となれば、当然足元もそれに合わせたクラシックタイプが気になるわけだが、現在のゴルフシューズはハイテク系、スニーカータイプが主流で、クラシックタイプのシューズを新品で探すのは困難だ。
そんな状況も手伝ってか、旧いゴルフシューズをリペアして履きたいというゴルファーからの依頼が全国から殺到しているのが、岡山県倉敷市で「いずみ靴店」だ。
※本記事は発売中の2nd(セカンド)最新号2023年1月号掲載記事を加筆修正したものです。
グッドイヤー製法のゴルフシューズを汎用ソールでリペア。
義理の父が営んでいた靴の修理店を継ぐべく独学で靴の修理技術を学んだ「いずみ靴店」の店主・虫明隆二さん。以来17年、靴底縫い用のマッケーミシン機など設備の充実と技術を磨いてきた彼の元には、WEBサイトを通じて、スニーカーから革靴まで 全国から修理の依頼が殺到しているという。実際、店舗のWEBサイトの修理事例の数を見れば、およそ一人で手がけているとは思えないほどの過去サンプルが詳細に例示されているので、ぜひ見ていただきたい。それでいて料金体系も明解で、リーズナブルだ。
「元々は靴の修理店を運営していた義理の父が他界した際、贔屓にしていただいていたお客様から、お店を続けて欲しいという要望を受けたことで、当時勤めていた会社を続けながら、帰宅後や週末を利用して副業として始めたのがきっかけでした。靴の修理店で作業工程を見せていただいたり、シューリペアに関するBlogをチェックして、見よう見まねで学んでいるうちに、できることが増えていき、その内どうしても靴縫いに業務用のミシンなどが必要となったことで本格的に靴の修理業を始めました。当初から修理事例をブログで公開していたのですが、ある時「クラークス」社の『ワラビー』のクレープソールの修理事例を公開したところ、全国から相談が寄せられるようになり、それからは修理だけでなく、カスタムの依頼なども増えていきました。
ゴルフシューズの依頼も最近は多く、「FJクラシック」や「FJアイコン」など革製ゴルフシューズの修理依頼は増えています。これらはアウトソールの樹脂パーツやラバーがどうしても経年で劣化してしまうのですが、革製シューズの基本であるグットイヤー製法であるため、一般的な革製シューズ同様にソールの張替が可能です。
FJ クラシックドライ プレミアム ハーフソールゴム交換。
ハーフソールゴムが加水分解し破損。ミシュラン製のハーフソールゴムをボンド接着し、目立たないように同色のステッチで縫いつけ、新しいソフトスパイクピンをセットした。
キャロウェイのレザーシューズ
本格的な本革ソールのゴルフシューズ。革ソールと金属プレート一体型メスネジの位置出しをして交換、ヒールトップも本革製だったので、本革製で製作。
フットジョイ クラシックツアー
合成ゴムを縫い付けたソールが劣化して割れていました。分解するため縫い付け部分を削って糸を切り分解。ミッドソールにコルクが詰めてありましたが、痛んでいたので交換し、新品の独立タイプの金属メスネジを使用し本革でソールを作成、防水のために合成ゴムのミッドソールを1 枚挟み、ヒールトップはゴム製で、座ぐりし、革底のソフトスパイクシューズとしました。
また、近年、『ビブラム』社から汎用のゴルフ用スパイクレスソールが普及したことで、ソフトスパイクではなく、スパイクレス化したいという依頼も多いです。革製ゴルフシューズは対候性や維持など手間もかかりますが、修理して履けば、自分の足に馴染む相棒となってくれます。私自身、ゴルフをしますが20数年同じ革製シューズを手入れしながら履いているのです」
「基本的にどんな依頼も断らないから、他所で断られた依頼がウチに来てしまうみたいなのです」と笑う虫明氏。岡山の工房でひとり真摯に取り組む彼の元には、全国から届いた修理待ちのゴルフシューズがバックオーダーとして並んでいるそうだ。
【DATA】
いずみ靴店
岡山県倉敷市玉島阿賀崎2-6-46
https://www.izumikutumise.com/
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