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全編iPhone 16 Pro撮影の是枝裕和監督作品『ラストシーン』から何を読み解くか?

  • 2025.05.09

全編iPhone 16 Proで撮影された是枝裕和監督の短篇映画『ラストシーン』が、YouTubeとApple TVで公開された。都内でメディア向けプレミアム試写会が行われたのでその様子をお届けしよう。プロの撮影でiPhoneが使われること自体は、もう珍しくなくなっているが、ドキュメンタリー出身の映画監督である是枝監督がiPhoneでの撮影をどう感じたのかは興味深いところだ。

舞台挨拶には、是枝監督と、出演した仲野太賀さん、福地桃子さん、黒田大輔さん、リリー・フランキーさんが登壇した。

この映画はYouTubeやApple TVで視聴できる。本編は27分42秒。まずはこちらをご覧いただきたい。

また、メイキングとして舞台裏を追った4分21秒の映像も公開されている。

いまや、不思議ではなくなった『Shot on iPhone』

背景を考えるといろいろ思う。短篇とはいえ、プロモーションのためだけに映画を撮影できるアップルの財力もすごいし、「iPhoneで撮影 ー Shot on iPhone」というプロモーションを見ても、iPhoneで撮影されていること自体にもはや驚きを感じなくなっている自分にも驚く(笑)むしろ、日常感のある表現に「iPhone 16 Proならもっとシャープに撮れるのでは?」と思ってしまうほどだが、これは是枝監督の演出というところなのだろう。

iPhone 16 Proをプロ用映像カメラとして使用する場合には、ProRAWやlog撮影を使うのが一般的。しかし、本編では(アップルのプロモーションの都合上と思われるが)シネマティックスローモーション(120fpsの高速度で撮影し、あとで再生速度が変えられる。今回は24fps(5分の1)まで速度を落したシーンがあった)、シネマティックモード(背景をボカす機能。映画のように焦点を合わせるポイントを動かせる)、アクションモード(撮影者が走ってもブレない、強力な手ブレ補正)などの機能が使われている。しかし、それらの機能はProRAWやlog撮影では使えないので、普通のモード(HEVC/H.265)と組み合わせて使っていると思われる(通常シーンはHEVC/H.265なのか、ProRAWやlog撮影なのかは、Q&Aの時間がなかったので、残念ながら質問できなかった)。

iPhoneだからこそ撮れる映像とは?

当然のことながら、大がかりなプロ仕様のカメラにも美点はあるし、iPhoneにも美点がある。

主演の仲野太賀さん、福地桃子さんが口を揃えたのは、「カメラの圧を感じない。いい意味でカメラを意識しすぎずに演技できる」ということだった。周りに多くのスタッフがいることは変わらなくても、やはりカメラがコンパクトであることの美点は大きい。

「最後の観覧車のシーンも凄かったですね。夕焼けのほんの一瞬のタイミングを狙って撮影したのですが、狭い観覧車の中に僕と、福地さん、監督とカメラマン、アシスタントの5人が入って、夕陽が沈む瞬間を逃さずいいシーンが撮れた」と仲野さん。

たしかに、コンパクトなiPhoneならではだし、メイキング画像を撮ってる人までいるのだから窮屈だろうが映像は美しく撮れている。

本編をご覧になれば分かるのだが、ヒロイン由比の顔に当たっていた夕陽の光がスゥ……と落ちるシーンは本編のクライマックスだ。映像を見ている時は、観覧車の外からの照明で演出しているのかと思っていたが、一瞬のその場面を本当に捉えているとのことで、驚いた。

「いろんなものが変わっていきますからね。すごい速さで」と是枝監督。「道具が変われば、表現も変わるし、僕はちょっとそれを遠くから見てるかなっていう意識もあります。追いかけ始めると(クリエイティブは)難しくなるのかな」と、頑固なところも見せつつ「今回のような試みも、撮影ってなんだろう、お芝居ってなんだろう、プロってなんだろう? って考えるいいきっかけになりました」とまとめられた。

対して、リリー・フランキーさんは「昔、フィルムや現像にお金がかかったから、映画監督になろうと思ったら、まずお金を貯めなきゃいけなかった。でも、今はiPhoneでこれだけのものが撮れるんだからね。10代でも100歳でも映画監督になれる。オレもなんか撮りたいな、なんて思いましたけど(笑)。誰もがそう思える状況になったってすごい」とおっしゃっていた。

細かなディテールを観察すると、さらに興味深い

映画のストーリー自体は、主人公の孫娘が、「おじいちゃんの脚本のせいで未来で困ったことが起きている」とタイムトラベルしてくるという、脈絡も根拠もない唐突な展開だが、話が進むにつれ、仲野さん演じる脚本家の倉田と、福地さん演じる由比の物語に引き込まれていく。短篇らしく、2段、3段の意外なオチも用意されているので楽しめる。

また、細かいディテールには、未来的なものではなくクラシカルなものが使われているのが興味深い。由比が使うカメラ(機種は分からなかった、何だろう?)、貝殻を入れるフィルムケース、倉田のクルマ(フィアット・パンダ?)などなど。アップル作品なのに、台本もiPadではなく、紙だ。なぜなんだろう? このあたりを考察してみるのも面白いかも。

由比は、50年後の未来には浜辺の貝殻もないと言う。温暖化による高水温、酸性化により、貝が貝殻を形成できなくなっている事象が報告されている(サンゴの骨格や、甲殻類の殻も同様)あのひとことにそこまで含まれているのだとすれば、深い。

たった、27分の中に、これだけの思いを埋め込めるのが、映画の面白いところ。クライマックスでタイトルとタイトルロゴの意味を考えさせられるのもいい。ぜひご覧いただきたい。

(村上タクタ)

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