「福禄寿」奥山さんに訊く! ブーツを履きこむことで育てるエイジング心得。

数えきれないほどのワークブーツに触れてきた男のエイジングの極意は、“履きこむ” こと、その一択。リアルなエイジングの風合いは加工や小手先のテクニックでは作れない。

「福禄寿」代表 ・奥山武さん

ブーツリペアショップの代表兼職人。リペアだけでなく様々なブランドの靴作りに携わり、オリジナルのブーツブランド、『KEY STONE』も展開。趣味はバイクとバス釣り。

「ブーツエイジングに近道なし。とにかく履くこと、これに尽きる」

日本のワークブーツのリペアやカスタムの第一人者として知られる福禄寿の奥山さん。近年力を入れているオリジナルのワークブーツブランド『KEY STONE』は洗練されたスタイリングはもちろん、履きやすさや購入しやすい価格帯にもこだわっている。それは、奥山さんにとってのワークブーツが、飾りのコレクションではなく、何よりも日常的に気負わず履くための靴だからだ。

そんな、奥山さんが所有するワークブーツはどれもリアルに履きこまれ、見事なエイジングの風合いを実現しているが、奥山さんのブーツのようなエイジングを生み出すためのコツとは?

「履くこと以外に方法はないでしょう。エイジングさせるために履くわけではなく、履いていれば自然に自分の足に馴染んで革が良い質感に変化する。ぼくは毎日仕事でも遊びでも履けるからエイジングが早いけど、週末しか履けないっていう人は、そのペースで履き込んでいけばいい。靴を休めることも大切だから。やれている風に見せたくて無理やりシワをつけたり、加工で汚れをつけるのはリアルなエイジングとは別物」

オンでもオフでもブーツを履くのが奥山流。

奥山さんが所有するブーツはほとんどワークブーツなので、作業用、バイク用、釣り用などと分ける必要がなく、全て一足でこなせるブーツを履くことが多いという。バイクに乗ればエイジングするわけではなく、様々なシーンで履くことが重要なのだ

奥山さんは、365日外に出る時の足元はブーツか短靴を履くという。仕事の時間も趣味の釣りやバイクでも常にブーツを履いているから、ブーツが様々な動きの経験値を積み重ねて進化していくわけだ。また、奥山さんのブーツはどれもハードに履きこまれながらも、レザーは良いコンディションを保っている。それは、丁寧にメンテしているからだという。

「ブーツは新品が一番格好悪い状態、そこから履き込めば良い質感になるけど、メンテせずに履きっぱなしにすればブーツが劣化してしまう。汚れたら靴を洗ったり、オイルアップをするなど、マメに手入れをした綺麗な状態でやれているのが一番カッコ良いエイジングだと思います」

仕事でのミシンを使う作業は、ブーツの足首やつま先部分に力がかかるので、特にエイジングしやすいのだとか。もちろんエイジングさせるためではなく、ワークブーツを本来の目的で使う好例

洗った後は必ずオイルアップすべし。ただし、タイミングには要注意!

奥山さんがオススメするメンテグッズは、レクソルのレザークリーナー&コンディショナー。クリーナーはウエスやスポンジで磨いて汚れを落とすこともできるが、希釈すれば丸洗いもできるのが魅力。洗った後は半乾きのタイミングでオイルを入れるのが正解。スエードやラフアウトは直接塗り込むと、起毛した毛先が寝てしまうので、コンディショナーを霧吹きに入れて、距離を離して吹きかけるのがベターだ。

奥山さんのエイジングされたブーツを拝見!

モカシンは構造上、水が染み込みにくいため、釣りなどでも大活躍。こちらはスウェードレザーだが、釣りで汚れたあとは丸洗いしてオイルアップしているのでレザーがしっとりと柔らかく、抜群のコンディションをキープ。

デッドストックから履き込んだ’80sのアイリッシュセッター。10年ほど履いているが、マメなメンテの効果でレザーはしなやかな状態。

キーストーンとウルフズヘッドのダブルネームのエンジニア。レザーは綺麗だが、シャフトが柔らかく、良い風合いに。

映画『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロをイメージして別注したリオスオブメルセデス。左足甲の濃淡がバイク乗りらしいエイジング。カーフスキンを使用。

(出典/「Ligthning 2021年12月号 Vol.332」)

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