5ページ目 - メガネの選び方は、生産国で違うデザインを知るところからスタートしよう!

【ドイツ製の歴史】シートメタルの発明とアンティークの再評価。

ドイツのプロダクトといえば、「質実剛健」で品質の高いモノづくりで知られている。むろんメガネにも同じことが言える。近年のメガネ史に残る画期的な製法がドイツで誕生した。極めて薄いステンレスの板をカットしてメガネに仕立てた「シートメタル」である。

シートメタルは1996年にアイシーベルリンが開発。薄いステンレスシートは柔軟性や耐久性が高く、サビにくい。それ以前のメタルは芯材を使用するため、「線」の表現しかできなかったが、シートメタルの登場によって「面」での表現が可能になり、デザインの幅が飛躍的に広がった。

機能的なシートメタルは瞬く間に世界に広がり、チタン素材も採用され、厚さ3mmという太いタイプも登場。各ブランドが改良を重ねることで、00年代を代表する製法として確立された。一方でドイツはアンティークの普遍的なアイウエアデザインを再評価させた一面もある。

代表格は1992年に創業したルノアに見る1820世紀に存在していたアンティークデザインの意匠と現代の掛け心地を追求した銘品。そしてルノアの創業者であるゲルノット氏がシルバー925を用いて生み出したゲルノットリンドナーに見る伸縮性のテンプルなど。

ドイツの名作は革新的なシートメタルと、伝統を重んじたアンティークな意匠の二軸がある。

【ドイツ製の代表作シンプルで長く使え流「質実剛健」なメガネ。

ドイツのメガネを象徴するのは、薄いステンレスの板を使ったシートメタルと、アンティークなデザインである。シンプルで飽きがこなくて頑丈、「質実剛健」 なアイウエアだ。

1.ドイツ発祥の機能的なシートメタル「ic Berlin/Liam」。

ストレートのブロウラインが潔いスクエアは、アセテートとシートメタルのコンビネーション。重厚感がありつつも軽量で、横からチラリと見えるメタリカルなステンレスの質感が、落ち着いた雰囲気を醸し出す。7400(アイシーベルリン ジャパンTEL03-6804-2064)

柔軟性があって軽量な厚さ 0.5 mmのステンレスシートをテンプルに採用。驚くほど軽くて柔らかな掛け心地に。ネジを使用しない独自ヒンジは壊れにくくて脱着可能。

2.アンティークの美しさを現代に蘇らせた「GERNOT LINDNER/GL153」。

アンティークの蒐集家であるゲルノット・リンドナー氏が手がけるシルバー925を使用したラウンド。素材ならではの美しい色味や光沢とアンティークが持つ美しきディテールが存分に生かされている。84000(グローブスペックス エージェントTEL03-5459-8326)

氏のアンティークに対する審美眼が生かされている意匠。伸縮性のあるアジャスタブルテンプルは個人の顔に合わせやすく、ホールド感も変わってくる。

【ドイツ製の知っておきたい用語集】

シートメタル御三家

シートメタルを得意とするアイシーベルリン、マイキータ、ハフマンス&ノイマイスターのドイツ3ブランド。どれも複数の創業者で立ち上げられたが、すべてフィリップ・ハフマンス氏が関わっている。

カールトン

ドイツの老舗ブランドのローデンストックが60年代に開発した一文字のメタルブロウ。モデル名の「カールトン」 がフレームの形を表す ほど浸透する。

Xブリッジ

19紀のアンティークフレームに多く見られたX形状のブリッジ。ルノアが再現したことで知られている。

スイングブリッジ

第一次世界大戦直後、片目を失った傷痍軍人が使用していた反転メガネを、ルノアが再構築。2本あるブリッジの内側にあるブリッジを動かして合わせる。

3Dプリンター

ドイツの新鋭、クレンツ&バウムの3Dプリンター製メガネはポリアミドパウダーのザラリとした質感が魅力的だ。ライター私物

現在、ドイツではポリアミドパウダーを使用した3Dプリンター製メガネが増加中。アセテートの1/3の軽さで形崩れしにくく、劣化せず、製造時の材料ロスもない。

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20234月号 Vol.193」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

Pick Up おすすめ記事

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...