書類、名刺、レシートなどすべてデータ化 リモートワークの必需品 ScanSnap iX2500

スカウターを具現化? Even Realities社、ウィル・ワン氏インタビュー

今のところ、ほとんど日本にユーザーはいないとは思うが、非常に興味深いのでレポートを続ける。過去、2本の記事でEven RealitiesのEven G1を紹介してきたが、その過程でEven Realities社のCEOであるウィル・ワン(Will Wang)氏にメールを介して話を聞くことができたので、そのやりとりをご紹介しよう。

Even Realities
https://www.evenrealities.com/

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

2025年10月27日

グラス型デバイスのひとつの理想。Even RealitiesのEven G1を買って2カ月経った

グラス型デバイスのひとつの理想。Even RealitiesのEven G1を買って2カ月経った

2025年10月27日

元アップルのPMが注目した、『HAOS』テクノロジー

LinkedInによると、ウィル・ワン氏は上海交通大学と、米シンシナティ大学で機械工学の学士を取得、その後カリフォルニア大学バークレー校で修士号を取得し、P&G、サンディスクなどを経てアップルでApple Watchの開発・製造プロジェクトに関わった。その後、Anker、OPPO、JMGOなど中国の名だたるハードウェア企業でPMやCPOとして働いた後、深圳でEven Realitiesを起業している。

(LinkedInより)

まず、不思議なのは、Even G1のような革新的な製品を、新興企業がいきなり作り出せたことだ。Even G1は、Even Realities社の最初の製品なのだろうか? また、なぜこれほど革新的な製品を作れたのだろうか?

ウィル・ワン:
はい、Even G1は当社初の製品です。

私とCTOは元Apple本社のエンジニアで、iPhoneやApple Watchなど様々な製品に携わってきました。

一方、エンジニアリングチーム(訳注:中国深圳の開発チームと思われる)は様々な製品をリリースしてきた経験豊富な技術者集団です。そして、ヨーロッパで最も有名な高級アイウェアブランドLINDBERG出身のCSOが、高級アイウェア業界で数十年の経験を持つ専門家チームを率いています。このように、当社はまさにトップクラスのエンジニアとトップクラスのアイウェア専門家が融合した組織であり、だからこそこれほど迅速に製品をリリースできたのです。

Even G1の技術の核心は、ガラス面に文字を表示するHAOS(Holistic Adaptive Optical System:総合的適応光学システム)にある。他ではまったく見られないタイプの独自技術だ。これはどこで開発されたのだろう? メカニズムについても、可能な限り詳細に教えて欲しい。

ウィル・ワン:
HAOSは、Even Realitiesチームが独自に開発したディスプレイアーキテクチャです。

HAOSは、ユーザーの目の約1~5メートル前に浮かび上がる、高コントラストのモノクロディスプレイを実現するように設計されています。同時に、近視の人でも処方箋レンズを使用することで、完全な体験を提供できる設計となっています。

HAOSは、人間の視覚の自然な焦点距離を模倣した距離に画像を表示することができます。これにより、目の疲れを軽減し、日常のシーンにおいてディスプレイをより快適で見やすいものにします。

近距離(多くの場合数センチ程度)への焦点合わせを必要とするVRディスプレイとは異なり、HAOSは目が急激に焦点を調整する必要がありません。そのため、G1は通知、テレプロンプティング、ナビゲーションなど、長時間、日常的に使っても目に疲れを感じることがなく、快適です。

つまり、HAOSは通常の視界の中に、鮮明な画像表示を行うことができ、デジタル情報を自然なかたちで視界の中に共存させることができます。

中国の技術、ヨーロッパのブランディング、日本市場への進出は?

販売店展開はヨーロッパが中心になっている。その他は、アメリカでわずかに販売店があるていど。日本を含め他の国からも買うことはできるが、明らかに購入の難易度は上がる。商品も、ウェブサイトもヨーロッパ風な非常にスタイリッシュなデザインなのだが、本拠地はどこにあるのだろうか? 調べると深圳とベルリンの両方に拠点があるようだが……。中国では販売されていないのだろうか?

ウィル・ワン:
現在、中国本土では販売していません。私たちは、テクノロジーブランドとしてだけでなく、アイウェアブランドとしてヨーロッパ市場に注力しており、この区別が非常に重要です。

ヨーロッパは長年、高級伝統アイウェア業界の頂点であり、世界で最も成熟したプレミアム市場となっています。つまりヨーロッパに注力するという販売戦略は、先進技術と時代を超越した光学グレードの職人技を融合するという、私たちのブランドポジショニングと完全に一致しています。

日本市場については、どう考えているのだろうか? 今後進出する可能性はあるのだろうか? また、日本で使用するにあたり、日本の技術認証(いわゆる技適)は取得されているのだろうか?(技適取得済みなのはケースの印字で確認済みだが、念のために質問)

ウィル・ワン:
技適は取得済みなので、安心して日本でお使いください。日本への販売は現在公式ウェブサイトを通じて行っています。度付きレンズについても、情報をお送りいただければ対応可能です。遠くない将来、日本にも販売チャンネルを設け、PRを行っていきたいと思っています。日本は今後の大きな焦点となる予定です。

 

多くのグラス型デバイスが登場するのはなぜなのか?

Even G1に加え、Ray-Ban MetaやXREALといったメガネ型デバイスが注目を集めています。メガネ型デバイスが今、これほど注目を集めているのはなぜだろうか? また、Vision ProやOculus QuestなどのVRデバイスとの違いについて、何か意見があれば、聞かせて欲しい。

ウィル・ワン:
かさばるヘッドセットとは異なり、Even G1は日常使用を想定して設計されています。見た目は普通のアイウェアのように見えますが、ライブ翻訳、AIアシスタンス、ナビゲーションといった実用的な技術機能が組み込まれています。

アイウェア型デバイスへの関心の高まりは、人々のニーズの広い範囲での変化を反映しています。人々は、VRデバイスのような、孤立した環境での没入型体験だけでなく、現実世界にシームレスに溶け込むスマートツールを求めています。

VRヘッドセットは、完全に没入感のあるデジタル世界を作り出し、多くの場合、ユーザーを物理的な環境から切り離します。一方、Even G1は、さりげないデジタルオーバーレイで現実世界を豊かに演出します。これは、生産性を向上し、コミュニケーションを豊かにし、そして日々の利便性を高めてくれます。

私たちは、このフォームファクターが空間コンピューティングの主流化への入り口になると信じています。なぜなら、未来は現実から逃避することではなく、現実を高めることにあるからです。

 

まったくの余談だが、左側のテンプルを先に折り畳まないと充電されない。途中までそれに気付いていなくて、「なぜ充電されないのだろう?」と思っていた。どっかに大きく書いておいて欲しい……(書いてあったのに気付かなかっただけかもしれないが)。

Even Realitiesの可能性は大きいと思う

ウィル・ワン氏の話は、非常に納得感の高いものだった。

現在の使用感は、まだごく一般的なユーザーに普及するためには完成度が不足していると思うが、現実に文字情報をオーバーレイするHAOSという基本技術の完成度は非常に高い。あとはBluetooth接続の安定性と、ニーズにフィットしたソフトウェア的な使い勝手の向上が達成されれば、Even G1は多くの人が日常的に活用するデバイスになるだろう。

今回、聞いたほかにも、「近々多くの操作が音声経由で可能になるアップデートがある」「Even AIの代わりに、自分の(有償版の)ChatGPTアカウントと連携できるようになる」「国民民主党の代表の玉木雄一郎氏もユーザーである」などの情報も得ている。最後の一件……野党党首が使っているというのは、日本のユーザーにプラスの印象を与えるかどうかは分からないが、ともあれ彼らが日本への興味を持っているということは感じられる。

日本で、オフィシャルに販売されるルートができることを楽しみに待ちたい。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
この記事を書いた人

村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏のアメカジがもっと楽しくなる「HEATH」のオリジナルプリントT !!

  • 2026.06.30

横浜を拠点に“大人のアメカジ”を提案する「ヒース」。セレクトショップでありながらハイクオリティなオリジナルプロダクツに定評があり、遊び心のあるアイテムや限定モデルも多く展開している。その筆頭が7.4オンスの肉厚Tシャツシリーズだろう。 [caption id="" align="alignnone"...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

Pick Up おすすめ記事

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。