そして、30周年を迎える今回は西海岸最大のオールドスクールチョッパーショー『BORN FREE』のアワードバイク/ビルダーを招待する予定だったが船の運行が遅れ、バイクがショーに間に合わないという事態に! 本国のリアルなチョッパーを楽しみにしていたファンも多いはず。というわけで、この時のショーでは展示されなかった幻のゲストバイクを紹介する。この4台は次回のゲストバイクとして改めて招待する予定なので、会場で見られるのが今から楽しみだ。
1.1948 H-D Panhead “The Light”|チョッパーの本質を物語る、走るショーバイク。
BORN FREE2021にて、招待ビルダー30人の投票で決めるビルダーズピックを獲得したパンヘッド。ビルダーのJake Wreesmanが狙ったテーマは極めてシンプル。「エレガントかつやり過ぎていない、走れるショーチョッパー」である。
ダウンチューブの形状が特徴的なストレッチフレームは、’54年をベースとしたものだがパテを用いずクロームで仕上げたメタルワークスキルが光るディテールだ。ワンオフのスライダーを備る35φのロングフォークに始まり、フレームの内側を通したエキゾーストや、オリエンタルブルーでペイントしたワンオフのエクステリア、F21-R19インチホイールのセットアップなど、奇を衒うことなく一貫したテーマのもとにスタイリッシュなフォルムを追求。そして、2021年8月にBORN FREEにエントリーして、今回日本に到着するまでに6000マイル以上を走行するリアルに走れるショーバイクなのだ。
2.1939 H-D OHV/ULH|エンジン設計から始まるフルスクラッチ。
BORN FREE2021の頂点に輝いたのは、ニューヨークの鬼才、Christian Newmanがエンジンから製作したフルクスラッチ。最大の見所はサイドバルブのULHをベースに、自ら設計したシリンダー、ヘッドを組み合わせOHV化&8バルブ化したスペシャルエンジンだ。
さらにツインキャブ、ツインターボを装備。ワンオフのステンレスフレームはオイルラインの役割を兼ね、クレードルにオイルクーラーを内蔵。チョッパーのスタンダードなシルエットを逸脱することなく、ビルダーのクリエイティブなアイディア、そして、それを具現化する驚異的なスキルが遺憾無く発揮された1台だ。
3.1951 TRIUMPH Pre-Unit “Time Warp” |60sカスタムを標榜するピリオドコレクト。
ノースカロライナに拠点を構えるオールドブリティッシュ専科、The Official Old TrumpのTom Heaveyが、’60sのトライアンフのショーバイクをイメージしたマシンネーム通りのピリオドコレクトで、見事BEST IN SHOWを獲得。世界規模のオールドスクールチョッパーの祭典と言えるBORN FREEでトライアンフがベストに選ばれることは初の快挙である。
奇抜なギミックは皆無と言えるほどにシンプルだが、緻密な計算のもとに贅肉を極限まで削ぎ落とし、スタイリッシュに絞り込まれたフォルムは圧巻。さらに、フレームやエクステリアなどに落とし込まれた見る角度によって表情を変えるIMPERIAL HOUSEのキャンディペイントもこのマシンの重要なアイデンティティだ。
4.1956 H-D KHK #The Grape Guarantee”|スキニー&シャイニーを実現するアイアンスポーツ。
2022年のビルダーズピック1位に輝いたのは日本でも馴染みの深いDavid Polgreenが製作したシャイニーな56年KHK。クロームメッキで仕上げた純正モディファイのスイングアームフレームと、Harpoonによるパープル基調のカスタムペイントが落とし込まれたワンオフのエクステリアが美しいコントラストを演出。
’60sのトライアンフからインスパイアされたプロジェクトだけに、タンクやフェンダーをコンパクトに作るだけでなく、フレームのリアセクションをナロードし、リアサスペンションをシングル化することによって実現したスキニーなフォルムに、ビルダーのスキルとバランス感が光る。
【DATA】
ムーンアイズ
TEL045-623-5959
https://yokohamahotrodcustomshow.com/
※情報は取材当時のものです。
(出典/「CLUTCH2023年2月号 Vol.89」)
Photo and text by Yuta Kinpara 金原悠太
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