「ペコスブーツ」とは、気軽に履くことのできるプルオンブーツ。
名前の由来は、牧場や農場で活気づくアメリカ中西部エリアに存在する街の名前から。誕生したのは1953年。この地に生きるファーマーのために生まれたペコスブーツは牛を誘導するときの乗馬に適した高いヒール、鞍にブーツを引っ掛けないための、シューレースが省かれたデザインなどを、リリース当時からワークギアとして高い完成度を誇っていた。
9インチと11インチの長さがあり、作業によって使い分けられる。なお、「ペコス」はレッドウィング社の商標であり、同社のみがこの名前をブーツに冠することができる。では、ペコスのバリエーションを見ていこう。
1.9” Pecos Boots 8866
グリップ力と安定性に優れたペコスブーツ。ワークブーツらしく装飾を排除し、機能性を追求した、シンプルなプルオンブーツとして人気が高い。ウエスタンペコスをカジュアルアップした9インチ丈は、デイリーユースで使いやすいフォルムだ。「8866」はそんな9インチペコスのなかでも、1990年代の赤みがかったブラウンレザーでできていた頃の「866」を思い起こさせる、オロラセット「ポーテージ」で再現した色合いで不動の人気。
- レザー:オロラセット「ポーテージ」
- 製法:オールアラウンド・グッドイヤー・ウェルト
- ソール:トラクション・トレッド
- ラスト:No.71
2.9” Pecos Boots 8169
ブラッククロームとトラクション・トレッドの定番的な組み合わせが安定感のある「8169」。ペコスブーツ初心者でもトライしやすいベーシックなフォルムもポイント。
- レザー:ブラック「クローム」
- 製法:オールアラウンド・グッドイヤー・ウェルト
- ソール:トラクション・トレッド
- ラスト:No.71
3.9” Pecos Boots 8168
9インチペコスブーツのなかでラフアウトを使った「8168」は、どんな経年変化を生むのか、面白い一足となっている。
- レザー:ホーソーン「アビレーン」
- 製法:オールアラウンド・グッドイヤー・ウェルト
- ソール:トラクション・トレッド
- ラスト:No.71
4.11” Pecos Boots 8159
こちらも11インチのペコス。無駄のないシャープなフォルムとつま先が特徴的な「8159」。たっぷりとオイルを含んだアンバー「ハーネス」レザーがスマートなペコスに程よいタフさを与えてくれる。
- レザー:アンバー「ハーネス」
- 製法:グッドイヤー・ウェルト
- ソール:ブラウン・ケミガム・コルク
- ラスト:No.72
5.11” Pecos Boots 8155 【2016年限定生産】
ウエスタンモデルのワークブーツとして、バイカーやファッショニスタ達から絶大な支持を受けるペコスブーツ。元はレッドウィングがテキサスやアメリカ南西部の市場に向けて1959年に発売したモデルなわけだが、このブラッククローム・レザーの「8155」は、ロングセラーのブラウンのペコス「1155」のバリエーションとして1980年代後半に誕生し、2012年まで生産されていた。
しかし販売終了後も、漆黒のカラーと精悍なスタイルを持つ「8155」の復活を望む声が多く、2016年に限定再生産された。この「8155」はクロームとブラック仕上げのケミガム・コルクソールを採用し、ブラックで統一した逸品。シャープなフォルム+カラーの相乗効果で足元をグッと引き締めてくれる。
- レザー:ブラック「クローム」
- 製法:グッドイヤー・ウェルト
- ソール:ブラック・ケミガム・コルク
- ラスト:No.72
▼ペコス以外のレッド・ウィングのブーツもチェック!
ペコスブーツのコーディネイト7選
ここからは、ペコスブーツを愛用するファッション通の皆さんのコーディネイトをチェック! こだわりのあるブーツにはこだわりのある着こなしを。7人7色のファッションが出そろった。
1.「ウエアハウス」プレス・藤木将己さん
約7〜8年前にヴィンテージショップで購入したレッドウィングのペコスブーツ。
「これと出会った時、かなりいいコンディションだったのですが、シャフトよりボトムの方が色濃くなっていて、“土の上で履かれたペコスブーツ” というイメージに強く惹かれました。なので、この2トーンのような色合いをキープしながら履いています」
愛用ブーツ「9”Pecos/Cushion-sole」
2.「ヴィンテージワークス」代表・堀内ケンさん
「足がでかいので、日本規格だとサイズがないんです」と、海外のデッドストックブーツ収集に余念がない堀内さん。この日履いたペコスブーツは、濃紺の501 BIGEと合わせて王道のアメカジスタイルに。
「いつもこんな恰好。’90年代が今も大好きなので、あの頃なかったものは、今も受け入れられない(笑)」
愛用ブーツ「11”Pecos」
日本で主流のクレープソールではなくヒール付き。「アメリカではこっちが主流で、オークションでも見つかりやすい。特にでかいサイズはね」
3.Lightningディレクター・ラーメン小池
「戦前から’70年代まで」と、旧いモノが大好きと語るLightningディレクター。着こなしはアメリカンファッションの王道スタイルであるワークスタイルをベースに、インナーに差し色を加えた現代的コーディネイト。ボトムは濃いめのインディゴジーンズをチョイスし、スウェードペコスとの色の対比も楽しんでいる。またペコスブーツのボリューム感は、ワイドシルエットのボトムにしっくりハマる。
愛用ブーツ「9” Pecos Boots Cushion-sole 8168」
4.Lightning専属映像クリエイター・サカサモト
古着や加工デニムなど、色落ちしたジーンズを好んで穿くという元Lightning副編集長。程よくワイルドにエイジングしたジャングルファティーグをトップスに選び、インナーはシンプルに、そしてボトムは美しい色落ちのジーンズを、外巻きワンハーフロールというテクニックでスウェードペコスに合わせている。デイリーユースしやすいペコスブーツを使った、リラックス感を感じさせるスタイルである。
愛用ブーツ「9” Pecos Boots Cushion-sole 8168」
5.自営業・MOTTYさん
レッド・ウィングを自身のカジュアルブーツの定番として愛用するMOTTYさん。古着で購入したジャングルファティーグジャケットをラフに羽織り、ブラウンのシューズをスタイリングのポイントとしたリラックス感のある着こなしが好印象。「旬のミリタリーアイテムと絡めてコーディネイトしました。なんといってもレッド・ウィングならではのレザーの色が魅力的ですよね」
愛用ブーツ「9”Pecos/Cushion-sole」
レッド・ウィング特有のカラーリングが目を惹くペコス。長年の使用で自身の足へと馴染み、履き心地の良い1足となっている。
6.居酒屋店長・馬込翼さん
ジャストサイズで着用したショットのライダースジャケットに、裾が9分丈ほどでカットオフされたリーバイスのオールドブラックジーンズ。足下はブラックのペコスだが、インナーに着たホワイトのTシャツ、ヘアバンドでハードになりすぎないようコーディネイトしている。
「ペコスといえばブラウンが定番ですが、ブラックに惹かれて購入したのが15年前。ソールのホワイトとのコントラストをトップスでも表現しました」
愛用ブーツ「9”Pecos」
1995年製のペコスはコンディションも良く丁寧なメンテが施されているのが見て取れる。馬込さんのブーツへの愛着が伝わってくる。
7.「EAT DUST」創設者・Robさん
新進気鋭のベルギー発のデニムブランドである「EAT DUST」。その創設者の1人であるロブさんは、オールドスクールチョッパーを愛して止まない。そんな彼がチョイスしたレッド・ウィングは、今はなき11インチのペコスブーツである「1155」だ。
愛用ブーツ「11” Pecos 1155」
11インチのペコス「1155」を愛用。その元々のルーツはスペインの伝統的なライディングブーツ(乗馬ブーツ)で、乗馬に適した尖ったつま先と、高めのヒール、そして高めの丈のシャフトが特徴。
◆
さあ、いかがでしたでしょうか? 味わい深いフォルムで人気だったペコスブーツを手に入れるには、ヴィンテージやデッドストック狙いとなるわけだが、古着好きには探すのも楽しいところ。急な復活がないかも期待しつつ、ぜひ手に入れてみてほしい名作ブーツだ。
▼ペコス以外のレッドウィングのブーツもチェック!
【問い合わせ】
レッドウィングジャパン
https://redwingheritage.jp/
※情報は雑誌掲載時のものとなり、現在品番変更、後継モデル、終売の場合があります。
(出典/「別冊Lightning Vol.235 ALL ABOUT RED WING」「別冊2nd「ザ・レッド・ウィング・ブック」、別冊Lightning「RED WING BIBLE」)
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