世界でたった一人!? 手作りでオリジナルコーラを作る男。

子どもの頃からコーラが大好きで、いろいろな国のコーラを飲んできた。そしてある日、コーラのレシピを発見し、クラフトコーラの店を出す決心をした。そんな『伊良コーラ』の工房を訪れてみた。

移動販売で提供しているクラフトコーラは、パックで販売されている。中の色やスパイスを見られるようにこのスタイルにした。甘さ控えめでスパイスが効いており、夏にぴったりの味わい。1杯500円。(コーラ小林さん提供)

3年前脱サラして、クラフトコーラ作りをスタート。

伊良コーラ/コーラ小林さん 1989年、東京生まれ。大学・大学院を卒業後、広告代理店へ就職するも、コーラづくりに専念すべく退職。現在、平日は工房でクラフトコーラづくりをし、土日はカワセミ号で表参道のファーマーズマーケットで出店。

「僕はコーラマニアなんです」

そう切り出すのは、たったひとりでクラフトコーラを作るコーラ小林さん。子どもの頃からコーラが大好きで、趣味の釣りをしながら世界中のコーラを飲む旅に出かけたこともあった。3年前、ネットでコーラのレシピを発見し、自分でも作りたいとクラフトコーラ作りに挑戦し始めた。

孫に受け継がれた、和漢方職人の祖父の遺伝子。

和漢方職人だった祖父・伊東良太郎さん。1954年に和漢方工場の「伊良葯工(いよしやっこう)」を開業。伊良コーラはその名を受け継ついだ。(コーラ小林さん提供)

「元々コーラは滋養強壮飲料として誕生したんです。祖父が和漢方職人だったこともあり、幼い頃から和漢方は身近な存在でした。素材や調合のノウハウはすでにある。だから漢方由来のコーラを作ってみようと思ったんです」

祖父が仕事をしていた漢方工場をコーラ工房にして、いまも毎日ひとりで試行錯誤しながらコーラを研究している。

祖父が使っていた和漢方の辞書。かなりハードユースしていたようで、表紙に剥がれが見られる
祖父がコレクションしたマッチなどの商業パッケージ。大学ノートにキレイに貼られ、とても状態がいい。これを元に伊良コーラのロゴのデザイン制作を行ったという

漢方由来のコーラ作りに密着!

クラフトコーラの工房に潜入し、どのようにつくっているのか見学させてもらった。原料となるスパイスの多さ、そして手作業によるコーラ作りは大量生産のそれとは違い、完成までに1週間はかかり、実に手間のかかるものだった。

工房に並んだクラフトコーラに使われるスパイス。10〜15種類のスパイスを調合しているのだが、毎回少しずつ種類や量を変えて調合しているという。ミックススパイスにしたときとシロップができたときに寝かせるため、完成までに1週間ほどかかる
小粒のスパイスは、こうして潰すように細かく砕いていく。これを10種類ほど。根気のいる作業だ
西アフリカで栽培されているコーラの実。専用のおろし金で少しずつ削る

自宅で楽しめる、クラフトコーラ「魔法のシロップ」。

週末土日限定で、表参道で行われているファーマーズマーケットにて飲むことができるが、ネットで販売しているクラフトコーラの原液を使えばいつでも楽しむことが可能だ。予約販売でMサイズ270mlで3150円、まだ販売されていないがSサイズ100mlも登場する予定なのでトライしてみてもらいたい。作り方は下記のように、簡単。気軽に楽しめる。

Sサイズは1本で2杯分を目安にする。まずコップに氷を入れてから、ボトル半分のシロップを入れる
ソーダは150㎖くらいを目安に注ぎ入れる。好みによってソーダを加減してもいいだろう
シロップが下のほうに溜まっているので、よくかき混ぜて味を均一にすれば完成!

さて、味はというと、スパイスの構成はチャイに似ていて、一瞬チャイの風味が口の中に広がるのだが、バニラビーンズがたくさん入っているのでチャイとは違った甘みを感じる。そして柑橘類の香りと風味がプラスされ、さっぱりとした後味が特徴だ。

普段コーラを飲まない人でも、これなら飲めると評判で、常連客もついているそうだ。今後、和テイストのコーラにも挑戦する予定。コーラの新しいジャンルが開かれる瞬間を楽しみに待ちたい。

※掲載情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2019年5月号」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
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