実にアメリカらしいキャラクターのナウガモンスター。その歴史から見分け方までを掘る。

  • 2023.07.31

アメリカで無数に存在するアドバタイジングキャラクターのなかでも、ミッドセンチュリーモダンとも関係が深いのがナウガモンスター。

抜群にカワイイわけじゃないのに、なぜか愛嬌があるこのキャラって一体何? ってところから、ヴィンテージや復刻モノのことまで、ディグってみるとなかなかおもしろい。

架空のモンスターが広告塔として生まれた。

ナウガモンスターはアメリカのユニロイヤル社が開発したビニールレザー(合成皮革)である「ナウガハイド」のアドバタイジングキャラクター。

このナウガハイドは、ナウガモンスターの皮という設定で、このモンスターが成長するたびに脱皮を繰り返し、その脱ぎ捨てた皮がナウガハイドだというストーリーで、当時からサスティナブルを押し出して1967年から販売戦略したもの(1967年のアメリカの雑誌には広告も掲載されていて、かなり力の入った戦略だった)。

想像上のモンスターという、まったくのフィクションを元に製品を作るってところがいかにもアメリカ的。で、そのナウガハイドを生み出すナウガモンスターが必要ってことで生まれたのがナウガモンスターのドールってわけだ。

これは実際のナウガハイドで作られたフィギュアで、当時の販促用のグッズとして販売店や顧客に配られていた模様。生地の端切れなどを再利用してハンドメイドで作られているので、ビニールレザーながら、どこか温かみを感じるのも特徴だ。

ナウガハイドの質感やカラーを、実際に手に取って、もっと身近に感じてほしいという思いもあったのかもしれない。

とにかくアメリカでは、広告宣伝用にキャラクターを生み出し、それにまつわるグッズを作る戦略が得意。そんな文化のなかでナウガモンスターも登場したってわけだ。

つまり旧くは1960年代から存在していた、今や立派なアンティーク・アドバタイジンググッズなのである。

おもしろいのは合成皮革なので、カラーが豊富なだけでなく、この素材自体が、当時のイームズがデザインしたハーマンミラー社のシェルチェアなどの張り地に使われていたり、アメリカ車の内装に使われていたりしたことで、ミッドセンチュリー系のアンティークファニチャー愛好家やアメリカ旧車好きも気になるキャラクターになったということ。

ナウガハイドを座面に仕様したイームズのシェルチェア。多くのカラーバリエーションが存在したナウガハイドだったので、シェルチェアの張り地にもたくさんのカラーが存在した。ミッドセンチュリー系ファニチャーとの相性は抜群

当時はサイズ(基本的に大、小の2種類)や無数のカラーバリエーション、それに当時ナウガハイドを使っていた他のブランドの別注モデルなんかも存在していたために、今でも初見の組み合わせが発掘されることも。

旧くは1960年代のアンティークだけど、1999~2003年には復刻モデルも登場。さらにデザインや表情は違うけれど現行モデルも存在するというコアな人気があるのだ。

今回はそのなかの数種類をチェック。年代の見分け方や違いも合わせてディグってみる。

大きさ、使用するパーツや縫製仕様である程度の年代を見分けることができる。

ナウガモンスターは時代とともにマイナーチェンジしているので、個体を見ればある程度の年代が特定できる。初期モデルともなれば1960年代製ということになるので、市場価格はいまやかなりのプライスに。気になる人は手が届かなくなる価格になる前に確保しておきたいよね。

1960s Largeサイズ

レモンイエローのボディにブルーのコンビネーション。初期のモデルは目のパーツがボタンアイと呼ばれるプラスチックパーツになる。ボディ中央部分に縦に縫い目が入るのが1970年代初期までの特徴だと言われている。左脚にナウガハイドのロゴがプリントされる。4万5000円

1970s Smallサイズ

ボディ中央に縫い目が入る初期型のスモールサイズ。初期型らしく目のパーツもプラスチック製のボタンアイ仕様。似たようなアースカラーの組み合わせが大人っぽく見える。派手なカラーばかりではなかったのだ。左脚にナウガハイドのロゴがプリントされている。3万500円

1986 Smallサイズ

左腕に年代がプリント(ターゲットの別注)される、年代がわかりやすいモデルも存在。エッグホワイトのボディにブラウンとミントグリーンという配色もカワイイ。後半のモデルになると目のパーツは生地になり、ボディ中央の縫い目は飾りステッチになっている。3万9000円

Late 1960s Kustom Kat Largeサイズ

アメリカのROSS社が発売していたギターアンプブランド「Kustom」が1960年代後半に別注し、プロモーションに使っていたというレアモデル。アンプの外周に使っていたのがラメ入りのナウガハイドだったことから、同素材を使ったナウガドールが別注されKustom Katと呼ばれた。レッドやシルバー、ブルーなども存在し、それらはボディがラメ入り生地だったけれど、ブラックはボディが通常のナウガハイド、パーツ部分にラメ入り生地を使用している。この別注モデルのLargeサイズは目のパーツが「動眼」になっているのも特徴だ。13万円

1980s Smallサイズ

うっすらと模様が入った生地をボディに使い、口などのパーツは光沢感のあるレッドを組み合わせたモデル。ボディ中央の縫い目は飾りステッチで、目のパーツもナウガハイド。ブランドロゴのプリントは剥げてしまったのか見つからない。スタッフ私物

Late1980s Smallサイズ

ビビッドなカラーの組み合わせになるとなかなかアクの強いキャラクターに。このように目のトリミングと口の中のカラーが違うバージョンも存在した。ブランドのロゴは左脚に入っている。今となっては1980年代のモデルでも30年以上前のプロダクツ。アンティークの領域に入ってきている。3万9000円

2003 復刻モデル Largeサイズ

2000年代の復刻モデルは表情が垢抜けないし、歯の鋭さが無くなっている。かなり地味なカラーチョイスも手伝って、ちょいと鋭さに欠けるデザインに(笑)。右腕の後ろに年代も表記されたプリントタグが付けられているので年代特定は容易。スタッフ私物

同じナウガモンスターでも大きさや年代でちょっとした仕様の違いがあるのでがコレクター心をくするぐる。さらにはお気に入りのカラーを見つけるのもおもしろい。もともと大量に作られていたものではないので、とくに1960年代の初期モデルなどは、アンティークアドバタイジンググッズの世界でも年々価値が高まっているのも事実。

あらゆる分野でキャクターが存在するアメリカ。そんな当時のアンティーク収集の道には終着駅はないのかもしれない。

【取材協力】
soundsgood(サウンズグッド)
東京都世田谷区北沢2-23-6
TEL 03-5433-3758
13時~20時(平日)、12時~20時(土)、12時~19時(日曜祝日)
買い付け、イベント出店時休
https://www.instagram.com/sgtoy1999/

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部