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グラス型デバイスのひとつの理想。Even RealitiesのEven G1を買って2カ月経った

※冒頭の写真は、使用者からはこういう感じに見えるというイメージで、第三者から表示が見えるわけではない。

Even RealitiesのEven G1を買って2カ月が経った。この製品は、今のところ日本で正規販売されていないが、オンラインで直接購入することはできる。見た目は普通の眼鏡だが、640×200の情報を空間に浮かんでいるように表示できる。色は単色。ドラゴンボールのスカウターのような使用感といえばご理解いただけるだろうか? 豪華な映像が表示されるワケではないが、この限られた情報が日常の利便性を向上させてくれるように思う。価格は599ドル。送料15ドル。クレジットカード会社からは、トータルで9万1598円の請求が来た。2カ月間使ってみた使用感をお届けしよう。

Even Realities
https://www.evenrealities.com/

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

まるでスカウター! 情報を表示するメガネ、Even RealitiesのEven G1を買った

2025年10月27日

ほぼ、写真のイメージ通り、空中に文字が浮かんで見える

グラス型デバイスの難しいところは『体験しないと分からない』点にある。

多くの場合、デバイスメーカーの広告は過剰表現だし、単体の商品写真からは何も伝わらないし、YouTubeなどの動画でもその体験を再現することはできない。もちろん、テキスト記事ではなおさらかもしれないが、まずは文章を尽くして、その体験を再現してみよう。

このデバイスの体験のイメージは、冒頭の写真に尽きる。空間に緑色の文字が浮かんで見えるのだ。

ほとんどの状況では普通の眼鏡にしか見えないが、ごくまれにご覧のように、文字が表示される部分が反射して見えることがある。

表示できる情報量は極めて少ない。わずか640×200ピクセルで単色だ。80年代前半のポケコンかというレベル。しかし、それでも充分なこともある。4Kフルカラーの画像が目の前に現れるのが良いとばかりは言えない。

こういう構造になっているらしい。

ドラゴンボールのスカウターを思い出して欲しい。敵の戦闘力が表示されれば十分なのだ(笑)。あまり多くの情報が表示されると前が見えなくなることもあるし、表示された情報を読み取るのに集中しなければならない。アップルデバイスユーザーに分かりやすいように言えば、Apple Watchのコンプリケーションに表示される程度の情報量。ちょっとした情報が日常を便利にする……という利用法もあるはずだ。

外見上のデザインの端正さも重要だ。

Even Realitiesのデザイン、マーケティングはEUオフィスを中心に行われており、電子的な先進技術、生産技術などは中国のバックグラウンドが活かされている。本社は深圳だ。アイウェアとしてのデザインはベルリンの著名アイウェアデザイナーが行っているというから、スタイリッシュなのも納得だ。

ちなみに、処方箋があれば度入りのものオーダーできるはずだが、海外通販でそれを行うのは少々敷居が高い。欧州なら店頭でオーダー可能なのだが。筆者は、視力が右0.7/左0.4ぐらいなので、かろうじて裸眼でも使える(だから、いろいろなグラス型デバイスを試しやすい)。

みなさんが、まず気にされるのはどんな風に見えるかだろう。

文字の表示されるサイズ感は、タイトルカットのように手を伸ばしたところの空間に文字が浮かんでいるような感じ。

イメージとしてはこんな感じなのだが、当然立体視できて空間に浮かんでみるので、この映像よりは背景より文字が浮き立って見える。また、頭を動かすと文字はそれについて動くわけだから、このが画像よりははるかに文字が読みやすいと思っていい。

それでも現実空間では、背景が逆光気味に明るかったり、緑色の壁だったりすることもある。そういう場合は当然、表示されている文字は見にくいので、頭を動かして背景が暗い場所に文字を表示すればいい。

頭の動きに追従するのが良いのか悪いのかは難しいところ。たとえば小走りに走ると、目とEven G1の位置関係はズレるので、当然ながら見にくくなる。

ここでちょっと考えて欲しいのだが、走っていても視界はブレブレにならないのはなぜだろう? それは、目から入ってくる情報を、脳が空間に固定する感じで我々に伝えてくれるからブレてないように感じる。つまり、脳神経を使った超高度な手ブレ補正だ。

しかし、眼鏡に表示されている情報はブレる。これが、歩いたりしている時にEven G1の情報を見にくく感じる理由だ。Even G1の表示がブレているのではなく、頭(とそれに内蔵されている『目』)が、大きくブレているのだが、そちらは脳神経がブレをキャンセルする。しかし、Even G1は動くから表示はブレるというわけだ。そんなわけで、歩きながら文字を読もうとすると、ブレが気になってちょっとした酔いを感じる。

ともあれ、グラス上に文字が表示されるのは、これまでずっといろいろなSFやアニメで表現されてきたものだから、自分がそんなデバイスを使えること自体に興奮できる。

どうやって操作するのか? 何が出来るのか?

操作系と、機能について解説しよいう。

ちょっと上の方(20度ぐらい……設定で変更できる)を見るとダッシュボードが表示される。

ダッシュボードには、日付、時間、気温、来ている通知の数、簡単なメモ……が記されている。1日中、日付や時間が必要かというと少々疑問。もっと表示情報のカスタマイズができるようになると良いかもしれない。

スマホに来ているメッセの通知を、左側のテンプルをタップすることで順番に見ることもできる。これは、たとえば会議中にスマホに来ている重要な連絡を見るのに便利だろう。

あとの機能は、基本的にはスマホから操作する。

左右のテンプルがタッチスイッチになっていて、左をホールドするとEven AI、右をホールドするとクイックノートの機能が使える。それ以外の機能は現在のところ、スマホから操作する必要がある。しかし、将来的には多くの機能を音声コントロールできるようになるそうなので、そこには期待しておきたい。

とりわけ、翻訳とテレプロンプターが便利

現在のところ、使える機能は、

・クイックノート
・翻訳
・ナビゲート
・テレプロンプター
・Even AI(試験版)
・転写する(ボイスメモ機能のようだ)

の6つだ。

以下、それぞれを解説しよう。

・クイックノート

iPhoneで入力したテキストメモをダッシュボードに表示できる。筆者が便利だと思ったのは、会合に行く前に、出席者の肩書きと名前をメモしておく使い方。そうすると、名前を忘れても(筆者は物覚えが悪いのでよく忘れる)、少し上方を見るだけで表示される。

・翻訳

音声を翻訳して文字で表示する機能。かなり便利。

私のような英語が苦手な人間にとっては、夢のような機能なのだが、実際に使ってみるといくつかの問題はある。このデバイスの問題ではなく、使い方の問題だ。

たとえば、知らない人と会話する時は、相手の目を見てなんとかコミュニケーションしようと集中するので、中空に浮かんでいる文字を見る余裕がない。

また、語順の関係で、英語→日本語の翻訳は、全文が終わらないと意味が掴めない。

翻訳の速度はかなり速いのだが、言語の語順の違いは如何ともしがたい。たとえば
「I’m going to the exhibition hall.」
だと、
「私は、いくつもりです……」
と表示されてから
「私は、展示会場に行くつもりです」
と、表示しなおされる。

語順の変わらない言語だったら、もっと便利に使えたかもしれない。

英語で話しかけられて、Even G1に一拍遅れで表示される日本語を読んで、それから英語で返事しようと思うと、頭が一度日本語になっているので、英語での返事が出てこない。これは、Even G1の問題というより、翻訳というものの本質的な問題だが。対面で英語でコミュニケーションして、分からない単語や部分だけEven G1をチラリと見るという使い方ならなんとかなるかもしれない。または、全然英語が不得手な場合、もうEven G1だけを頼りに聞き取るか。どちらかに振り切らないと難しい気がする。

たとえば、英語での会議を聞いているだけの立場なら、Even G1の表示を見ていると流れを掴めるかもしれない。しかし、その場合、完全に日本語で流れを追うことになるので、英語の会話に加わるのは難しくなる。

AppleのKeynoteの動画を見るのに使ったら、かなり内容を理解できた。そういう用途には便利に使えそう。映画館で使ってみようとしたら、継続的にスマホの操作が必要になるので、それは無理だった(まさか、映画館でスマホを操作するわけにはいかない)。スマホの電波が届きにくいのが上手く動かなかった理由かもしれないが検証は無理だった。

翻訳機能はこのデバイスのキラー機能かもしれないと思えるほど便利。とはいえ、機能は優れているが、どうやって活用するか、ユーザー側の課題はある。

なお、翻訳は有料のプロモードもあるが、無料モードでで十分に便利だった。

・ナビゲート

目の前にナビが表示されるというのは、誰もが夢に見ていた機能だと思う。

実際体験してみると、状況によっては便利なのだが、歩きながら目の前に浮かぶ表示を見るというのはかなり難しい。かつ、長距離になると目の前にずっと表示されているのは邪魔。

左にターン・バイ・ターンのナビが表示され、中央に距離と時間、右に地図が表示される。地図はさすがにこの解像度では理解しにくいので、いっそ不要だと思う。

地図は、独自のもののようだが、アップルのマップやGoogle Mapsと連携して、距離と方向だけ表示するような機能になった方が分かりやすいと思う。

・テレプロンプト

これが、一番便利で、私の日常では使えると思った機能。

簡単に言えば『カンペ』だ。

スマホ側に入力した文字列が表示される。それを読んでいくと、AIが認識して、表示する文字を送っていってくれるので、長い文章でも読み続けることができる。

プレゼンや、YouTubeの収録に便利そう。

とりわけ、YouTubeなどでは試してみたがカメラ目線の状態のまま、文章を読むことができるので、かなり便利。

プレゼンに使うのもいいが、実践投入するには問題がある。まず、まだEven G1自体の動作が完全に安定的ではないという点。一度、プレゼンの途中で、文字送りがフリーズしてしまった。

また、途中でテキストから外れて、アドリブを入れたり、聴衆の質問に答えたりすると、文字送りが滞ってしまうことがある。これはかなり焦る。焦ると、上手く話せなくなってしまう。だから、プレゼンに使うなら代替手段も用意しておく必要がある。

また、文章に改行を入れられないのも問題。長文になっても1ブロックで入力しないといけない。すると、読んでいる時に、区切りが分かりにくく把握しずらい。

・Even AI(試験版)

独自AIに質問できて、回答は文字で表示される。左のテンプルを長押しして話すと、回答が返ってくるのは割と便利。たとえば、「渋谷駅から表参道駅まで歩いて何分かかる?」とか、「2005年のF1グランプリの勝者は?」とか、「2529円+5026円は?」というような質問には即答(文字として表示される)してくれる。学習できていない最新の情報は持ってない。

これは、スマホでChatGPTに質問すればいい話ではあるので、どういう状況で便利か考える必要はあるが、文字情報として表示される便利さはある。

使っているAIは、Even Realitiesの独自AIだが、ChatGPTや、Perplexityを選ぶこともできる。自分の課金したアカウントを使うことができるといいのだが、それはできないようだ。

・転写する

……とは奇妙な日本語だが、文字起こし機能。

音声で話すと、それがそのまま文字起こしされて、Even G1に表示される。

取材などの時に便利なような気もするが、スマホでやればいいことではある。翻訳や、テレプロンプトほどの便利さは感じない。しかし、有効なシチュエーションはあるような気もする。

総論——アーリーアダプター向けだが、非常に大きな可能性を感じる

眼鏡としてのデザインが美しいのと、『目の前の空間に文字が表示される』というコア機能がイメージ通りに実現されているのが素晴らしい。

問題点があるとすれば、若干動作(というかスマホとのBluetooth接続)が不安定なことだろう。日常的に使いたいものだけに、『時々切れる』というのが使用感を損なう。ただ、まだ実験的なデバイスなのだから、それは今後改善されていけばいい。

あとは、ソフトウェアの使いやすさとユースケースの問題。『翻訳』や『テレプロンプト』については、利用シーンがフィットする人なら、今日からでも役に立つデバイスだと思う。

あとは、アプリのニーズに見合った熟成を期待したい。

たとえば、筆者の個人的希望を書き連ねると、受信している未読メッセージとメールの件数が表示されるとか、お気に入りのスポーツチームの点数とか、レースのラップタイムとか、乗り換えるべき電車の駅とか、パスタの茹で時間とか、締切までの時間とか、とにかくリアルタイムで見たいものが表示されると便利だと思う。表示したいものは、個人によって大きく異なるので、カスタマイズ性がキモになると思う。

iPhoneのウィジェットや、Apple Watchのコンプリケーションに表示される情報を、スマホを取り出したり、Apple Watchを見たりせずに取得できるというのがミソになると思う。たとえば、時計を見るわけにはいかないけど会議の終了時間まであと何分か知りたいとか。シチュエーションさえ合えば非常に便利なシーンはあるはず。

せっかく買ったこともあるし、引き続きレポートしていく。興味ある人は、「何が知りたいか?」をXなどでご教示いただけると幸いだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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