書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

アドビの生成AIのさらなる充実を発表【Adobe MAX Japan 2025レポート・後編 】

2月13日に東京ビックサイトで行われたクリエイターの祭典、Adobe MAX Japan 2025のレポート、後編をお届けする。アドビは生成AIをゼロから使い道のわからない画像や動画を産み出すために使おうとはしていない。日常のクリエイティブをサポートするために使おうとしている。その活用シーンは多岐にわたる。

シャンタヌ・ナラヤンCEO来日、AI関連多数新機能発表【Adobe MAX Japan 2025レポート・前編 】

シャンタヌ・ナラヤンCEO来日、AI関連多数新機能発表【Adobe MAX Japan 2025レポート・前編 】

2026年08月31日

根本部分の更新で、処理能力向上を図るIllustrator

Illustratorの話をしてくれたのは、『前髪パッツン』の岩本崇さんだ。

ご存知のように、企業ロゴから、看板、ポスター、タイトル画像……など、Illustratorで作られるものは多い。特に日本は世界的に見てもIllustratorユーザーが多いのだそうだ。

それもあってか、昨年秋に日本語の文字組み機能が全面刷新された。

写植時代からのさまざまな細かいルールの多い日本語組み版の世界だが、Illustratorでは長年アップデートにアップデートを重ねた状態になっており、複雑なデータを組むと日本語の処理が重くなっていた。

この日本語の文字組のシステムがゼロから再構築さて、非常に軽快に動くようになった。

しかし、この更新により文字組に微妙な差違が出るため、古いデータを使う際には『文字組更新機能』を通して、デザインをアップデートする必要があることには注意されたい。

また、Illustratorの基盤となる描画システムにも大幅なアップデートが施されている。現在、Illustratorの描画機能にマルチスレッドの導入が推進されており、一部の機能の処理が5〜10倍速くなっているという。

すべてのレイヤーにドロップシャドウを施す……というような処理も非常に高速化されており、ご覧のような複雑な画像の全面にドロップシャドウを施すようなシーンで、最大5倍高速化されているという。

フォントライブラリには新たに数十種類の日本語フォントが追加され、全部で1300種類以上の日本語フォントが利用できるようになった。

とりわけ注目は、アドビが独自に開発したフォント『百千鳥(ももちどり)』だ。このフォントは史上初のバリアブルフォントで、可変の仮想ボディを持つのが特徴。

昔の印刷物などで使われていた書き文字の世界では、文字スペースに合わせて長体、平体、文字の太さなどが使い分けられていた。

しかし、従来のデジタルのフォントで長体や平体をかけると、線の太さ自体も変わってしまっていた。

百千鳥は4種類マスターを持つことで、長体、平体をかけても線の太さは変わらない。そして線の太さはまた別のパラメーターとして調整できるようになっている。

これにより、文字スペースに対して、しっかりと収まり、強く自己主張するフォントが出来上がった。この和文バリアブルフォントの開発には、何と10年以上の年月がかけられているのだという。

下は、Adobe MAXの会場に作られていた百千鳥のブース。

レトロなホーロー看板などでは、スペースに合わせて、長体、平体を自在に使った手描き文字デザインが使われていたものだが、百千鳥はそれを再現することができるというわけだ。

少し、レトロなテイストではあるが、使い方によって表情の変わるフォントなので、これからさまざまなシーンで使われることになりそうだ。

2Dデザイナーでも3DなデザインができるProject Neo

もうひとつ、Illustratorユーザーにとって嬉しいのが、Project Neoのパブリックベータ版の提供だろう。

Project Neoは、Illustratorのベクターデータを元に、簡単に3D風デザインを構築できるシステム。

平面図形を、押したり引いたり、回転させたりすることで、立体風デザインを作ることができる。

下の写真はそうやって作った左の3D映像を元に、Fireflyを利用することで右のようなイラストが生成されるというデモ。

動画作成でも生成AI機能が大活躍

Premiere Proにも生成AIを活かした機能が用意された。人物など動いてるものを選択してマスクを作ることができるようになった。

これにより、背景のみをモノトーンにしたり、人物の後ろにロゴを合成したりできるようになった。さまざまなシーンで使えそうな新機能だ。

さらに、他言語の音声を生成することもできるようになった。自分が日本語で話した動画の英語版を作ることができるのだ。YouTuberの方は、英語が苦手でも世界進出が可能になった。

大量のキャンペーンコンテンツ生成にも対応

マーケティングツールであるAdobe GenStudioでも生成AIが使える。

SNSなどによって、必要とされる画像サイズや、キャッチや本文の文字数は違うものだが、Adobe GenStudioを使うことによって、マーケターがブランドのルールに応じたキャンペーンコンテンツを大量に作れるようになったという。

そうした広告を受けとる側としては、大量に生成された広告コンテンツが押し寄せてくると思うとゾッとするが、より自分にフィットした広告が表示されるのなら望ましいといえるだろう。

Adobe ExpressやAcrobatでも生成AIを活用

個人商店を営んでる人や、非クリエイティブ部門の人が、クリエイティブなコンテンツを作ることができるAdobe Expressについて語ってくれたのは、デジタルメディア事業部門およびGTM兼セールス部門担当SVPのマニンダ・ソーニー氏。

デザインに関する素養がなくても、アプリの使い方に詳しくなくても、プリセットされたデザインから選んで一部を変更していくだけでロゴやチラシやバナーを作ることができるAdobe Express。

今回は、バナーに簡単にアニメーションを入れたりする方法がデモされた。

さらに、Adobe Acrobatでも生成AI機能が日本語に対応。AIアシスタントして、ドキュメントの要約を行ったり、ドキュメント自体に質問したりすることができる。質問にドキュメントが答えてくれるようになるなんて、実に画期的だ。

このように、クリエイティブ部門のアプリだけでなく、マーケティングアプリや、ドキュメントアプリにまで生成AIがサポートしてくれるようになった。

あまりに新機能が多すぎて、本記事でもまったくカバーできていないが、自分が使っているアプリの新機能を探して使って見て欲しい。新機能を積極的に取り入れれば、驚くほど作業が効率的になるはずだ。

(村上タクタ)

アドビ、初の2軸日本語バリアブルフォント『百千鳥』の開発を発表

アドビ、初の2軸日本語バリアブルフォント『百千鳥』の開発を発表

2026年08月31日

マイアミで開催される、クリエイティブの祭典Adobe MAXの取材に行ってきます

マイアミで開催される、クリエイティブの祭典Adobe MAXの取材に行ってきます

2026年08月31日

Adobe MAX 2024フロリダ州マイアミで開催。多数の機能を発表

Adobe MAX 2024フロリダ州マイアミで開催。多数の機能を発表

2026年08月31日

Adobe MAX 2024発表のキモ!【非クリエイターにも分かる!】

Adobe MAX 2024発表のキモ!【非クリエイターにも分かる!】

2026年08月31日

なぜPremiere Proの生成拡張は2秒だけなのか?——他社とのスタンスの違い【Adobe MAX】

なぜPremiere Proの生成拡張は2秒だけなのか?——他社とのスタンスの違い【Adobe MAX】

2026年08月31日

『撮り鉄さん、生成AI使ってみません?』アドビが相鉄とコラボイベント

『撮り鉄さん、生成AI使ってみません?』アドビが相鉄とコラボイベント

2026年08月31日

 

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...

ヒートツイードとは? 軽くて薄くて暖かい、英国派に捧ぐ革命ツイード

  • 2026.10.26

〈トラディショナル ウェザーウェア〉が誇る人気シリーズ、ヒートツイード。英国ツイードのオーセンティックな雰囲気はそのままに、驚くほど軽く、保温性の高いオリジナル生地。一度味わうとやみつき間違いなし! 英国らしくも、軽くて暖かなツイード生地は現代的ヘビーデューティ素材の最適解である。 【コート】ブラン...

Pick Up おすすめ記事

ヒートツイードとは? 軽くて薄くて暖かい、英国派に捧ぐ革命ツイード

  • 2026.10.26

〈トラディショナル ウェザーウェア〉が誇る人気シリーズ、ヒートツイード。英国ツイードのオーセンティックな雰囲気はそのままに、驚くほど軽く、保温性の高いオリジナル生地。一度味わうとやみつき間違いなし! 英国らしくも、軽くて暖かなツイード生地は現代的ヘビーデューティ素材の最適解である。 【コート】ブラン...

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

「BEORMA」140年の伝統を受け継ぐ、英国屈指のレザークラフト

  • 2026.10.21

英国トラッドを語るうえで欠かすことのできない存在がレザークラフトだ。140年の歴史とクラフトマンシップを受け継ぎ、現代のスタイルにも馴染む唯一無二のプロダクトを生み出す〈べオーマ〉は、その筆頭となりうる存在だ。 熟練職人の魂宿る伝統のレザークラフト 英国中部の小さな町・ウォルソール。革加工・馬具産業...