開催中の都内における交通網の混雑を考えて、観戦はテレビで、あるいは東京を離れてどこかへ行こうと計画中の人もいるかもしれない。だが、会場の外での訪日外国人との交流は、オリンピックが自国開催されるからこその体験であり、ぜひともバーで互いの国の健闘を称える夜を過ごしてみたいものだ。
しかし、2013年、「お・も・て・な・し」が流行語になったオリンピック開催決定の年。「英語をマスターしてボランティアするぞ!」と意気込んで英会話教室に通い、この6年で見事に日常会話レベルに到達した人はいいが、挫折してしまった人間はどうやって交流すればいいのか……。そこで、強い味方になってくれるアイテムがここにある。
世界とつなぐ「浮世絵」を落とし込んだ、北斎アロハ。
ひと際目立つ柄の正体は、北斎の描いた浮世絵だ。そもそも、移民としてハワイに渡った日系人が着物をリメイクして誕生したと言われるアロハシャツ。着物に由来する和柄など様々な柄や色で彩られ、その優れたデザインは“アートを着る”と称されるほど。特に和柄は世界的に人気な図柄となっている。今季、ヴィンテージアロハシャツをベースにその奥深い世界観を現代に蘇らせている『サンサーフ』がプロデュースしたのが、この和柄のルーツである日本のアート「浮世絵柄」だ。
西洋美術史にも影響を与えた北斎の浮世絵。
日本を代表する芸術家である葛飾北斎。1867年のパリ万国博覧会で初めて海外で紹介され、その大胆な構図や色彩は西洋美術の印象派誕生のきっかけとなり、ゴッホやモネなど西洋美術史に名を残す画家にまで多大なる影響を与えた。
その北斎は宝暦10年(1760年)に本所割下付近(現在の墨田区亀沢付近)で生まれ、生涯のほとんどを墨田区内で過ごし、人生のすべてを画業に費やし、3万点を超える膨大な数の作品を生み出したのだ。
「富士山」「波」「宝船」の3柄を身にまとう。
そんな北斎の多大なる功績を、ひいては世界に誇れる日本の芸術を後世まで伝えるべく展開されているのが、北斎作品とコラボレーションした『サンサーフ』のスペシャルエディションアロハシャツだ。今シーズンは「富士山」「宝船」「波」の3柄を展開している。これらのモチーフは、今季の新作と並べて紹介した1950年代のアロハシャツを見てみればわかるように、古くからアロハシャツの柄に存在した。そしてそれは、ルーツを辿ればやはり北斎らが生み出した浮世絵に端を発している。江戸時代に生み出された日本生まれのアート「浮世絵」が、20世紀半ばにハワイで生まれたアロハシャツへ影響を与えた。そして今、ルーツである「浮世絵」そのものがアロハに落とし込まれ、「北斎アロハ」が誕生したのだ。
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※掲載情報は取材当時のものです。
※現在取り扱っていない場合もありますので、ご了承ください。
(出典/「Lightning 2019年7月号」)
撮影/吉田佳央、桑山章 文章/ADちゃん、吉田佳央
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