1.そもそもスウェードとは
なめした革の裏側をサンドペーパーなどで起毛させたレザーのことをいう。名前の由来としては北欧の「スウェーデン」からきているという説が有力。寒さの厳しいスウェーデンで考案された加工を使って作られた手袋がフランスで流行し、そこからスウェーデンを意味するフランス語「スウェード」が名称として定着したという。毛足があることでひび割れしにくく、また表革に比べて水の侵入を防ぎやすいというメリットがある。
2.ウィンザー公の着こなしが人気に火をつけた
スウェード靴がファッションシーンで市民権を得たのは1920年代まで遡ると言われている。当時はヌバックやスウェードといった起毛革はスーツと合わせることは御法度であり、ましてや男性が着用することすら稀であった。しかし、のちに「20世紀最大のウェルドレッサー」と称されることとなるウィンザー公はフランネルのスーツにヌバックや、濃紺のスーツにブラウンスウェードを合わせる当時においては大胆な着こなしを披露。
そのスタイルに魅了された人々によって徐々に世間に受け入れられ、防水性や耐久性といった機能性に加えて素朴で温かみのあるルックスから英国紳士のカントリースタイルの定番靴として定着したのだった。
3.長く愛用するためのケア方法
表面が起毛しているため、ほこりなどのゴミがつきやすいので注意。定期的にブラッシングをしてゴミが溜まらないようにしたい。適度な油分がある状態が好ましく、スウェード専用の汚れ落としスプレーや栄養スプレーを所持しておくと便利だ。
また、毛先が乱れてしまえば、せっかくの柔和な表情が崩れてしまう。そんな時はアルコールランプなどで軽く炙って毛先を均一に整えることができるということも合わせて覚えておきたい。
4.スーツスタイルをスウェード靴でハズすのが粋
ウィンザー公の時代は、スーツにスウェード靴を履くということは御法度であったが、現在のドレスファッションにおいてはもはや定番のスタイルとも言える。もちろん冠婚葬祭などのフォーマルな場にはマッチしないが、ファッションとしてスーツを着る上では“ハズし”として重宝する。
ビームスでオンラインショップスタッフを務める間瀬裕介さん(上)はフラノのストライプスーツにブラックスウェードのタッセルスリッポンを合わせてシックでありながら柔らかい雰囲気を演出。
メーカーズシャツ鎌倉のプレスを務める川田真之介さん(下)はグレーフランネルのこちらもストライプスーツにブラウンスウェードのレースアップシューズを合わせて軽快さを出している。
そのようにルールのあるスーツスタイルの中で“遊ぶ”ことができるのもスウェード靴の魅力なのだ。
5.英国アイテムとスウェード靴の相性のハナシ
英国の靴屋の従業員の多くは雨の日にスウェード靴を履くというように、スウェード靴には“機能靴”としての側面もある。雨の多い英国ではほかにも「バブアー」に代表されるオイルドジャケットやベンタイルのコート、防寒、防風のために織られたツイード素材など、生活のために作られた伝統的な素材やアイテムが多く存在。同じマインドが宿っているモノ同士だからこそ、スウェード靴は英国アイテムと相性が良いのだ。
ブラックスウェード スタイル
[ブラックスウェードと好相性なアイテム]
ベンタイル生地のコート
フェアアイルニット
フランネルシャツ
グレンチェックのパンツ
ブラウンスウェード スタイル
[ブラウンスウェードと好相性なアイテム]
バブアーのベスト
タータンチェックのマフラー
タッターソールチェックのシャツ
ツイードパンツ
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2024年1月号 Vol.201」)
Photo/Yuco Nakamura,Satoshi Ohmura,Takuya Furusue Styling/Shun Iizuka Text/Kihiro Minami
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