言葉だけは知っている作法や行事、未来をひらく温故知新、興味はあるけどよくわからない民俗のことなどについてわかりやすく紹介します。
世界人口と国内人口の近未来を覗いてみた。
まずは世界人口を見てみよう。
国際連合によると、80億人を突破した(2022年11月時)。1975年で40億人強だったことを思えば、50年経たないうちに倍に増えている。この先も世界人口は増加を続け、今世紀中頃から末までの間で約100億人に達すると各国の研究所等が予測している。
一方、日本の総人口のピークは2008年に達した1億2808万人。以下のグラフを見てのとおり、そこからは下降の一途をたどっていく。
[日本の総人口は2050年には約1億人へ減少] 出典:「国土の長期展望」最終とりまとめ 令和3年6月(国土交通省)
出生率をみると、イスラエル > 日本 > 韓国の順に。
さまざまな報道で、日本の少子化が叫ばれている。
これは「合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数)」の減少のことであって、日本の数値は1.30(2021年)。先進国(経済協力開発機構[OECD]加盟国)でみた場合、最も低いのが韓国の0.81(2021年。2022年暫定値は0.78)、最も高いのがイスラエルの3.0(2021年)だ。国のサポートも手厚いイスラエルでは、45歳までの女性が現在のパートナーとの間に子ども2人を得るまでの間は、体外受精費用が国の保険で全額まかなわれてもいる。
国内で、少子化が続くのはどうしてだろう。
暮らしながら周囲を見渡しても感じられるように、国内では、未婚・晩婚が増えていて、夫婦の出生力も低下してきているため。さらに環境整備の遅れもあるともいえるだろう。
生まれる人が少なくて亡くなる人が多い、自然減の時代。
[自然増減数及び自然増減率の年次推移―明治32~令和3年] 出典:「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況」(厚生労働省)
では、国内で人口減が予測されているのはなぜだろう。
現在、人口の3割近くが65歳以上という超高齢社会になっている。2023年中には、団塊の世代(1947~1949年生まれ)のおよそ7割が後期高齢者(75歳以上)になる見込みともいわれている。
そして昔も今も、病がある。たとえば、現代日本人の死因第1位はがん(悪性新生物)。国立がん研究センターによると、一生のうち2人に1人はがんと診断され(男性65.5%、女性51.2% 2019年)、そのうち男性は4人に1人・女性は6人に1人(2021年)が亡くなっているという。
[高齢化の推移と将来推計] 出展:「令和4年版高齢社会白書(全体版)」(内閣府)
[主要死因別死亡率の年次推移―明治32~令和3年] 出典:「令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況」(厚生労働省)
人口減で空き家(古民家)も増えるため、求められる新しい仕組み。
核家族、未婚も多いとはいえ、総人口が減っていけば、次第に空き家も増えてくるはず。国や自治体でも、空き家問題はたびたび議論されている。
国土交通省によると、賃貸用・売却用の住宅等をのぞいたその他の住宅(長期無人のいわゆる空き家)が349万戸あるという。こういった空き家には現代的な家屋もあるだろうけど、空き家化した古民家も多くあるに違いない。
そのような状況のなか、2023年3月、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。空き家の活用促進や固定資産税の変更などを網羅した、新しい動きだ。
また、使い途のない土地への対策として、一定の要件を満たした場合に土地を手放して国庫に帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」(※)が、2023年4月27日から施行されることに。こちらも新しい動き。
こういった動きもあり、このたび空き家の法改正に着目したのが古民家誌『じゃぱとら』の最新号なのでした。
※「相続土地国庫帰属制度」(出典:政府広報オンライン)
photos:Pixabay
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