松浦祐也の埋蔵金への道。第2回「何を言おうとこっちにゃ証拠があるんだわ!」

  • 2023.12.31

映画でセリフを言ったり言わなかったりする。俳優業以外での収入を得るために『浪子回頭日記』という兼業俳優の赤裸々な日記を連載しているが、まったくゼニにならず、どうしたものかと焦っているマツーラこと松浦祐也が、本気で(?)お宝探しに挑戦中! 連載第2回にしてようやく事は動き出す……のか?

「どこの埋蔵金を目標にするか?」

どうも、マツーラです。今回は具体的に「どこの埋蔵金を目標にするか?」という、この連載の根元に関わる重大事項を決めます。お宝を掘り当てて一攫千金を現実なモノとして、カンボジアに移住して木工所なんかを経営し、たまーに日本で映画の撮影に参加する。そんなアタシのドリームを叶える為に、まずやらなきゃいけない事は、情報収集であります!

アタシ、威勢よく、「お宝を見付けて億万長者になる!」なんて啖呵を切りましたが、お恥ずかしい事に埋蔵金に関する知識なんて、1ミリも持っておりません。前回、参考資料として、糸井重里著『あるとしか言えない』、畠山清行著『海底の秘宝と埋蔵金』、水野智之著『埋蔵金35兆円の謎』、泉昌彦著『信玄の黄金遺跡と埋蔵金』の4冊を神保町の古書店で購入し、熟読しました。

各本、メチャクチャ面白くてクイクイ読みましたゼ! 埋蔵場所の推理作業はミステリー本を読むが如く、手に汗ビッショリ濡れますし、埋蔵金発掘作業はノンフィクション本を読むような臨場感でページを捲る手が力んじゃって震えてしまう!

こりゃあ、読書体験としても素晴らしいのでございます! そしてアタシ、今月の昼飯を絶食して参考書籍代にブッ込み、更に埋蔵金の関連本を買ったのです。畠山清行著『日本の埋蔵金』(上下巻ではなく抜粋版)、角田喜久雄著『東京埋蔵金考』、八重野充弘著『徳川埋蔵金伝説』と『埋蔵金発見!』を追加購入!

この企画の為に昼飯を食わずに夜飯を食い、研究を重ねておるわけでございます。不マジメなツラしてマジメなお方。腹は減っても我慢できるが、埋蔵金への探究心は我慢ができない! 知れば知るほど深みにハマる。沼だ! 埋蔵金沼! 沼にハマったアタシでございますが、冷静な判断力と客観的視点は持ち合わせております。自腹で動く分、我が身を削った投資が必要で、可能性無きモノに金を使える裕福な身分ではないので、そこは堅実な判断が必要です。

「埋蔵金を探す」なんて自分で言い出したものの、正直なところ「埋蔵金なんて実際はねえだろうな。まあ楽しめりゃあいいや」と考えておりました。しかしですね! 各書拝読の結果、マジで「あるとしか言えない!」のでございます! 断言します。埋蔵金は、ある! だって、実際に発見されているんだもん!!

1956年、東京はお銀座の小松ストアー改装工事現場より、慶長小判48枚、正徳小判53枚、享保小判107枚、一分金60枚が大発見!

1957年に、台東区の第一信託銀行菊屋橋支店の建築現場で、天保一分金1086枚が見つかり、中央区銀座の富士銀行数寄屋橋支店の建設現場でも、元文小判68枚が発見されています。さらに同年、江東区墨江の埋立地で、残土の中から元文小判と慶長小判が多数見つかり、1960年、千代田区神田の岡崎ビル建設現場からは、元文一分金41枚を発見。

1963年、東京都中央区の日清製油本社ビルの建設時に発見された有名な「鹿嶋清兵衛の埋蔵金」。こちらは天保二朱金が7万8389枚、天保小判が1900枚の大発見! 同年、港区芝の万才自動車ビル建設工事現場より、慶長一分金320枚が掘り出され、1964年、目黒区内の水道工事中に二朱金、一分金が4609枚発見されておるのじゃ! 同年には練馬で小判27枚の発見報告や江東区有明の埋立地で、慶長小判が35枚も見つかっておる! これは東京都内で、新聞等に載ったモノだけヨ?

もちろん、「ご一同、本件はご内密に!」って事で、黙ってナイナイしちゃった不届き者も多数いるはず。アタシも某大型道路建設現場で、「遺跡や小判が見つかると、工事を中断しなきゃならないから、発見しても頂けるモンは頂いて、あとは無かった事にしちゃう」って話を聞いたし、実際に旧家の解体現場で日本刀や小判が見付かった事がありました。

門前仲町で内装工事をしていたら、隣の鉄工所のおっさんが「昔、水道の本管工事でこの道をめくったら、銀貨や小判が出て、みんなで掻っ攫ったんだー」なんて昔話を聞いたこともあるのです。だから、現実的に、実際、マジで、埋蔵金は存在するんですよ!

期待を煽るような事ばかり書きましたが、各本を読んで「アタシの考えがなかなかに甘いぞ!」とも認識した次第であります。光ばかりが目につきますが、光あらば影がある。コレ、宇宙の理なり。発見された埋蔵金成功譚の、10倍以上の失敗譚を知りました。発掘作業をして身代を潰した「先輩方」の話が、イヤという程書かれていたのです。うわー。こりゃあ、考えていたより難儀だぞ!

まず、海中探索についての可能性ですが、潜水技術や装備がなく、シュノーケルで潜れる範囲に沈没船は存在しないので、こりゃあ出来ませんナ。また、大規模な発掘調査には重機や人手が必要となる。そんな予算はないので、糸井さんのようなユンボで掘れ掘れ大作戦も実行できません。更に言わせていただくと、このジャパンのどこかで発掘作業をするならば、必ず地権者への許可取りや、場所によっては自治体への手続きが必要になる。なかなかに面倒臭そうな作業ですね。

アタシみたいな得体の知れないオッサンが「あのー、埋蔵金探したくてですねえ、ちょっとコノヘンの掘らせてくだせえ」、なんて言ってもダーレも相手にしてくれませんヨ。そこで再び手元の埋蔵金関連本を「アタシが実行可能な発掘作業の可能性」を考えながら、読み直したのです。検討に検討を重ねた結果、とうとういくつかの候補を見付けたのであります!

その一、東京は江……って候補を書きかけて、アタシャ気付きましたよ! アブネエ!! 具体的に候補を書いてですよ? 賢明な読者諸氏に発掘作業の先を越されたら目も当てられねえじゃねえか! アタシが今月書いた候補地を先回りされる可能性もゼロじゃねえ。生き馬の目を抜くようなご時世の今日、担当のウエダくんでさえ信用しちゃあならねえんでございます。ああ、ヤなご時世だ事。

次は「実地調査」をするべえか、はたまた調査に必要な相棒的存在「金属探知機」を手に入れようか。それとも、発掘対象の「小判」のお勉強をしましょうか。それか、イタコさんに小栗上野介様の霊を降ろしてもらい、直接埋めた場所をお聞ききしちゃうってのはどうですかねえ?

(出典/「2nd 2024年1月号 Vol.201」)

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