ミリタリーの進化と物資統制が個性を生んだ。
第二次世界大戦は’39年に勃発し、’45年まで続くことになる。’41年よりアメリカが参戦し、国内の製造業も大きな影響を受けていく。
「この年代の大きな特徴を挙げるなら、多くのミリタリーウエアが開発されたことと、物資統制により簡素化されたワークウエアだと思います。大きな戦争がミリタリーウエアを進化させた一方で、LEVI’Sを始めとするワークウエアメーカーは、’42〜’45年まで武器の製造に必要な金属類などをできる限り使わない物資統制を課されます。その結果、LEVI’Sを例にするとボタンやリベットは汎用品に変わり、アイコンのアーキュエイトステッチがペンキになるなど、この年代ならではの仕様になります。これは各メーカーでも散見され、希少な大戦モデルとしてヴィンテージ市場では価値を上げていきました。一方でミリタリーは、陸海空で多くの傑作が生まれ、次々と進化していくため、極めて短い採用期間のものも多く存在します。この戦争を境に化学繊維に移行していくのも特徴ですね」
WWIIの影響を感じる戦時期のウエア。
進化しつつたくさん開発されながらも、物資統制で簡略化された、この時代だからこそのウエア。デニムやフライトジャケットなど、具体的に見ていこう。
LEVIS|S501XX
物資統制を受け、簡素化された通称大戦モデルのS501XX。頭文字のSは、Simplifiedを意味する。よく見るとバックポケットにペンキ跡があり、ここまでコンディションの良い大戦モデルは、近年急騰しているのだ。参考商品
LEE|COWBOY JACKET
LEEの名作101Jの前身となるジャケット。大戦モデルは、月桂樹ボタンに加えて、フラップポケットの形状やトリプルからダブルに変更された縫製、省略されたシンチバックが特徴。
GWG|COVERALL
これはカナダの有名ワークウエアメーカーであるが、実は大戦モデルが存在する。胸ポケットが省略され、カフスが簡素的な作りになっているのが特徴。アメリカだけでなく、カナダにも物資統制が敷かれていたのだ。
LEVI’S|501XX
物資統制が終わり、通常のラインに戻った1947年モデル。省略されていたコインポケットのリベットが復活し、隠しリベットはオリジナルに。ただ戦前の股リベットやバックルバックなどは省略された。¥877,800_
U.S.ARMY AIR FORCE|TYPE A-2
WWIIで活躍したアメリカ陸軍航空隊のサマーフライトジャケットであるA-2は’32年に採用され、’45年まで支給された。太平洋戦争時は多くのコントラクターが納入し、それぞれに個性がある。希少なブラッドチット付き。¥327,800_
U.S.AIR FORCE|L-2 TEST SAMPLE
先述したTYPE A-2の後継として開発されたL-2は、大量生産を想定してレザーから当時の最先端素材であるナイロンを用いた画期的なフライトジャケット。その開発過程で作れたテストサンプルは世に数着しかない。
【DATA】
BerBerJin
3-26-11 Jingumae,Shibuya-ku,Tokyo
Tel.03-3401-4666
営業/13:00~19:00
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「CLUTCH2022年6月号 Vol.85」)
Photo by Norihito Suzuki 鈴木規仁 Text by Shuhei Sato 佐藤周平
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