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スカウターを具現化? Even Realities社、ウィル・ワン氏インタビュー

今のところ、ほとんど日本にユーザーはいないとは思うが、非常に興味深いのでレポートを続ける。過去、2本の記事でEven RealitiesのEven G1を紹介してきたが、その過程でEven Realities社のCEOであるウィル・ワン(Will Wang)氏にメールを介して話を聞くことができたので、そのやりとりをご紹介しよう。

Even Realities
https://www.evenrealities.com/

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

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2026年08月28日

グラス型デバイスのひとつの理想。Even RealitiesのEven G1を買って2カ月経った

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2026年08月28日

元アップルのPMが注目した、『HAOS』テクノロジー

LinkedInによると、ウィル・ワン氏は上海交通大学と、米シンシナティ大学で機械工学の学士を取得、その後カリフォルニア大学バークレー校で修士号を取得し、P&G、サンディスクなどを経てアップルでApple Watchの開発・製造プロジェクトに関わった。その後、Anker、OPPO、JMGOなど中国の名だたるハードウェア企業でPMやCPOとして働いた後、深圳でEven Realitiesを起業している。

(LinkedInより)

まず、不思議なのは、Even G1のような革新的な製品を、新興企業がいきなり作り出せたことだ。Even G1は、Even Realities社の最初の製品なのだろうか? また、なぜこれほど革新的な製品を作れたのだろうか?

ウィル・ワン:
はい、Even G1は当社初の製品です。

私とCTOは元Apple本社のエンジニアで、iPhoneやApple Watchなど様々な製品に携わってきました。

一方、エンジニアリングチーム(訳注:中国深圳の開発チームと思われる)は様々な製品をリリースしてきた経験豊富な技術者集団です。そして、ヨーロッパで最も有名な高級アイウェアブランドLINDBERG出身のCSOが、高級アイウェア業界で数十年の経験を持つ専門家チームを率いています。このように、当社はまさにトップクラスのエンジニアとトップクラスのアイウェア専門家が融合した組織であり、だからこそこれほど迅速に製品をリリースできたのです。

Even G1の技術の核心は、ガラス面に文字を表示するHAOS(Holistic Adaptive Optical System:総合的適応光学システム)にある。他ではまったく見られないタイプの独自技術だ。これはどこで開発されたのだろう? メカニズムについても、可能な限り詳細に教えて欲しい。

ウィル・ワン:
HAOSは、Even Realitiesチームが独自に開発したディスプレイアーキテクチャです。

HAOSは、ユーザーの目の約1~5メートル前に浮かび上がる、高コントラストのモノクロディスプレイを実現するように設計されています。同時に、近視の人でも処方箋レンズを使用することで、完全な体験を提供できる設計となっています。

HAOSは、人間の視覚の自然な焦点距離を模倣した距離に画像を表示することができます。これにより、目の疲れを軽減し、日常のシーンにおいてディスプレイをより快適で見やすいものにします。

近距離(多くの場合数センチ程度)への焦点合わせを必要とするVRディスプレイとは異なり、HAOSは目が急激に焦点を調整する必要がありません。そのため、G1は通知、テレプロンプティング、ナビゲーションなど、長時間、日常的に使っても目に疲れを感じることがなく、快適です。

つまり、HAOSは通常の視界の中に、鮮明な画像表示を行うことができ、デジタル情報を自然なかたちで視界の中に共存させることができます。

中国の技術、ヨーロッパのブランディング、日本市場への進出は?

販売店展開はヨーロッパが中心になっている。その他は、アメリカでわずかに販売店があるていど。日本を含め他の国からも買うことはできるが、明らかに購入の難易度は上がる。商品も、ウェブサイトもヨーロッパ風な非常にスタイリッシュなデザインなのだが、本拠地はどこにあるのだろうか? 調べると深圳とベルリンの両方に拠点があるようだが……。中国では販売されていないのだろうか?

ウィル・ワン:
現在、中国本土では販売していません。私たちは、テクノロジーブランドとしてだけでなく、アイウェアブランドとしてヨーロッパ市場に注力しており、この区別が非常に重要です。

ヨーロッパは長年、高級伝統アイウェア業界の頂点であり、世界で最も成熟したプレミアム市場となっています。つまりヨーロッパに注力するという販売戦略は、先進技術と時代を超越した光学グレードの職人技を融合するという、私たちのブランドポジショニングと完全に一致しています。

日本市場については、どう考えているのだろうか? 今後進出する可能性はあるのだろうか? また、日本で使用するにあたり、日本の技術認証(いわゆる技適)は取得されているのだろうか?(技適取得済みなのはケースの印字で確認済みだが、念のために質問)

ウィル・ワン:
技適は取得済みなので、安心して日本でお使いください。日本への販売は現在公式ウェブサイトを通じて行っています。度付きレンズについても、情報をお送りいただければ対応可能です。遠くない将来、日本にも販売チャンネルを設け、PRを行っていきたいと思っています。日本は今後の大きな焦点となる予定です。

 

多くのグラス型デバイスが登場するのはなぜなのか?

Even G1に加え、Ray-Ban MetaやXREALといったメガネ型デバイスが注目を集めています。メガネ型デバイスが今、これほど注目を集めているのはなぜだろうか? また、Vision ProやOculus QuestなどのVRデバイスとの違いについて、何か意見があれば、聞かせて欲しい。

ウィル・ワン:
かさばるヘッドセットとは異なり、Even G1は日常使用を想定して設計されています。見た目は普通のアイウェアのように見えますが、ライブ翻訳、AIアシスタンス、ナビゲーションといった実用的な技術機能が組み込まれています。

アイウェア型デバイスへの関心の高まりは、人々のニーズの広い範囲での変化を反映しています。人々は、VRデバイスのような、孤立した環境での没入型体験だけでなく、現実世界にシームレスに溶け込むスマートツールを求めています。

VRヘッドセットは、完全に没入感のあるデジタル世界を作り出し、多くの場合、ユーザーを物理的な環境から切り離します。一方、Even G1は、さりげないデジタルオーバーレイで現実世界を豊かに演出します。これは、生産性を向上し、コミュニケーションを豊かにし、そして日々の利便性を高めてくれます。

私たちは、このフォームファクターが空間コンピューティングの主流化への入り口になると信じています。なぜなら、未来は現実から逃避することではなく、現実を高めることにあるからです。

 

まったくの余談だが、左側のテンプルを先に折り畳まないと充電されない。途中までそれに気付いていなくて、「なぜ充電されないのだろう?」と思っていた。どっかに大きく書いておいて欲しい……(書いてあったのに気付かなかっただけかもしれないが)。

Even Realitiesの可能性は大きいと思う

ウィル・ワン氏の話は、非常に納得感の高いものだった。

現在の使用感は、まだごく一般的なユーザーに普及するためには完成度が不足していると思うが、現実に文字情報をオーバーレイするHAOSという基本技術の完成度は非常に高い。あとはBluetooth接続の安定性と、ニーズにフィットしたソフトウェア的な使い勝手の向上が達成されれば、Even G1は多くの人が日常的に活用するデバイスになるだろう。

今回、聞いたほかにも、「近々多くの操作が音声経由で可能になるアップデートがある」「Even AIの代わりに、自分の(有償版の)ChatGPTアカウントと連携できるようになる」「国民民主党の代表の玉木雄一郎氏もユーザーである」などの情報も得ている。最後の一件……野党党首が使っているというのは、日本のユーザーにプラスの印象を与えるかどうかは分からないが、ともあれ彼らが日本への興味を持っているということは感じられる。

日本で、オフィシャルに販売されるルートができることを楽しみに待ちたい。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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