太陽の動きで時間が変わる江戸時代、みんなはどれだけ幸せだった?

民俗や地域伝統文化のあれこれに没頭しがちなエディターが、あなたの日々の暮らしに、とても小さなときめきをお届けしましょう。言葉だけは知っている作法や行事、未来をひらく温故知新、興味はあるけどよくわからない民俗のことなどについてわかりやすく紹介します。

江戸時代は季節によって「時間が増減」していた

年末の東京で過ごしていると、いつも日の沈みの速さに驚かされる。

16:30頃に東京の太陽は沈み、夜の帳が下りていく。この時間帯、見上げると、ビルやマンションの建つ平地の空にはまだ意外に明るさが残っていたり、東京に多い谷や坂の東面にいると一気に暗くなった感に襲われたりしてしまう。

この時期、日本列島では札幌16:00頃、仙台16:15頃、東京16:30頃、大阪16:45頃、福岡17:10頃、那覇17:40頃に太陽は沈んでいく。

ちなみに、このような捉え方は「定時法」と呼ばれ、江戸時代には採用されていなかった。江戸では季節によって時間の進み方が変わる「不定時法」が使われていて、夏も冬も日没の時間帯は「暮れ六つ」と呼んでいた。電灯がない時代ゆえ、暗くなったから仕事を終えて休もう、という一日の捉え方は生き物としてまっとうなのだと思われる。

さて、夜の時間が長くなり、一年の中でいちばん昼の時間が短くなる日は「冬至」と呼ばれている。2023年は、12月22日に冬至を迎えるのだ。

偉大なアマテラス、スサノオに肩を並べる「夜の神」

秋の名月を愛でる夜々を経ながら、長くなる闇夜を体感し続けると、例年、頭に浮かぶのが「ツクヨミ」のこと。古事記に記された、月や夜を統べるツクヨミノミコト(月読命)と呼ばれる神様の存在だ。

日本の国土を作ったとされる国生みの神イザナギが、黄泉国から戻って穢れの禊をしたときに、多くの神が生まれている。その最後にイザナギの左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサノオが生まれたのだ。大喜びしたイザナギは、アマテラスに高天原を、ツクヨミに夜の世界、スサノオに海原の統治を命じた。この貴い三柱(みはしら)は、「三貴子(みはしらのうずのみこ)」と称されている。なにしろ、太陽の神アマテラス、武の神スサノオに並ぶ兄弟ゆえに、ツクヨミだって非常にパワフルな存在に違いないはずだが詳しいことはわかっていない。だからなのか、夜が長くなるほどに想像にふけってしまう。

ツクヨミが祀られる主な神社は、京都市の月読(つきよみ)神社、山形県鶴岡市の標高1984mの月山(がっさん)頂上に鎮座する月山神社などがある。

経営の神様・松下幸之助も重視した「運」を今

さて、冬至。

この日は、来福や健康を願う「柚子湯」に浸かり、旬の「カボチャ」を味わう。さらに、運気を呼び込む小豆(地域によってカボチャ)を用いた「冬至粥」を食べたり、地域によっては「冬至の七種(ななくさ)」が入った縁起の料理に舌鼓を打つ。冬至の七種とは「ん」(=「運」が重なる)が付いた食材を指し、「なんきん(カボチャ)、ぎんなん、れんこん、にんじん、きんかん、かんてん、うどん(うんどん)」のことだ。

かつて、日本で経営の神と称賛された昭和の偉人も、運の扱いを重視していたのは有名な話。

一陽来復。この冬至に、良き運を招いて、サンタクロースと令和の新年を迎えたい。

この記事を書いた人
中川原 勝也
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中川原 勝也

民俗と地域文化の案内人

エディター。地域伝統文化のこと、民俗のあれこれ、古民家・民藝・暮らしのこと、などを当サイトでは担当。これまで日本カルチャーを主なフィールドにしながら、国内の法人・自治体・商品のブランディングにまつわるメディア等を手掛けてきた。温故知新好きが募って、ただいま、月刊古民家誌『じゃぱとら』編集長。
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