『あまちゃん』ロケ地の隣村で判明。二戸市、八戸市……東北特殊地名の全体像

民俗や地域伝統文化のあれこれに没頭しがちなエディターが、あなたの日々の暮らしに、とても小さなときめきをお届けしましょう。言葉だけは知っている作法や行事、未来をひらく温故知新、興味はあるけどよくわからない民俗のことなどについてわかりやすく紹介します。

東北の田舎町にやってきた女の子が、海女そしてアイドルに

東京から東北の北三陸の架空の田舎町にやってきた女の子が、海女の修業をしながら地元アイドルになり、やがて上京して本格的なアイドルを目指す! これが、日本中を席巻した朝ドラ『あまちゃん』のストーリーだ。

セリフでも登場し、驚きを表すという岩手県三陸地方に実在する方言「じぇじぇじぇ」は、その年の流行語大賞を受賞した。ちなみに同じ年(2013年)に、同時受賞した流行語は、「今でしょ!」、「お・も・て・な・し」、「倍返し」と記憶に新しい。

二戸市、八戸市……どれも「戸」の読みは「と」ではない

日本一の漆の産地で知られる二戸市浄法寺町の名産品・浄法寺塗(岩手県二戸市)
旧日本軍の軍事施設跡と太平洋を眺められる葦毛崎(あしげざき)展望台(青森県八戸市)

『あまちゃん』ロケ地で海沿いの久慈市(岩手県)の西に面しているのが、山あいの九戸村(くのへむら 岩手県)だ。

九戸村から北(北東方面)へ行くと、八戸平野が広がり、海に面した八戸市(はちのへし 青森県)がある。八戸市からさらに北上すると出合えるのが、戸(へ)地名の最北端・七戸町(しちのへまち 青森県)だ。

七戸町から南へ、八戸市との真ん中付近に、六戸町(ろくのへまち 青森県)がある。六戸町からさらに南下すると、五戸町(ごのへまち 青森県)、三戸町(さんのへまち 青森県)、二戸市(にのへし 岩手県)の順に旅することができる。二戸市の真下に面するのが、戸地名の最南端・一戸町(いちのへまち 岩手県)だ。

一戸町の東に面するのが、冒頭に記した九戸村だ。

かつては一戸から七戸まで街道があって、さらに昔は実在したものの集落名「四戸(しのへ)」は消滅してしまった。ちなみに、「戸」の言葉には、人戸や民家の意があるともいう。

「田子」と書いてなんと読む?

二戸市と三戸町に面する市町村が、青森県最南端の田子町(たっこまち)。岩手県と秋田県に隣接する県境の町だ。

特徴ある町名は、先住していたアイヌ人の言葉「タプコプ(小高い丘)」に由来するともいわれている。

名産品のにんにくでも全国に知られるこの山あいの町で、今、官民連携による地域活性化が進められている。その連携活動内容を、特集「自治体連携で、地域の課題解決」として『じゃぱとら』最新号ではリポートしました。地域課題の解決プロジェクトに少しでも関心があるようでしたらぜひご一読ください。

この記事を書いた人
中川原 勝也
この記事を書いた人

中川原 勝也

民俗と地域文化の案内人

エディター。地域伝統文化のこと、民俗のあれこれ、古民家・民藝・暮らしのこと、などを当サイトでは担当。これまで日本カルチャーを主なフィールドにしながら、国内の法人・自治体・商品のブランディングにまつわるメディア等を手掛けてきた。温故知新好きが募って、ただいま、月刊古民家誌『じゃぱとら』編集長。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...