雑誌「2nd」の看板スタイリスト・吉村祥吾の「撮影前夜、事務所にて」第3回

『セカンド』の看板スタイリスト吉村祥吾さんが一体のコーディネイトを組むまでの、理論と感覚が入り混じる紆余曲折を、文字化するスタイリングドキュメンタリー第3回。前回はこちら。

スタイリスト・吉村祥吾さん|1986年生まれ。2016年より『セカンド』で継続的にスタイリン グを担当。普段着のマイルールは「TPOに合わせて、靴から決める」

基本の考え方は「セカンド的トラッドスタイルに特集のアイテムをプラスする」

今回語ってもらったのは 今号P77のコーディネイト。 「メガネとアメカジ」グラビアページおよび特集トビラにも登場。本企画を象徴する理想の“アメカジ塩梅”を表現してもらった

編集部 今回は、特集の肝となるグラビアページから一体。企画テーマ的に狙っていた雰囲気ど真ん中のスタイリングです。

吉村 いつもは「セカンド的トラッドスタイルに特集のアイテムをプラスする」というのが基本的な考え方なんですが、今回は最初の打ち合わせで、「いつもより“アメカジ濃度”を濃くしよう」という話でまとまりましたよね。

編集部 上半身だけ見るとセカンドっぽいですけど、下半身がいつもとは違う雰囲気。ペインターパンツにブーツ! アメカジですねぇ。

吉村 「オールドジョー」のペインターパンツがすごく良かったので、これを起点に考えました。カッチリした上半身をパンツで崩すという大枠がまず浮かんだのですが、アメカジ色を濃くしたかったので、アウターも武骨なほうがいいかなと。選んだのは「エンジニアド ガーメンツ」のラペルドジャケット。ノーフォークジャケットとサファリジャケットをミックスしたようなデザインで、カジュアルアイテムとの馴染みもいい。定番アイテムだと思うんですが、今季は光沢のあるツイル生地で、ハードな雰囲気のパンツを少しだけカジュアルアップさせてくれる感じがバッチリでした。

編集部 ベージュと淡色デニムの色合わせもいいですね。

吉村 デニムのハード感を全体のカラーで中和させたかったので、トップスは淡いトーンでまとめて優しい雰囲気にしています。ベージュ×ピンク×ライトブルーは、清潔感もあって好きな配色。少しフェミニンな印象もありますが、アイテムそれぞれがクラシックなのでいい塩梅にまとまりました。

編集部 シャツはオックスフォードですか?  パンツとのギャップを出すためにブロードにしそうなところですが。

吉村 例えばトップスがシャツ一枚だったり、ジャケットが肉厚なチノだったりしたら、上品さを強めるという意味で、ブロードシャツの方がいいと思います。今回のジャケットは目が細かくて、やや光沢のある生地だったので、シャツはカジュアルなオックスフォードを選びました。「バギー」のオックスフォードは、分厚すぎず適度に柔らかいので、今回のジャケットとデニムの「つなぎ役」としてすごく良かった。分厚いオックスフォードだと、薄手のジャケットだけが貧相に見えてしまうんです。これくらいの素材感がベストかなと。

編集部 今回の肝となるメガネはどのような基準で選びましたか?

吉村 ヘビーデューティなアイテムに、ブロウタイプのメガネを合わせるのがもともと好きなんです。なので今回のジャケットにもブロウを、と考えていましたが、いざ合わせてみたら男っぽすぎてなんか違うなと思って。トラッド感を強めるためにセルにしたのですが、ブロウの雰囲気をすこし残すようなイメージで、2トーンのモデルを選びました。これが上品すぎずハードすぎず、モデルにも似合っていてうまくまとまりましたね。

(出典/「2nd 2025年7月号 Vol.213」)

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