1.「オールデン」の4540Hタンカーブーツ|倉庫に眠っていた大戦中のミリタリーラストを復活。
オールデンの名作モデルのひとつ「タンカーブーツ」は、日本の総代理店であるラコタが、1995年に企画した一足。抜群のフィットを生み出す、小さめのヒールカップと緩やかな曲線を描くアーチシェイプが特徴的だが、その独自のシルエットは第二次大戦中に開発されたミリタリーラスト(379X)を復刻させたもの。
当時の米軍の陸軍靴やドレスユニフォーム用に採用されていたが、終戦後は一時期ボーイズ用に使われただけで、80年代以降は倉庫へ。そんな伝説のラストが、ラコタの強い要望により、再び日の目を見ることとなった。
タンカーブーツといえば、コードパンの美しい表情やノルウィージャンスプレイットトゥに注目されがちだが、アメリカらしい一足として今日まで親しまれているのは、高級感の中にも、どこか武骨さを感じさせるミリタリーラストの魅力も大きい。
2.「サンダース」の1945 プレーントゥダービー|英国軍の“アミュニッションブーツ”のラストを再現した日本限定シリーズ。
英国靴の聖地、ノーサンプトンを拠点に、約150年の歴史を誇るサンダース。伝統的なグッドイヤーウェルト製法を守り続けるなか、日本限 定でリリースされるのが「B.G.S.コレクション」。
B.G.Sは、”Boots,Ankle, General service” の略称で、1880年代から
1950年代に英国軍に支給されていた、アミュニッションブーツのラストを忠実に再現したシリーズとなる。トゥ周りにボリュームがあるシ ルエットは、兵士たちが地面をしっかり踏み込めるように設計されたもので、ヒールをシェイプすることでフィット感も高めている。
手入れもしやすいポリッシュドレザーや、グリップ力のあるイッツハイドラバーソールを採用するなど機能性も高い。
3.「ニードルズ × パラブーツ」のNアリアージュ|フランス空軍に 納品されていた60年代のフライトブーツをルーツに持つ。
フランスの名門シューズメーカー、パラブーツにニードルズが別注した一足は、軍用フライトブーツ をルーツに持つ名作[ペリゴー]を、ス タイリッシュにアレンジしたブーツ。原型となったモデルは1966 年には存在し、その当時からフランス空軍に納品されていた実績を持っている。
「N アリアージュ」と命名された別注モデルは、アッパーやライニングだけでなく全てのパーツをブラックに統一し、乗馬のパドックブーツな どで使われるSラストを採用。 ソリッドなデザインに仕上げながらも、脱着しやすいサイドジップや、クッション性に富んだパラブーツ独自のラバーソールを装備するなど、実用面も考慮している。
4.「スクーブ」のUSMC オフィサー|’40年代のUSMCに支給されたモデルを独自にモディファイ
東京は浅草に自社工場を構える国産ブランドのスクーブが初リリースするサービスシューズは、’40年代~50年代前半にかけてUSMC(米軍海兵隊)に支給されていたプロダクトをベースにした一足。同時にリリースされたスクーブの[USMCサービスシューズ]が忠実にUSMCのモデルを再現しているのに対し、こちらは様々なシチュエーションで着用できるよう、レザーソールをミリタリーラバーソールに変更するなどモディファイしている。
5.「リーガルシュー&カンパニー」の940S|定番のレースアップブーツも日本軍の軍靴がルーツにあり?
リーガルのラストは、日本軍の軍靴を製造する過程で作られた歴史を持つ。“オブリークラスト” と呼ばれてきた、そのラストは軍靴製造が終了した後も一般靴に引き継がれ、現行モデルにも踏襲されている。そのなかでもこちらの定番モデルは、シンプルなストレートチップを編み上げブーツで仕上げたクラシカルな一足。フィット感を重視したという美しいシルエットのなかに、かつての日本軍に支給されていた軍靴の面影を感じてみては?
6.「ブラザーブリッジ」のエスケープ|大人気のサービスシューズ「M43タイプ3」のデザインを踏襲。
〝伝統と先進性の融合〞をコンセプトに掲げたオリジナルシューズを展開するブラザーブリッジ。
新作モデルの「エスケープ」は、数あるUSアーミーのサービスシューズの中でも人気が高い、M43タイプを踏襲した一足。オリジナルに忠実なデザインを意識しながらも、ディテールは日本人の足に合わせてラインを修正している。
さらに、トゥの先芯を抜いているため、履きこむうちに少しずつ爪先が潰れていき、ヴィンテージのような風合いを楽しむことも可能。
映画『大脱走』で、スティーブ・マックイーンも履いていたM43タイプ に、独自のアレンジを加えることで、日常で愛用できる上品な一足に仕上げている。
7.「ジョセフ チーニー」のケンゴン II R|英国軍にも提供してきたラストとタフなギミックを融合。
英国の伝統を受け継ぐ老舗メーカー、ジョセフ チーニーは外羽根キャップトゥモデルの「ケンゴンII R」に注目。
75年以上も前から英国軍に提供していた歴史あるラスト4436を採用し、ミリタリーシーンで重宝されてきたグッドイヤーウェルト製法のヴェルトショーン仕様で仕上げた一足で、質実剛健な魅力を備えている。
さらに、見えない部分にもミリタリーなギミックがあり、甲を覆うベロと羽根部分を繋げた〝ベローズタン〞を採用。 これは登山靴にも共通する作りで、悪路対策として取り入れられた機能的なディテール。
上品なステッチワークやシボ感が際立つトラッドなルックスながら、タフなモデルとなっている。
8.「ヴィエント アメリカーノ」のフローターチャッカブーツ|米軍ベース(基地)で 販売されていた“お洒落靴 ”。
インドネシアに拠点を置くヴィエントアメリカーノからは、’60〜70年代に流行した[フローター]がモチーフの一足。様々なブランドから展 開されていたなかでも、オリジナルとされる〝ベイツ社〞のモデルを、三軒茶屋のセレクト店「セプティズ」のオーナーであり、当時まさにこの靴を追い求めていた玉木氏が再現したのだ。
このベイツ社の[フローター]、当時は日本で正規輸入されておらず、リアルタイムで手にできる人は少なかったという。何を隠そう[フロー ター]は、米軍ベース内にあるPX(売店)でのみ展開されていた靴。つまり、米兵やその家族たちにお洒落靴として販売されていた一足なのだ。
9.「カルミーナ」の80501|地中海に浮かぶマヨルカ島で作られていた木型をオマージュ。
カルミーナは、スペインにて1866 年より続く歴史ある高級靴メーカー。そのシャープでドレッシーなアイテムラインナップからは想像が つかないが、実はこの[80501]モデルに採用されている“カルビア” という木型はミリタリーが出自である。
かつて米軍のオフィサーシューズが多く作られていたとされるスペインのマヨルカ島。具体的な年代は不詳だが、当時の木型をオマージュ してつくられたのが“カルビア”なのだ。
10.「クロケット&ジョーンズ」のサンドハースト|英国陸軍士官学校の地名に由来したモデル名。
世界中で最も多くのラストを所有するクロケット&ジョーンズ。ミリタリーをルーツに持つモデルも多く存在するが、こちらの「サンドハースト」は、英国陸軍士官学校の地名に由来した名前を持つ一足。クセのないフォルムのラストを採用したキャップトゥダービーながら、ストームウエルトと重厚なビブラムソールを組み合わせ、ソール周りのボリュームを強調することで、タフなミリタリーテイストをプラスしている。
11.「ビルトバック」のLot.672 サービスシューズ|‘40sサービスシューズをベースに高級感と快適な履き心地を追求。
アトラクションズが提案するレザーブランド、ビルトバッ ク。様々な名品が揃うなか、ロングセールスを誇るアメリ カンオフィサーシューズは、’40年代のサービスシューズ をベースにした一足。
フランス原皮の高品質カーフスキンに型押し、揉みシボの加工を施したスペシャルレザーを使用し、ダイナミックな外羽根やT型バックステイ、 ツメコバ仕上げなど、オーセ ンティックなディテールが光る。アウトソールにはイタリ ア製オークバークの最高級ソールベンズと、ビルトライト 製トップリフトを装備。ラストにはサービスシューズ専用 ラストを採用し、足馴染みのいい優れたフィット感と、快 適な履き心地を実現している。細部までこだわり抜いた贅沢な意匠と抜群の歩行性を兼ね備えた究極のオフィサーシューズだ。
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2022年3月号 Vol.180」)
Photo/Hirotsugu Hoshikawa Stylist/Taro Kaneda Text/Masatsugu Kuwabara
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