くのは伊達じゃなく、「スコッチシングルモルトのロールスロイス」と呼ばれるのも肯ける。そんな銘柄のこちらは1940年代のもの。市場価格は最低でも30万円以上のプライスとなる。人気の高い銘柄だ。

12.【シングルモルト ウイスキー】GORDON & MACPHAIL KINCLAITH

膨大な古酒のストックを保有し、様々な蒸留所のスコッチを独自にボトリングして販売するゴードン&マクファイル社。そこが手掛けたのが、操業期間が’57〜’75年と短く、幻の蒸留所と呼ばれるキンクレイス蒸留所で生産された、1966年蒸留のスコッチをボトリングした個体。相場は20万円ほど。

13.【シングルモルト ウイスキー】LAPHROAIG(ラフロイグ)

スコットランドの中のアイラ島にて、1815年に創業したラフロイグ蒸留所。1994年にはシングルモルトウイスキーで初めて王室御用達となり、チャールズ皇太子も愛するお酒である。これは’60年代に蒸留され、’70年代にボトリングされ流通したの個体。市場でも人気銘柄であり取引価格は40万円ほど。

14.【シングルモルト ウイスキー】MACALLAN ROYAL MARRIAGE(マッカラン ロイヤルマリッジ)

マッカランが1981年にボトリングしたアニバーサリーボトル。ラベルにある’48年はチャールズ皇太子の生まれ年、’61年はダイアナ妃の生まれ年である。その二つの年代に蒸留したシングルモルトをブレンドした。特に’61年に蒸留されたマッカランは当たり年で人気が高く、現在の相場では60万円は下らない。

15.【マデイラワイン】2 世紀以上の時を超えたヴィンテージワイン。(メーカー不詳)

マデイラ島(ポルトガル領)で作られたマデイラワイン。その中で最高級とされる、白ぶどう品種のテランテスを使った1795年のもの。ちなみに1800年代に入ると害虫フィロキセラによってその品種は全滅。近年、科学的にその品種は復活しているが、こちらは品種絶滅前に作られた希少なもの。今の相場は100万円からだそう。

16.【シングルモルト ウイスキー】CAOLILA(カリラ)

シングルモルトウイスキーの聖地であるアイラ島。そこで1846年から操業するカリラ蒸留所にて’60年代に蒸留され、’70年代にボトリングされた個体。蓋に貼られたタックスシールから、英国からイタリアへ流通したものと判る。現在の相場は30万円ぐらいから。当時は日本に流通はなくレア。

教えていただいたのは・・・「BAR BRANCHE」

年代物の貴重なリカーを楽しめる名店。バーのためボトルでの販売はしていないが、カウンターで貴重な酒を飲み比べることができる。ヴィンテージリカーに興味が沸いたならば、ぜひとも訪れてみてほしい。

【DATA】
BAR BRANCHE
東京都江東区亀戸6-15-5 庄司ビル1F
TEL03-3684-0632
営業/19:00〜25:00
休み/日曜(月曜日が祝日の場合は月曜日休み)

(出典/「Lightning 2019年10月号 Vol.306」)

この記事を書いた人
ADちゃん
この記事を書いた人

ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

Pick Up おすすめ記事

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...