国産バイクだけどアメリカを感じる一台。1955年製の陸王がいま蘇る。|「FIRST-ARROW’s」伊藤一也さん

  • 2025.05.03

ヴィンテージモーターサイクルのレースやショーで活躍の場を広げるファーストアローズの伊藤さん。彼にとってアメリカを象徴するものはやはりバイク。数多く所有するコレクションの中からとびきりの一台を見せてもらった。

アメリカンバイクを源流としたかつての日本の銘車が蘇る。

「ライトニングのアメリカ特集なのに国産バイクだけど良いのかなぁ。そしてまだ走らないけど大丈夫? でも当時のハーレーダビッドソンをライセンス取得して作った和製ハーレーみたいなものだからきっと良いよね(笑)」

ヴィンテージモーターサイクル好きとして知られ、レースやショーでも多くの受賞経歴を持つファーストアローズの伊藤さん。彼が思うアメリカものの中でも随一のコレクションを誇るのがヴィンテージバイクだ。初めてバイクを購入したのは高校生の頃で憧れのハーレーダビッドソンだった。思えばバイクへと興味を持ったのもバイク好きだった親族に囲まれていたのが大きく影響していたと振り返る。そんな数あるコレクションの中で今回紹介するのは超希少な1955年製の陸王だ。1930年代から1950年代まで作られていた国産バイクメーカーだが、中身はアメリカンバイクの象徴であるハーレーダビッドソンを源流としていたことはよく知られた話だ。

「陸王は20年くらい前に持っていたんですけど、当時先輩に譲ってしまったんですよね。それでまた欲しくなったというか。この陸王を購入したのは2019年の8月。フレームもエンジンもすべてバラバラの状態だったのですが、一から組み立ててようやくここまで仕上がりました。所有期間はそこそこ長いのですがホットロッドショーに合わせてほぼ半年で組み上げたような感じです。エンジンはこれからですが、車検が取れて、レースに出られるくらいにチューニングしようと思っています」

ヴィンテージモーターサイクルのレースで知られるA.V.C.C.ストックBクラスへのエントリーのために許される範囲でのチューニング、そしてアメリカでのレースも視野に入れて仕上げているという伊藤さん。そこにはやはり強いこだわりがあり極力アメリカ製のパーツを使わずにあくまでも和製にこだわりたいというのだ。しかしベースとなる陸王は超希少な個体。オリジナルパーツの少なさはもちろんリプロダクトのパーツも同様に少ないため、一台を完璧に仕上げるのはそう簡単なことではない。ときには型から起こし、パーツを作ることから始まるため重なる苦労は想定内。

「ベースは当時のハーレーRLを元ネタに作っているんですけど、やはり本家であるアメリカが作ったハーレーと見比べてみるとフレームが細く感じてしまったり、全体的に軽く、肉薄さを感じたり、敗戦国となってしまった当時の日本の状況などもうっすらと垣間見えたり、見れば見るほど考え深いバイク。それも含めて魅力的だなと思います。だからこそ、この陸王を仕上げて海外のレースやショーに参加してみたいんですよね」

日本のみならず海外出張など忙しく飛び回る伊藤さんだが、時間が許す限り、自身のガレージでも朝活と称してコツコツとバイクいじりをしている時間は至福のひととき。完成形をイメージしつつ、バイクの特性を活かし、どう仕上げたいかの方向性を考えるのは、長年、ヴィンテージモーターサイクルに触れてきた彼にとって愉しみのひとつであり、思い描いた夢でもある。もちろん、根底にはアメリカンモーターサイクルがあり、今後もカルチャーとして根付いた彼のライフスタイルは変わらない。アメリカ好きのボクらはその背中を追い続けていくはずだ。

「FIRST-ARROW’s」伊藤一也|1996年にシルバーアクセサリーブランド、ファーストアローズを設立。自身で作品を手がける一方で、ヴィンテージモーターサイクルへの造詣が深く、バイクレースやカスタムショーなどでも数々の賞を獲得している。

1955s 陸王 RQ

陸王の象徴とも言えるサイドバルブエンジン。内燃機関は今後レースに出ることを想定しチューニングをしていく予定なのだとか。

タンクはハーレーダビッドソンのWRシリーズのレプリカをベースにシェイキン スピードグラフィックスによって仕上げられた。

ブランド名でもあるARROWの文字と矢を象ったデザインが刻印されたシフトレバーは伊藤さん自ら製作した1点もの。

伊藤さんの人生において何かと縁があり、これまでと同じく「3」のゼッケンをつけたハンドルとフロントフォークはいずれレースに出場する際に装着させるもの。

(出典/「Lightning 2025年5月号 Vol.373」)

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