ブルックリンスタイル、ヘリテージスタイル、男前インテリア……。いま、ヴィンテージ感を漂わせるアイテムをうまく取り入れた、「味のある空間」を求める人が増えている。ファッションにバイク、ファニチャーなど、年月を経たものだけが持つ空気感が、その空間の“味”を生み出している。
いま世界的に一大トレンドとなっている「ヒップ(最高にイケてる)」な空間づくりを、アメリカや日本で活躍するクリエイターたちの自宅やアトリエから紹介しよう。
【1】ジェフ・デッカー(アーティスト)
アメリカを代表するブロンズアーティスト、彫刻家であるジェフ・デッカー氏。ハーレーダビッドソン社が唯一認めたブロンズアーティストである彼は、自らヴィンテージモーターサイクルのカスタムも手がけ、レースにも参戦する。ユタ州にある彼の邸宅は、彼の趣向が色濃く反映され、自身のアートワークとともに数々の貴重なヴィンテージコレクションが整然とディスプレイされている。モーターサイクルだけにとどまらず、ヴィンテージ自転車も多数所有。夢や希望、そして誇りといった、目には見えにくいニュアンスがはっきりと表れた、まさに男たちの憧れの空間だ。
【2】ジョバンニ・ジェームス(ミュージシャン)
ミュージシャンとして世界的に活躍するジョバンニ・ジェームスは、ニューヨーク・マンハッタンの北部ハーレムエリアでとてつもなく凝った部屋に暮らしている。ファッションデザイナーでもある彼は元々ヴィンテージウエアが大好き。思い切ったアイテムのチョイス、ディスプレイセンスにも、その傾向が色濃く反映されている。
アパートメント自体は1930から40年代に建てられたもので、壁面のレンガは当時のまま。そこに自転車やギター、レザーのバッグ、はく製など家具としては実用性のなくても世界観をつくりあげるヴィンテージインテリアを配置している。色味や風合いが隅々まで統一され、生活空間でありながらまるでショールームのようなこだわりにあふれている。
【3】谷和レオ(アーティスト)
ステンドグラスアーティストとして活躍する谷和レオ氏のアトリエは、車庫付きの自宅をリノベーションしている。バイク、家具、服など、旧いものやヴィンテージが好きな谷和氏だが、「見た目が良いからといって、すべてヴィンテージで揃えてしまうと使い勝手の悪さが浮き彫りになってしまう」と話す。その言葉のとおり、観葉植物、オブジェ、サインボードやアートなどが工具類をおさめたキャビネットや作業台などと同居し、絵になりながらもタフさと機能面も兼ね備えた空間作りが実現されている。
【4】河村耕平(デザイナー)
ヴィンテージウエアに見られるクラシカルなデザインを現代のプロダクツとして再構築し、新たなウエアとして提案するKLASICA。その設立者であるデザイナー、河村耕平氏のアトリエはアメリカ、ヨーロッパ、日本などで作られたヴィンテージプロダクツが並ぶ。半年ほど前に引っ越してきたばかりだという建物は1970年代初頭のものだといい、西洋的な造りが特徴。ラック、照明など細かな箇所まで新旧織り交ぜたインダストリアルファニチャーで統一され、彼の世界観、KLASICAの世界観が直結していることを強く感じさせる。
どの空間にも、それぞれの趣味や趣向が色濃く反映されている。年月が生み出す味わいと、さらにそれを受け継ぐことで重なる味わい。「ヴィンテージ」をキーワードに細部までこだわり抜かれた固有のスペースは、どこまでも味わい深く、見ていて飽きることがない。
(ヨシザワ)
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