アウトドアブランドのアイテムは、機能美の極み。洒落者が愛する逸品を紹介!

  • 2023.02.19

服とは本来道具である。衣服の起源を辿れば諸説あるが、体温調節や身体保護などの理由から始まって、いつも道具としての必要性に迫られたからこそ、服は発展を遂げてきた。道具のなかにファッション性を見出して楽しむ人、そもそもファッションとして生み出されたものをまるで道具のようにガシガシ使う人など、道具服の楽しみ方は人それぞれ。服や情報が大量に消費されるこんなご時世だからこそ、ファッション巧者の業界人たちに思い入れのある一生モノ道具服を見せてもらった。今回はアウトドアブランドのアイテムを拝見。

1Willis & Geiger(ウィリス&ガイガー)のアイゼンハワージャケット|「GMT」ミウラシュランさん

復刻もされるほど人気のウィリス&ガイガーの名作。タンカラーの他にオリーブも存在する。これはSサイズだが、かなり大きな作りになっているのも特徴

数々のインポートシューズブランドの代理店を務める名物プレスである三浦さんは、大のヴィンテージ好きとしても有名。モノの良し悪しを独自の目線で解析できる三浦さんが選んだ道具は、アメリカ合衆国第34代大統領であるアイゼンハワーが愛用していたフィッシングジャケットである。

「名作として知られているアイテムで、8090年代と比較的新しいものではありますが、とにかく古着市場に出てこない。ずっと探していて、10年くらい前に購入することができました。フードが欠損していたので、今では考えられないプライスですね。耐久性のあるコットンポプリンで、ポケットも多く、大量生産とは一線を画した細かな作りです。

もちろん本来の用途である釣りで使うこともありますが、ファッションとして着るのが主流。ショート丈で身幅も大きいから、着た時にいい意味で違和感が生まれるんですよね。あえてインナーにジャケットを合わせてみたり、いろんな着こなしを楽しめるのも醍醐味です」

愛用歴:10
購入場所:オキドキ
購入時の価格:5万円くらい

2Eddie Bauer(エディーバウアー)のダウンアイテム|「ビジティングオールド」岩城燎治さん

1970年代~80年代頃のアイテム。別々に購入したものだが、共生地を用いているので同一年のコレクションだと推測。高品質グースダウンを封入

ヴィンテージウェア専門のリペア店「ビジティングオールド」を主宰する岩城さん。まるでタイムリープしたかのような完璧な仕上がりは、往年の裁断や縫製を解きほぐした深い造詣と探求心に裏打ちされている。

「そもそも、古着好きへの入りがヴィンテージのアウトドアアイテムでした。数十年前のアメリカもののラフな縫製、ギアとしてのヘビーデューティな雰囲気に惹かれるんです。中でも日常使いできるアイテムをと探していたら、偶然このネイビーが揃って。

各々ウィンターシーズン、スキー用のギアなのでタフ。ガンガン洗濯、乾燥できますし、ミシンやスチームを多用するリペア作業中でも気兼ねなく着用できます。冬場の仕事場は寒いので、それこそダウンベストなんかほぼ毎日のように羽織っちゃう。袖が無いから作業しやすいんですよ。

グローブも、手のひら側にレザーが貼ってあって全然滑らない。だから自転車通勤に重宝。 実用的な意図が感じられる、道具としての背景が伺える服につい手が伸びるんです」

愛用歴:10
購入場所:下北沢ヒッコリー他
購入時の価格:ベスト1万円くらい、他各4000円くらい

3Patagonia(パタゴニア)のグリセード カーディガン|「チルローブ」島倉弘光さん

カラーもお気に入りのポイント。ジャストフィットはSサイズだが、ゆとりをもって着るためMを選択。現在狙っているのは写真とは逆配色となるモデル

神保町の名店「メイン」から独立し、ヴィンテージのネットショップを立ち上げた島倉さん。パタゴニアの名品、パイルグリセード カーディガンを表から裏まで愛用し尽くしている人物だ。

「ご存知のとおりリバーシブル仕立てであり、フリース側で着ると温かめのカーディガン。ナイロン側で着用すれば気密性も高まって、秋冬用の防寒アウターになるんです。気温やシーンによって着方を変えられるだけでなく、出張に持って出掛ければ二着分のアウターとなるので荷物を減らすことも可能。

この一着は1994年製であり、後年期モデルよりもハリがある質感のフリースで、肘など当たりやすい部分がツブれにくいのが特徴です。このグリセードは柄物もありますが、無地のほうが色々と着回しやすいので気に入っています。

すでに廃盤品ゆえに手に入れにくいのが玉にキズ。リアルに使える一着なので、色違いでもう一着探していますが、値段も上がっているので希望モデルが見つけられるか、ちょっと心配なんです ()

愛用歴:10
購入場所:某ヴィンテージショップ
購入時の価格:3万円くらい

4Eddie Bauer(エディバウアー)のグースダウンプルオーバー|「ユーソニアングッズストア 」スタッフ・手塚章吾さん

70年代に登場、その後もしばらく展開され続けた裏定番。メンズのみならずレディスでも同モデルの展開があり、手塚さんによるとこれもレディスサイズではないか、とのこと

シエラデザインズの古着を知人から譲り受けたことがきっかけでアメリカンアウトドア古着にハマった手塚さんは、釣りや登山が趣味。街でもアウトドアシーンでもほぼ毎日活躍しているというエディバウアーの隠れた名作がこちら。

「色違いで何着か所有していますが、グレーの配色はそれまで見たことがな く、モノトーン系の色味が好きな自分は即買いでした。しかも、あまり知られていませんが実はコレ、ポケットにボディをクシャクシャっと丸め込むことでトラベルピローになるんです。僕自身も最近になってはじめて気づいたんですが、釣りの時は車中泊をすることもあるので、実際に枕としても重宝しています。

もちろん軽くて温かくて首まで覆えるのでマフラーいらず。しかも合わせる服を選ばないので、どんな服の上からでもコレを着てしまいます。自分にとっては、ファッションの域を超えた、まさに道具ですね」

愛用歴:4
購入場所:2ndフリマ
購入時の価格:3000円くらい

5Trail Bum(トレイルバム)のビッグタートルスペクトラ|「バンブーシュート」ディレクター・甲斐一彦さん

国産ブランド、トレイルバムが提案するコンパクトなバックパック。マチが薄いため、荷物が少ないときは背中にフィットする。9800円(バンブーシュートTEL03-5720-1677)

アーバン・アウトドア・ライフスタイルをベースにした中目黒発のブランド、バンブーシュートを手掛ける甲斐さん。機能的なアイテムを日常でも取り入れているなか、デイリーで愛用しているバッグが、トレイルバムのビッグタートル スペクトラ。

「アウトドアシーンに対応するバッグなので、軽くて丈夫なスペクトラの生地を採用しています。それでも仰々しくないシンプルなデザインで、街中でも気軽に背負えるのが魅力。フロントのメッシュポケットが大きく、見た目以上に収納力があるのもいいですね」

UL(ウルトラライト)をテーマにするブランドだけに、その本領を発揮する登山でも活躍している。

「日帰りのハイクならこれで充分。レインウエアや防寒着、コーヒーセットも 余裕で入るし、フレームはないけどパッド入りだから背負い心地も快適。しかもショルダーハーネスがしっかり縫われているから、たっぷり荷物を詰め込んでも安心。日常はもちろん、山でもラフに扱えるあたりも道具っぽいかなと」

愛用歴:2年ほど
購入場所:バンブーシュート
購入時の価格:9800

6Patagonia(パタゴニア)のマイクロ・パフ・ベスト|「アーバンリサーチ」プレス・中山慶人さん

2009年製のパタゴニアのマイクロ・パフ・ベスト。プリマロフトが封入されたシンプルなスタイルのベスト。汎用性が高くさまざまなシーンで着られる

パタゴニア90年代の名作パフ・ボールシリーズの後継モデルとして2000年代に展開されたマイクロ・パフシリーズ。中山さんは、その2009年製のマイクロ・パフ・ ベストを道具服として挙げる。

「普段から茶系のアイテムを好んで着ているので、このアイテムも最初はカラーリングが気に入り購入しました」

プリマロフトが封入されたインサレーションウエアのため温かく、余計な装飾やデザインを一切持たないミニマルなスタイルで完結された1着。そんなところに道具服としての魅力を感じている、 と中山さんは続ける。

Tシャツやパーカと いったカジュアル使いはもちろん、セットアップやコートスタイルといったちょっとカッチリした格好のインナーにも使いやすいです。オンオフ問わず使えるアイテムで、とりあえず持って出かければなんとかなると思っています。そんなバーサタイルなところもどこか道具的で、10年以上前に買ったアイテムにもかかわらず、寒いシーズンはいまだに頼りきりです」

愛用歴:13
購入場所:パタゴニア直営店
購入時の価格:18000

7MOUNTAIN RESEARCH(マウンテンリサーチ)のフィッシングトラウザー|フリーランスPR・勝山龍一さん

フィッシングベストのポケットを腰回りに移植。前後に計14個のポケットが付く。3万6300円(…..リサーチ ジェネラルストア TEL03-3463-6376)

道具服といわれて真っ先に思い浮かぶのが、アウトドアウエアだという人も多いはず。自らもキャンプをはじめとしたアウトドアアクティビティを楽しむ勝山さんの道具服はまさにそれだ。

「キャンプやDIYといった外での作業でよく履いています。釣りにおいてフィッシングベストは道具以外なにものでもないですし、ド直球です。ひねりがあるとしたら、フィッシングベストのアイコニックな要素となるユーティリティポ ケットがパンツに落とし込まれているというところですかね」

実際に穿いてみると思いもよらぬ利点を発見したという。

「ベストに物を詰め込んで着ていると肩が凝るんですが、パンツに移行することでその点が解消しました。あと素材がコットンポリエステルゆえにアフターケアも楽チン。作業服として穿くことが多いなか気兼ねなく洗えるのは、間違いなくアドバンテージですね。ただ洗濯する前に都度、ポケットの中身に気を付けなければと分かってはいるのですが、結構やらかしています()

愛用歴:8カ月
購入場所:….リサーチ ジェネラルストア
購入時の価格:36300

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20232月号 Vol.191」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部