アーツ&クラフトの精神が宿る永久保証のニューデニムブランド「コールマインギャランティード」。

業界有数のデニムのスペシャリストがタッグを組み、今年にスタートした注目ブランドである『コールマインギャランティード』。完全予約制で住所非公開のショップのみで販売するという時代と逆行した硬派なスタンスには、強い思いが込められている。

神は細部に宿ることを体現。

(左)エヴァンジェリスト・大坪洋介さん|1956年生まれ。鹿児島県出身。1970年代よりアメリカへ渡り、数々の人気ブランドを手掛けてきた生ける伝説的な人物。様々なことに精通(右)デザイナー・大貫達正さん|1980年生まれ。茨城県 出身。フリーデザイナーとして数々の人気ブランドに携わる一方で、自身の世界観を反映させたサンテッセムニを今年に開店

ウエストオーバーオールズなどを手掛けるフリーデザイナーの大貫達正さんと、国内外の様々な人気ブランドに携わってきたエヴァンジェリストの大坪洋介さんがタッグを組んだ注目ブランド『コールマインギャランティード』。

当ブランドは、ヴィンテージへの造詣が深い2人が意見を出し合い、児島にいる1人の卓越した職人により、15台のオールドブラックミシンを駆使して縫い上げるという、これまでにないスタンス。

販売においても特殊で、インスタグラムのDMでアポイントを取り、明治40年に建築された古民家を改装した住所非公開のショップにて購入ができる。生産も販売も手間暇を掛けるのは、大貫さんの熱い想いがあるからこそ。

コールマインギャランティードのジーンズのラインナップは、全部で6モデル。これにジャケットとテーラードジャケットの2型が展開されている。右からタイムライン順に並べており、ジーンズの黎明期から’70年代までのジーンズをリファインしている

「このブランドをスタートさせたのは、ジーンズの歴史と物語を現代に伝える事。そしてこれからの未来へ残していかなければならない、続けていかなければならない日本伝統工芸としてのものづくりに意義を持って向き合う事を目的としています。

デザインにおいては、モデル名となっている年代の意匠や縫製などの仕様は文化として伝える一方で、リプロダクトとは一線を画したデザインに仕上げています。芸術性と匠の技の融合を図っていて、先人たちの素晴らしい技術や発想を今の匠の技術で体現しつつも、ファッションとして身に着ける楽しみも伝えていきたいという思いから、我々との対面販売のみにしているんです」

パーツ類にも徹底的にこだわっており、トップボタンはすべてオリジナルの鉄製となっている。これもエイジングが楽しみである
日本一と言っても過言ではない1人の縫製職人にすべて生産を任せており、オールドブラックミシンをパーツ毎に使い分けている
レザーパッチには、インディゴブルーのリザードを用いている。こういったヴィンテージとは一味違うアイディアも当ブランドの魅力だ
スレーキ部分には、オーダーしたカスタマーの名前などが直筆ではいるというからおもしろい。受注生産だからこそ成せる技である

注目のラインナップを紹介。

1900S

ジーンズの黎明期から1900年代初頭のディテールを駆使しながらも、現代的なフィッティングで仕上げた力作。あえて超長綿を用いたライトオンス10.5ozデニムを使用。6万9300円

1930S

サスペンダーボタンが必要なくなり、ベルトループとバックルバックとなった時代背景をうまく反映したモデル。点で色落ちする12.5ozの生機デニムを使用した。6万6000円

1940S

第二次世界大戦時の物資統制を受けながらも、クオリティファーストを守ったクラフトマンシップへ敬意を払った1本。時代背景を捉えた12.5ozデニムを使用した。6万3800円

1950S

ゴールデンエイジとなったアメリカでジーンズはワークからファッションへと移り変わる。そんな時代背景を象徴するデニム製タキシードのパンツをイメージした。7万2600円

1960S

5ポケットパンツの完成形と言われる1960年代前半のモデルを13.5ozの生機デニムで再構築した。ラインナップの中でももっとも細身のシルエットに位置している。6万3800円

1970S

フラワームーブメントに湧く1970年代のアメリカを体現した1本。フレアカットのシルエットに、ホースシューをモチーフとしたバックポケットを組み合わせている。6万8200円

完全アポ制の旗艦店のみで手に入る。

大貫さんの好きなものだけ置いたという旗艦店は、明治40年に建てられた古民家を改装している。多大な影響を受けたネイティブアメリカンの工芸品から、日本の伝統的な陶器まで、大貫さんの琴線に触れたものだけをセレクトしているのが好印象だった。

奥にあるのは、国産のデニムチェアブランドであるオールドオーバーと大坪洋介さんによるイーストポートラウンジチェア。木部まで藍染を施した職人技が光る。

デニムジャケットとタキシードジャケットは、コールマインギャランティードのオリジナル。奥にはデザインソースとなったリーバイスのクロスビージャケットを展示。

リーバイスのヴィンテージアドバタイジングの上には、デニムに関連するカスタムパーツがディスプレイされている。すべて日本の職人によるハンドクラフト。

【問い合わせ】
コールマインギャランティード
Instagram@coal_mine_2022

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年7月号 Vol.351」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

Pick Up おすすめ記事

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...