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Vision Pro日本発売間近!? 2カ月半使って分かった、買う価値があるかどうか!?

アップルの公式情報としては、日本発売は『年内』である。ただ、6月にWWDCがあること、商品がUSでは潤沢にありそうなこと、販売ルートやいろいろなところから、チラホラと聞こえてくる噂……などを総合すると、5〜6月に発売があってもおかしくない。「日本に入荷したら買うゾ!」と思っていた人は、そろそろ覚悟を決めなければならないタイミングである。そこで、すでに自腹約75万円をはたいてVision Proを購入している筆者が、買う価値があるのかどうか、どんな人に向くのか? 利点と欠点は何なのか? を語る。

日本の販売環境の準備は整ったのだろうか?

実際、買って使ってみると、Vision Proが通常の商品のように、ポンポンと販売できる商品でないことがよく分かる。

まず、眼鏡、ハードコンタクトレンズはNG。ソフトコンタクトレンズはなんとかOK。視力を調整するためのZEISSの光学インサートを購入するには、USでは医師の診断書が必要。さらに、購入前にはiPhoneのFace IDを使って、顔の計測を行い、それに合わせて二十数種類あると言われるLight Sealのサイズを選択しなければならない。

いろいろな人に試してもらった経験上の知見として、ハードコンタクトでも上手く動作することもあるし、自分用のLight Sealでなくても動くこともあるが、「目で見たものが反応する! すごく視野角の広い立体に見える!」というVision Proの特徴を正しく体験するためには、これらのセッティングが必要だ。

販売店舗側としては、店舗でそれを検査したりする設備が必要だし、店頭でレクチャーできるスタッフも必要だ。私も、のべ100人ぐらいの人にVision Proを体験いただいたが、横からのぞき込むことのできないVision Proの使い方を説明するのは非常に難しい。正直、体験する側の資質もある(素直に、順番に言うことを聞ける人か? アップルデバイスの作法に慣れているか?)。また、さらに流通の整備もあるだろう。USと違って、日本では医療機関でなくても検眼ができるそうだが、とはいえどこで視力を計測して、光学インサートを提供するか……という問題もある。

さらに、現状、我々が入手した初期バージョン、つまりvisionOS 1は、英語版しか存在しない。当然のことながら、日本語対応OSと、日本語入力IMEが必要になる。基本はiPadOSベースのOSなので、それに準じた日本語IME、日本語版Siriが用意されるのだと思うが、日本語版のSiriは英語版ほど認識率が高くないので、音声操作も重要になるVision Proにおいては、苦労することになると思う。

とはいえ、それらの障壁を乗り越えて、Vision Pro日本発売のための準備は進んでいるに違いない。

Vision Proの用途、その1.Macの外付けディスプレイ

で、Vision Proは何に使えるのか? という質問だが、今のところ私には3つの用途がある。

ひとつ目にして、私にとって最大の用途は、Macの外付けディスプレイとしての用途だ。

同じiCloudアカウントを持つiPadを、Macの外付けディスプレイとして利用できるのと同様に、Vision ProはMacの外付けディスプレイとして利用できる。

同じWi-Fiに入った状態でMacを見ると、その上に「Connect」というボタンが浮き上がる(このインターフェイスも魔法のように良くできている)。それをクリックするとMac本体のディスプレイは消えて眼前に4Kディスプレイが現れる。

このディスプレイは、どこにでも浮かび上がらせることができるし、サイズもあるていどまでは自由に拡大させられる。壁面近くに大きなディスプレイを表示させることもできるし、天井近くに浮かび上がらせることもできる。

筆者は、普段、MacBook Pro 14インチの本体ディスプレイと、5Kと4Kディスプレイの3枚を、ディスプレイアームで浮かべて仕事をしている(長時間ディスプレイに向かうので、なるべく肩凝りが発生しないように工夫している)が、それでも原稿を書いている間は「ディスプレイの位置に頭部を合わせる」ことを強いられる。そして、それが物書きの職業病でもある肩凝りの原因になっている。

しかし、Vision Proで表示できるMacの外付けディスプレイは、自分の姿勢に合わせて好きな位置に表示できるのだ。だから、筆者は物理ディスプレイの作業に疲れたら、Vision Proを装着して、イスをリクライニングし、楽な位置に大スクリーンを表示して作業をするようになった。

使用者にはこう見えているという合成イメージです。第3者からは、Vision Proで見ている映像は見られません。

頭の位置をディスプレイに合わせるストレスと、それなりに重さのあるVision Proを装着するストレスのトレードオフだが、ワーキングチェアをリクライニングさせると、Vision Proの重さはあまり気にならなくなる。

欠点は4Kディスプレイ1枚しか使えないことだが、サイズは大きくできるので、資料を開いて、書いている原稿を開いて……という作業には十分だ。できれば、複数枚のディスプレイを使いたいが、Wi-Fi経由の接続であることを考えると、(今のところ)4K 1枚が限界なのは納得ではある。ならば、湾曲ディスプレイにできる設定があれば、4Kをより活用できると思うのだが。今のところ、画面を拡大すると、端の方が見にくくなる。

Vision Proの用途、その2. 3Dを含むARエンターテイメント

2つ目はエンターテイメントだ。

Apple TVや、Disney+で、3D映画を見るのは本当に素晴らしい体験だ。

いくつかの映画を見たが、3D体験の3Dっぷりには差があることに気が付いた。見た映画の中でいうと、スター・ウォーズ フォースの覚醒<アバター:ウェイ・オブ・ウォーター<アベンジャーズ エンドゲーム、という感じだった。3D表現の濃さが違うのだ。

使用者にはこう見えているという合成イメージです。第3者からは、Vision Proで見ている映像は見られません。

リビングのソファーに座って、3D映画を見るのは素晴らしい体験だ。この立体感は、これまで映画館でなければ体験できなかった質のものだ。もちろん、Oculus Questなどでも3D映画を見ることはできたが、現実空間が見える状態で3D映画を楽しめる……というのはまた格別だ。VR空間で楽しみたければアベンジャータワーの上は、スターウォーズに登場するタトゥイーンに背景を変えて楽しむこともできる。これは単なる壁紙ではなく、エンバイロメントなので、立体の空間で、あたかもそこにいるように見える。

エンバイロメントをアベンジャーズタワーの上に設定して、映画を楽しむことができる。

また、普通の2D映画でも没頭して楽しむことができる。オーディオがかなり良いので、まるで立派なホームシアターを家に持ってる感覚で楽しむことができる。たった75万円でホームシアターが楽しめるとしたら、それはかなりお買い得だといえるだろう。

Vision Proの用途、その3.空間コンピューティング体験

3つ目は文字通り空間コンピューティングの世界をかいま見ることができるということ。

本来はこれを一番に持ってきたいところなのだが、今のところ、十分に楽しめるアプリが少ない。立体的なパズルを楽しんだり、人体の解剖図(というか立体だが)をグルグル回して観察したり、3D空間に浮かぶマインドマップを作ったりすることができるが、まだ「決定版だ!」と思えるアプリは見つけられていない。これば、WWDC 24のあとにいろいろ登場するのではないかと思っている。また、現時点では日本のアカウントを使えないので、有料アプリを買うのが難しく(不可能ではない)、いろいろトライしていないというのもある。

離れた場所の天気を感じられるARならではのアクセサリーアプリ『SunnyTune』。こういうARの利点を深く考えたアプリが増えて欲しい。

また、日本語が扱えないのも私的にはかなり問題。出来ることが限られる(たとえば、Vision Pro単体で(Macやキーボードを使わずに)日本語の書類を書いたり、メールの返事を日本語で書いたりするのは困難だ。

しかし、どちらの問題もいずれ近いウチには解決するはずだ。

空間コンピューティングが提供する新しいコミュニケーション体験を創造するチャンス!

1つ目、2つ目の用途は、他のものでも代替が利く。しかし、最後の『空間コンピューティングの世界をかいま見る』というのは他のデバイスでは不可能だ。

現在のところ、それなりに高額だし、扱いにくくもある。

しかし、他の人に先んじて、このユニークな世界を生活に取り入れるには、今Vision Proを買うしかない。

Vision Proを持ってる人が大勢いると、お互い、Vision Proを装着しているのが前提の会話になる。そして、こちらの視界をキャプチャーしたものをAirDropで渡すとか、離れたところの人とFaceTimeしながら会話するとか、複雑で不思議なコミュニケーションが発生する。

アップルはかなりの調査を行ってこのデバイスを発売しているはずだ。iPadや、Apple Watchも、最初は「使うの?」と言われたが、徐々に方向を修正していってちゃんとニーズのあるデバイスとして定着させている。

たとえば、iPadは電子コンテンツを楽しむためのデバイスとして登場したが、あとからApple Pencilや、Smart Keyboardを追加して、クリエイティブワークや学校での利用にも便利なデバイスとして完成した。Apple Watchも最初のうちは約200万円のゴールドモデルなどを出して迷走しているように見えたが、今はヘルスケアデバイスとして不可欠なものになっている(もちろん、Suicaも使えるし、通知も見られる)。

今後、Vision Proも徐々に方向性に修正を加えながら進化していくことだろう。しかし、ともあれ、最初の一歩を体験できるのは今だけなのだ。

Vision Proが国内販売されるようになったら、ぜひ購入して満喫していただきたい。

(村上タクタ)

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村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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