この会場では「ジャンク」という言葉が「お宝」という意味で通じる。
アンティークやヴィンテージと聞くと、当然ながら旧いモノ。それは旧いモノにまったく興味が無い人にはゴミにすら見えるかもしれないが、欧米には昔から旧いモノを大切にしている愛好家たちが存在する。昔ながらのモノをずっと使うというのはある意味エコだし、最近では若い世代も古着やアンティークに興味を持つ人が多いのがカリフォルニアだ。
アンティークならではの味わいや、現代ではなかなか再現することが難しい作り込みや、素材など、見た目は汚いモノもあるけれど、その時代にしか存在することができなかったというロマンもアンティークの良さのひとつ。なかには見た目とは裏腹に高額で取り引きされているアイテムもあるなど、なかなか侮れないカテゴリーであることを忘れちゃいけない。
そんなアンティークをカジュアルに楽しめる「ジャンク・イン・ザ・トランク」は、アンティークやハンドメイドの温かみのあるアイテムに特化した販売イベント。最初は主催者の自宅裏庭で小さく始まったけど、あれよあれよと拡大。現在では不定期でポモナやサンディエゴ、それにベイエリアなどで開催されている。
どのイベントもローカルのアンティークディーラーが出展する、地域密着型のイベントになっている。
会場の様子をご紹介!
今回開催されていたのはこちら。入場料は8ドルで、駐車場は12ドル。不定期開催で場所も変わるので、詳しくはhttp://junkinthetrunkvintagemarket.comで確認を。取材時の場所はポモナだった。
会場内に飾られたイベントの看板。よく見るとネオンサインとカセットテープの廃材で作られていて、おしゃれ! カセットテープももはやアンティークの域かもね。
会場はとにかく広い。2011年に主催者であるリンジーとコリーが自宅の裏庭から始めたとは思えないイベントに成長している。
アンティーク好きなのは男子ばかりではない。女性客も多いので会場は賑やかだ。
屋内で開催されるイベントなので、青空の下のフリーマーケットとはひと味違う雰囲気。2日間の開催ゆえ、出展者のディスプレイが凝っているのも特徴だ。
このまま部屋に飾りたくなる雑貨やカトラリーのディスプレイ。
ファニチャーや照明など、大物をたくさんストックしたブース。色褪せたウッドや乾いた鉄の質感がやけに統一感があって吸い込まれる。
大物から小物まで、インダストリアル系アイテムをたっぷりとセレクトしたブース。最近ではミッドセンチュリーのデザイナーズモノよりも無機質なかつての業務用だったアイテムが人気高し。
ハリウッドで常に行列を作るホットドッグ店「ピンクス」も出張出店。ローカル密着型のイベントなので、フードもローカルで活躍する店が腕をふるう仕組み。
会場に設置されたステージではミュージシャンが登場。買い物だけでなくライブやフードも楽しめるので、1日いても飽きない。アメリカ人はイベントの楽しみ方を知っている。
どんなアイテムが手に入るか覗いてみよう!
まずはフリマでもお馴染みのトランク。アンティークのトランクは使うというよりもご覧のように複数個並べてインテリアとして飾るというのが定番。大きさや素材などもあらゆる種類があるのも魅力だ。
日本でもお土産として今でも存在するペナントはアメリカにも古くから存在。ヴィンテージほど色使いやプリント技法が凝っていて雰囲気がある。クルマが一般化してレジャー文化が生まれた’50〜’60年代のモノが狙い目。
インダストリアルな雰囲気のベンチはアンティークではなく新品。アンティーク調でハンドメイド感のあるプロダクツを扱うメーカーやショップも出展する。
旧いグローブ。本格的に使うのは厳しいが、インテリアとしては存在感たっぷりのアイテム。
写真奥に並べられているのは戦前の果物が入れられていたウッドケース。多少経年変化しているとはいえ、今でも現存しているところがスゴイ。どれも好デザインである。
チェストもバケツも空き缶も、ガレージなんかに置いたら雰囲気が高まること間違いなし。ヤレた雰囲気がたまらない人には天国だ。
錆びたミニカーはきっと庭に放置され続けていたんだろうなというストーリーを感じる。下にあるトラックで28ドルというプライス。
ボロボロだけど、この雰囲気はアンティークにしか出せないトルソー群。どれも戦前のプロダクツかと。価格は100ドル前後。
アンティークの印刷物は好コンディションの現存数が少ないアイテム。各12ドル、2つで20ドル。
木製なのがいかにも旧いプロペラ。インテリアとしてどうぞ。400ドル。
巨大な鳥かごはその存在感だけでもスゴイ。これが似合う家はあこがれ。
使える使えないという機能よりもモノとしての存在感があるアンティークのカメラ。男子は昔から時計やカメラといった精密機械になぜか心惹かれる。
こちらもトランク。当時は馬車やクルマ、それに船にトランクを載せることが多かったので、巨大な物が多い。ここんちは30ドル前後とどれも良心的なプライスがうれしいぞ。
ここもやけにアンティークのトランクが多いブース。ネイティブ系のアイテムがそこに花を添える。来場者は小物に夢中だね。
使い方も飾り方もあなた次第。バーグッズのアンティークが集合。ちょっとした小物はアンティークでもまだまだ使えるぞ。
フック付きの滑車はかつて農場や工場などで使われていたインダストリアルなアイテムの代表。どれも50ドル以上。
ジャンクという呼び方がふさわしい。バラバラになったパーツといっしょにディスプレイされる懐中時計たち(笑)。
プライウッドを曲げたフレームにレザーの張り地というミッドセンチュリー系チェアは950ドルと強気だ。
1925年のハンドボール大会のトロフィは20ドル。この手のトロフィも年々探しにくくなっている。
ブラックボディの鉄製のタイプライターはインテリア雑貨としても人気が高い。
おそらく今は無い店のモノと思われる手描きの看板は35ドルだったと。額装されていることも考えるとかなりお買い得かと。
重たそうなシェルフを軽々と持つおっさんは85ドルで手に入れたぜと鼻息も荒い。その笑顔からイベントを楽しんでいる様子は一目瞭然。奥さんも当然ながらアンティークが大好き。
◆
いかがだったでしょうか? 見る人によってはゴミ、ジャンク、邪魔もの扱いをされてしまうものが、新しい持ち主によって存在意義をまた新たに得る場所・・・1日中眺めていても楽しめる、好きな人には好きな夢のような場所がここ。カリフォルニアに行く機会があったら、ぜひ足を運んでみて。
【問い合わせ】
http://junkinthetrunkvintagemarket.com
(出典/「Lightning 2019年5月号 Vol.301」)
Text/S.Koike 小池彰吾 Photo by Y.Miyazaki 宮崎良将(Seven Bros.)
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