2ページ目 - 古着ひと筋の玄人から若きトラッドマンまで。世代別ベストバイ・ヴィンテージ【前編】

3.コミュニケーションディレクター・田中 遥さん|出自のわからないような謎のヴィンテージに惹かれる。

コミュニケーションディレクター・田中 遥さん|1991年生まれ。福島県出身。ビームスのプレスなどを経て独立。現在は様々なブランドや企業と関わり、PRなどを手掛けている

フリーのPRとして注目されている田中さん。大の服好きだけに、古着に対してのスタンスも実にフラットである。

「以前はファーストやセカンドなど、いわゆる王道で価値のあるヴィンテージが好きだったのですが、ここ数年ですっかりと変わりました。基本的には見たことのないヴィンテージとの出会いを大切にしていて、その出自がわからないようなものに惹かれます。

もちろん定番も素晴らしいのですが、古着の本質的な魅力はオンリーワンであることかと。ある意味、新品の服と同じで目線で、デザインや作りのおもしろさを重視」

  • Q 年齢と出身地は?→31歳。福島県出身
  • Q よく行く古着店は?→代々木上原の「フロント11201」
  • Q 一年で古着に費やすおおよそのお金は?→50万円くらい
  • Q 古着にハマったのはいつ? きっかけは?→中学3年生の時に買ったレッドウイングがきっかけです
  • Q 無人島に持っていきたい名作古着は?→最近はあまり物の価値に執着しない買い方をしているので、選べません

1.ノーブランドのチロリアンジャケット

ハンドニットのチロリアンジャケットは、おそらくオーストリアで作られたもの。タグがないので、年代は不明だが、7080年代頃のものだろう。

「すごく雑なライニングが付いていて、そこが気に入って購入しました。度の詰まったウールの生地感も素晴らしい」

2SOLIFORのパンツ

フランスのワークウエアメーカーのパンツは、オールインワンをカットオフしたような独創的なデザイン。

「これはおもしろいデザインにひと目惚れ。コットンツイルの生地感も気に入っています」

3ラングラーのシャンブレーシャツ

ブルーベルマークの入っていないタグやデザインから70年代頃のものだと推測できる。

「デニムじゃなくてシャンブレーというのがおもしろい。デッドストックで見つけました。タックインして愛用」

4.「インディビジュアライズドシャツ ジャパン」ディレクター・早野 海さん|確かな視点で選ばれたクラシカルなアイテムたち。

「インディビジュアライズドシャツ ジャパン」ディレクター・早野 海さん|インディビジュアライズドシャツの若きジャパンディレクター。クラシカルなシャツはもちろん、アメカジウエア全般に精通する

古着の街、町田出身ということもあって学生の頃から古着店通いがライフワークという早野さん。そんな氏が昨年購入した古着のベストバイにはオーセンティックアイテムが揃う。

「インディビのシャツに関わる仕事をメインとしているためか、やはりクラシカルなアイテムが気になります。昨年は特にそれに磨きがかかったというか、気がついたらそんなアイテムばかり集まってました()

一点ずつ目を通すと、その審美眼でしっかり価値あるものが見抜かれており、購入に至った理由がしっかりと伺える。そんなツウ好みなセレクトは流石のひと言。

  • Q 年齢と出身地は?→29 東京都
  • Q よく行く古着店は?→渋谷の「グレース
  • Q 一年で古着に費やすおおよそのお金は? ?→約25万円
  • Q 古着にハマったのはいつ? きっかけは?→学生時代。古着の街である町田出身ゆえ
  • Q 無人島に持っていきたい名作古着は?→フィルソンのシングルマッキノークルーザージャケット

1マクレガーのニットカーディガン

[ミッドナイトサン]というアクリルニットコレクションの1着がベストオブベスト。

「ニットに限らずジグザグ柄に惹かれるのでこの手のアイテムは問答無用に買っちゃいます」とのこと。見るやいなや思わず食指が伸びたというのも納得の存在感を放つ。

2フィルソンのバックパック

「色が見たことなくて珍しいなと思って買いました。よく見るとサンプルタグが付いており、納得しました」という。

普段から広くアンテナを張っている早野さんならではの発見が詰まったアイテムだ。

3トムジェイムズのボタンダウンシャツ

一見すると普通のオックスフォードBDシャツも、彼だからこそ発見できたアイテム。

「じつはこれ60年代にインディビがOEMで手掛けた1着なんです。作りやブランド名からも間違いないですね」

(出典/「2nd 20233月号 Vol.192」)

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

Pick Up おすすめ記事

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...