まず、パッケージから
パッケージは黒い上質な紙製。
上面にはHHKB Studioと刻まれる。Studioというネーミングでイメージされるのは、Mac Studioや、Studio Display。つまり、クリエイティブの制作の現場で使って欲しいというニュアンスがあるように思う。
思えば、従来のHHKBはクリエイティブというよりは、エンジニアだったり、デスクワークのツール。それと対照的なカテゴリーのユーザーにもHHKBの素晴らしさを知ってほしい……ということなのかも。
中身は本体の他には、乾電池4本と、ポインティングスティックの予備、丈夫そうなUSB-Cケーブル、そして、いくつかのペーパーが同梱されている。
そう、従来のHHKBは単3乾電池2本で動作したが、HHKB Studioは単3乾電池4本を必要とする。USB-Cケーブルは片側がL字となっている。親切。
ペーパー類は豊富。安全上の注意はもちろん、LEDインジケーター表示の解説や、ペアリングの方法、キーアサインの方法など充実している。以前のScanSnap iX1500の時にシンプルさを意識してドキュメントを減らしたところ、分からないというユーザーが多かったという反省か? ウェブ上にドキュメントを置いておいても、なかなかそこまでたどり着かない……というのが現実なのかもしれない。
大きく平たくなっている
さて、本体。キー配置はScanSnapと同じだが、ポインティングスティック用のマウスボタンとジェスチャーパッド分周囲がひとまわり大きい。
安定性を増すために鉄板が入っており、その効果あって、打鍵感も非常に良好。45gのリニア軸の打鍵感は好みの分かれるところだが、キースイッチは交換できるので、好きなようにカスタマイズできるところがHHKB Studioの利点。
HHKB Hybridと比較すると、こんな感じ。色が違うので分かりにくいかもしれないが、HHKB Studioの方がひとまわり大きいのがお分かりいただけるだろうか?
もうちょっとローアングルから撮るとこんな感じ。全般にHHKB Studioの方が低い。
そして注目のポインティングデバイス。ちょっと触った感じでは、IBM Think Padと同じような感じ。ただ、このあたりはドライバーのセッティングに大きく左右される部分なので、使い込んでみないとその真価は分からないところだろう。動作は大きく分けて4段階、細かく調整すれば28段階にレスポンスを調整できるという。
キースイッチが一般的なMXキーに、さらにホットスワップ可能な取付になったので、今後、キースイッチや、キートップの交換が流行るだろう。静電容量無接点方式のHHKB Hybridが好きという人も多いだろうけれど、好みのキースイッチに差し替えられる新方式も魅力的だ。
キートップは、交換できるとはいえ、『G』『H』『B』のキーに関しては特殊な加工が必要だ。今後、PFUは3Dデータも公開するというので、3Dプリンターでオリジナルキートップを作ったりもできそうだ。
サイドと手前のボディ左右の合計4カ所、キートップと本体の間の濃いグレーのプラスチック部分がタッチパッドになっている。拡大縮小や画面の切り替えなどの機能を割り当てるのに良さそう。何を割り当てるかは工夫次第といったところ。
スライドスイッチの採用が嬉しい
単3乾電池4本を底面から入れるようになったので、HHKB Hybridにあったような電池の出っ張りはなくなった。
接続用のコネクターはUSB-C、電源スイッチはスライドスイッチになった。
従来のプッシュスイッチだとオンかオフか、触ってみないと分からなかったが、スライドスイッチになって、明示的に電源のオン/オフが分かるようになった。日々使う道具として、こういうフィジカルなスイッチの導入は嬉しい。
ずしりと300〜320gほど重く、打鍵時の安定感が高い
底面にスライド式のフタがつき、単3乾電池4本とディップスイッチを収納。従来よりデザイン的に美しくなったと思う。
底面には従来同様に、本体の傾きを2段階に調整可能な脚が付く。従来と微妙に違うのは、それぞれの先端にゴムが付けられていることだろう。細かい部分に熟成の跡が見える。
背面にエングレーブでロゴが入っているのは、最近のアップル製品を思わせる。意識しているのだろうか?
触れてみて驚くのは重いこと。底面に鉄板が入っているのだそうだ。英語配列が840g、日本語配列が830g (キーの多い日本語版の方が軽いのは何故?)と、Hybrid Type Sがそれぞれ540g、550g(あれ、こっちは英語版の方が軽い)だったことを考えると300〜320gぐらい重い勘定になる。
持ち運びには不利だが、タイピング時の安定感は大きく増している。打鍵感が良くなったと思うと、持ち運びの重さは我慢しなければならないか……。
次の記事では、ファーストインプレッションをお届けする。
(村上タクタ)
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