「SHOGUN 将軍」の世界観を作る伝統和楽器
今、海の向こうのハリウッドで話題となっているのは、エミー賞で本年度最多ノミネートを果たしている真田広之主演のハリウッドドラマ「SHOGUN 将軍」だ。
このドラマのサントラ制作に参加した特徴的な和楽器のひとつが、胡弓(こきゅう)。
日本人であっても知る人ぞ知ると言いきっても過言ではないだろう伝統和楽器、胡弓とはいったいどんな楽器でどんな音色なのだろう。
世界に存在する、弓でこする楽器
弓で弦をこすりながら音色を奏でていく楽器のことを擦弦(さつげん)楽器と呼び、西洋音楽の世界を見渡せばヴァイオリンやヴィオラやチェロなどが知られている。同様に中国の民族楽器では、二胡(にこ)が知られている。
一方、日本独自の擦弦楽器としては、胡弓がある。小さな三味線の棹と胴を立てて支え、片手でときに回しながら、長い弓にふわふわと張られた馬の尾の毛で弦をこすっていくと哀切な音色が奏でられる。
毎年20万人前後が訪れる伝統行事での生演奏
富山県富山市八尾地区。かの地で、毎年9月1日~3日にかけて行われる300余年続く民謡行事が、「おわら風の盆」。
おわら風の盆では、坂の町に数千のぼんぼりが灯され、三味線の奏者らとともに、胡弓の奏者が町を練り歩きながら演奏している。
哀愁を帯びた音色と唄にあわせ、編み笠を目深にかぶった男女が情緒豊かにゆったりと踊り歩くシーンには、日本ならではの艶やかさが漂う。秋の訪れを告げる祭りの場で、一度、日本独自の擦弦楽器・胡弓の音色に耳を澄ましてみませんか。
写真提供:(公社)とやま観光推進機構
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