懐かしさを感じるインテリアアイテム。
大阪市、下町の風情が漂う住宅街に、7~8年前から廃材を使ったインテリアを作っている一軒家がある。当時はまだSDGsといった言葉が今ほど世間に浸透していないとき。なぜ廃材でインテリアを作るようになったのか。
「ここで父が学習塾をやっていたんですが、閉塾することになって、それまで使っていた机や椅子の行き場がなくなってしまったんです。同時に近隣の学校も次々と廃校になって」
それを目の当たりにした土井健嗣さんが、どうにかしたいと思いついたのがインテリアへのアップサイクルだった。そのアイデアは奇想天外。管楽器を照明のスタンドにしたり、跳び箱をラックにしたり。土井さんがアイデアを出し、手先の器用な代表の裕美さんがカタチにする。いわゆる家族で作るプロダクツだ。金属の溶接や木材の扱いなど、素人では手出しできない作業は、近隣の職人さんたちが協力してくれているため、プロダクツとしてもかなりクオリティが高いのも注目されている理由のひとつだろう。
いまでは島村楽器などの企業からの依頼や、長年使ってきたものを捨てられずにインテリアにしたいという人からのオーダーもあるという。何をどう組み合わせてインテリアを作ろうか、そんな悩みも土井さん家族にとっては嬉しい悩み。もし使っていない愛着のあるものがあれば、インテリアにリプロダクトしてもらうのもいい。
クオリティの高さも魅力のプロダクツ。
小太鼓はテーブル代わりに、フルートやサックスは照明のスタンドになった。管楽器はほかにもテーブルの脚として使われることも。
あえてペイントせずに汚れやキズをそのまま残した跳び箱をスツールとラックにアレンジ。ラックは半分にカットするとちょうどいいサイズに。
学校の机をベースにオルテガ模様にアレンジしたローテーブル。引き出しスペースやフックが意外と便利。
つながっている部分をカットして組み立てるとスツールができるというキット。元は学校の机の天板を使用。
タンバリンやシンバルは掛け時計にアレンジ。使い込まれた状態がまたいい風合いを醸し出している。
こちらもシンバルを使用。ペンダントライトは銅の風合いがとてもいい。タングステンなどオレンジ色の電球との相性も抜群だ。
リシカツというブランドのビーカーやフラスコのペンダントライト。目盛りをそのまま残しているのも少年心をくすぐる。
顕微鏡には鏡を付け、天秤はそのまま小物入れとして活用。アクセサリーや鍵などを置いてもいい。上下に動くのもなんだかほっこりする。
まさか蛇口をフックにしてしまうとは! 壁から蛇口が出ているのは少しびっくりするが、ユーモアがあって暮らしが楽しくなる。
【DATA】
upcycle interior
https://www.upcycle-interior.work
(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)
Text/M.Matsumoto 松本めぐみ
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