全国から依頼が殺到するゴルフシューズの駆け込み寺なら、履き潰した革底フットジョイが蘇る。

コロナ禍を契機にアウトドアスポーツとして見直されているゴルフ。若年層の新規参入でファッション文脈でも新たな動きが活発化している。とりわけ80年代前後の往年のゴルフスタイルが若い世代にかえって新鮮にうつるためか、原点回帰のクラシックスタイルを提案する新ブランドが世界中でちょっとしたブームとなっている。

となれば、当然足元もそれに合わせたクラシックタイプが気になるわけだが、現在のゴルフシューズはハイテク系、スニーカータイプが主流で、クラシックタイプのシューズを新品で探すのは困難だ。

そんな状況も手伝ってか、旧いゴルフシューズをリペアして履きたいというゴルファーからの依頼が全国から殺到しているのが、岡山県倉敷市で「いずみ靴店」だ。

※本記事は発売中の2nd(セカンド)最新号2023年1月号掲載記事を加筆修正したものです。

グッドイヤー製法のゴルフシューズを汎用ソールでリペア。

義理の父が営んでいた靴の修理店を継ぐべく独学で靴の修理技術を学んだ「いずみ靴店」の店主・虫明隆二さん。以来17年、靴底縫い用のマッケーミシン機など設備の充実と技術を磨いてきた彼の元には、WEBサイトを通じて、スニーカーから革靴まで 全国から修理の依頼が殺到しているという。実際、店舗のWEBサイトの修理事例の数を見れば、およそ一人で手がけているとは思えないほどの過去サンプルが詳細に例示されているので、ぜひ見ていただきたい。それでいて料金体系も明解で、リーズナブルだ。

いずみ靴店代表、虫明隆二さん他所では修理が困難な靴でも断らないのが信条

「元々は靴の修理店を運営していた義理の父が他界した際、贔屓にしていただいていたお客様から、お店を続けて欲しいという要望を受けたことで、当時勤めていた会社を続けながら、帰宅後や週末を利用して副業として始めたのがきっかけでした。靴の修理店で作業工程を見せていただいたり、シューリペアに関するBlogをチェックして、見よう見まねで学んでいるうちに、できることが増えていき、その内どうしても靴縫いに業務用のミシンなどが必要となったことで本格的に靴の修理業を始めました。当初から修理事例をブログで公開していたのですが、ある時「クラークス」社の『ワラビー』のクレープソールの修理事例を公開したところ、全国から相談が寄せられるようになり、それからは修理だけでなく、カスタムの依頼なども増えていきました。

ゴルフシューズの依頼も最近は多く、「FJクラシック」や「FJアイコン」など革製ゴルフシューズの修理依頼は増えています。これらはアウトソールの樹脂パーツやラバーがどうしても経年で劣化してしまうのですが、革製シューズの基本であるグットイヤー製法であるため、一般的な革製シューズ同様にソールの張替が可能です。

FJ クラシックドライ プレミアム ハーフソールゴム交換。

ハーフソールゴムが加水分解し破損。ミシュラン製のハーフソールゴムをボンド接着し、目立たないように同色のステッチで縫いつけ、新しいソフトスパイクピンをセットした。

キャロウェイのレザーシューズ

本格的な本革ソールのゴルフシューズ。革ソールと金属プレート一体型メスネジの位置出しをして交換、ヒールトップも本革製だったので、本革製で製作。

フットジョイ クラシックツアー

合成ゴムを縫い付けたソールが劣化して割れていました。分解するため縫い付け部分を削って糸を切り分解。ミッドソールにコルクが詰めてありましたが、痛んでいたので交換し、新品の独立タイプの金属メスネジを使用し本革でソールを作成、防水のために合成ゴムのミッドソールを1 枚挟み、ヒールトップはゴム製で、座ぐりし、革底のソフトスパイクシューズとしました。

また、近年、『ビブラム』社から汎用のゴルフ用スパイクレスソールが普及したことで、ソフトスパイクではなく、スパイクレス化したいという依頼も多いです。革製ゴルフシューズは対候性や維持など手間もかかりますが、修理して履けば、自分の足に馴染む相棒となってくれます。私自身、ゴルフをしますが20数年同じ革製シューズを手入れしながら履いているのです」

「基本的にどんな依頼も断らないから、他所で断られた依頼がウチに来てしまうみたいなのです」と笑う虫明氏。岡山の工房でひとり真摯に取り組む彼の元には、全国から届いた修理待ちのゴルフシューズがバックオーダーとして並んでいるそうだ。

【DATA】
いずみ靴店
岡山県倉敷市玉島阿賀崎2-6-46
https://www.izumikutumise.com/

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏服選びはエイトジーで完成させる! “ちょうどいい”アメカジアイテムが続々登場

  • 2026.05.01

エイトジーで完成させるお気に入りの夏支度。アロハにショーツ、Tシャツなど、エイトジーらしい“ちょうどいい”アメカジアイテムが今シーズンも徐々に揃い始めているぞ。 生地、グラフィック、色合いがマッチし、まるで着るアートピースのような存在感。|Waikiki Leaf & Fish Lot:8A...

大人の夏はゆるくてこなれ感があるコーデが気分。“アジ”のあるピグメントTとデニムさえあればいい

  • 2026.04.17

ハナから古着みたいに着られる、アジのある服が大好きだ。「ジムマスター」が今季推すピグメントTとデニムも、加工感が素敵。いい“アジ”を知り尽くすふたりも、どうやら気に入ったご様子です。 「MIA MIA Kuramae」ヴォーンさんは、ピグメントTにオールインワンを着崩して合わす! 色ムラによる古着ラ...

スニーカー派こそ知っておきたい、「クラークス オリジナルズ」の名作シューズとその歴史。

  • 2026.05.12

ご存知、英国生まれのシューメーカー「クラークス オリジナルズ」。実は本誌が標榜するアメリカンスタイルとも縁深い同ブランドの魅力について創業から現代にかけての歴史や数々の名作とともに、再考してみたいと思う。 英国で生まれ、アメリカで人気に火がついた稀有な存在。 アメカジ好きの本誌読者の皆様は、クラーク...

無骨と涼感。どちらも、ステュディオ・ダ・ルチザンで手に入る

  • 2026.05.02

異なる魅力を持つふたつのスタイル。だが、その根底にあるのは、日本のモノづくりに裏打ちされた丁寧な作りと、細部に宿る遊び心である。 制約が生んだ大戦期の美学! 物資統制下にあった大戦期、簡略化されたディテールの中から生まれた機能美。その無骨な佇まいをベースに、ステュディオ・ダ・ルチザンが現代的に再構築...

Pick Up おすすめ記事

夏を装いが物足りない時のひと工夫。涼しげな素材と優しい配色で気軽に“レイヤード”を楽しむ

  • 2026.04.16

シャツとジーパン。それだけで成立することは分かっていながら、やっぱりちょっと物足りない、と感じたときに思い出してほしいキーワード。それは、レイヤードだ。ぜひ夏の装いのひと工夫に加えてもらいたい。 涼しげな素材×優しい配色のレイヤード 夏に着るトップスはシャツとインナーだけになりがち。だが、シャツの下...

夏服選びはエイトジーで完成させる! “ちょうどいい”アメカジアイテムが続々登場

  • 2026.05.01

エイトジーで完成させるお気に入りの夏支度。アロハにショーツ、Tシャツなど、エイトジーらしい“ちょうどいい”アメカジアイテムが今シーズンも徐々に揃い始めているぞ。 生地、グラフィック、色合いがマッチし、まるで着るアートピースのような存在感。|Waikiki Leaf & Fish Lot:8A...

スニーカー派こそ知っておきたい、「クラークス オリジナルズ」の名作シューズとその歴史。

  • 2026.05.12

ご存知、英国生まれのシューメーカー「クラークス オリジナルズ」。実は本誌が標榜するアメリカンスタイルとも縁深い同ブランドの魅力について創業から現代にかけての歴史や数々の名作とともに、再考してみたいと思う。 英国で生まれ、アメリカで人気に火がついた稀有な存在。 アメカジ好きの本誌読者の皆様は、クラーク...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

大人メンズの手首に最適解なバングルを……「アリゾナフリーダム」を象徴するモチーフ“唐草”。

  • 2026.05.08

アリゾナフリーダムを象徴するモチーフのひとつ、唐草。創業当初から脈々と受け継がれ、ブランドの核として多くのファンに愛され続けてきた、いわば普遍的なデザインだ。一見すると同じ唐草でも、彫りの深さやラインの強弱、バングルの幅やサイズによって印象は大きく変化する。その多彩な表情こそが、このモチーフの大きな...