1.【80S All Weather Jacket】3シーズン着れるオールウェザーコート。《ステンカラーコート》
USネイビーで’80年代に支給されていたシンプルなステンカラーコート。防水性と防風性のある生地に加え、ジッパーで簡単に取り外し可能なアクリル製のボアのライニングがあるので、3シーズン着用できる。最大のポイントはエポレット。’70年代だとエポレットが縫い付けられているが、’80年代の仕様になると取り外すことが可能。ネイビーとブラックの2色があり、後者の方が珍しい。デッドストックで見つかることもまだ多く、カジュアルからオフィスまで使える汎用性も◎。
2.【U.S.N. Pea Coat (Long)】エレガントさもある名作オーバーコート。《ピーコート》
ピーコートと言えば、米国海軍のセーラー向けに作れられたハーフコートでお馴染み。膝上くらいの丈が一般的だが、’30年代以前の旧いものには、膝下まであるロング丈が存在する。写真は1910年代頃のピーコートで、ロング丈はヴィンテージ市場でも滅多に出ないスペシャルピース。おそらくCPO用で第一次世界大戦頃のもので、大きな特徴はポケットのフラップが丸いこと。マフポケットは継続されているが、下のポケットは後に省略されてしまう。
3.【TYPE M-65】言わば、野戦用ジャケットの完成形。《フィールドジャケット》
第2次世界大戦中の1943年に登場したフィールドジャケットM-43。ここに数々の仕様変更が加わり、1965年に完成したのが「M-65」だ。ボタンフロントはジップで開閉する仕様になり、ボタンで脱着していたフードは襟に内蔵。さらには手の甲を保護する折り返しの追加など、隅々まで計算尽くし。実は最初期型にはエポーレットがなく、ロバート・デ・ニーロが映画『タクシードライバー』で着用したエポーレット付きのM-65は2ndモデル。2nd モデルまでは手間のかかる作り方をしていたクラウン社製のアルミジップが付いていたが、3rdからは生産性を上げる目的でブラスジップに変更。その意味でも、2ndは人気が高い。
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4.【TYPE N-1】デッキクルーの頼もしい相棒として活躍。《デッキジャケット》
第2次世界大戦から朝鮮戦争時にかけて、海軍において同素材のトラウザーズとセットで艦艇乗員用に採用された。表地にジャングルクロスと呼ばれるコットングログラン、裏地に遮風性と保温性に優れたアルパカモヘア・ウールパイルが使われている。この天然素材の組み合わせが、海上で寒風にさらされる兵士たちの命を守り抜いてきたのだ。1944 年にネイビーブルー、その翌年にカーキカラーのモデルが登場している。
5.【TYPE A-2 Deck Jacket】N-1デッキジャケットの後継モデル。《デッキジャケット》
米海軍の艦艇乗組員用に作られたのA‐2デッキジャケット。N-1デッキジャケットの後継モデルとして、基本的なディテールを受け継ぎながらも、様々な部分で変化が見受けられる。まず表地はコットングログランからバックサテンに、裏地はアルパカウールからナイロンボアへと変更。これは生産性とコスト面を見直した結果であった。それにより軽量化され、羽織った際の動きやすさが向上。裾に設けられたアジャスターストラップや、使いやすいフラップ付きのポケットも生産される時期によってフラップが正方形だったりと、細部が異なる。N‐1に比べシンプルなデザインと必要最低限の機能性を兼ね備えているので、タウンユースにおすすめ。
6.【Jacket,Cold Weather, Flame Resistant, CLASS1】A-2デッキジャケットの進化系。《アラミドジャケット》
A-2デッキジャケットは’80年代終わりまで長期間使われたが、その後継モデルとして難燃性繊維であるアラミドノーメックスを使い、火災等に対応させたアラミドデッキジャケットが新たに登場。このアラミドジャケットの正式名称は「Jacket,Cold Weather, Flame Resistant, CLASS1」と呼ばれ、’90年から’96年までの短期間だけ採用されていた。デザイン面では旧型モデルであるA-2デッキジャケットのデザインを継承しているが、ボタン留めの前立てはベルクロ留めへと変更される。このシンプルな装いながらも高い機能性はまさにポストN-1&A-2デッキジャケットと言えよう。
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7.【TYPE G-1】トップガンでお馴染み、海軍伝統の山羊革製ジャケット。《フライトジャケット》
米陸軍航空隊のA-2と双璧をなす、米海軍のG-1。最初にG-1の名で呼ばれたのは’50年代に開発されたスペックナンバー「55J14」だが、その基本デザインは1940 年に採用された「M-422」を継承。陸軍航空隊(後の空軍)のA-2 が馬革であるのに対し、海軍のG-1 には柔らかい山羊革(ゴートスキン)が使われている。背中にはアクションプリーツが装備され、非常に機能的。1976 年に採用中止となるが、パイロットたちの強い要望により1984 年に再び採用されて現在に至る。古着でも比較的多くみられるため、愛好家も多く、バイク乗りにも人気が高い。
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(出典/「Lightning 2016年12月号 Vol.272」「Lightning 2019年2月号 Vol.298」)
Text/S.Sato 佐藤周平 H.Shibayama 芝山一 K.Sakamoto 坂本桂樹 A.Shirasawa 白澤亜動 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎 N.Suzuki 鈴木規仁
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