そもそもカバーオールとは……
18世紀後半に、頑丈で機能的なワークウエアとして誕生したカバーオール。端的に説明するとシャツジャケット型の作業着である。労働時の妨げにならぬようゆとりのあるシルエットを持ち、汚れから身を守るために設定されたミドル丈や、前身頃に設けられた多数の収納ポケットなど、機能性を全面的に押し出したデザインは、労働者に寄り添ったプロダクツとして、当時の働く人々から多大なる支持を得ていた。
ディテール解説「首周り」
1940年代以前のヴィンテージカバーオールの首周りに見られる、台襟と一体化したチンストラップ。これは作業時に襟のバタつきを防ぐためにデザインされたもの。上記のように第二次世界大戦期を境目にチンストラップの無い台襟になり、やがて台襟ごと無くなる開襟デザインへと変化していく。これは縫製の効率やパーツ点数の省略化によって変化していったと思われる。また首回りのディテールは個体の旧さを見分けるポイントにもなる。
ディテール解説「カフス」
一般的なカバーオールでは3ボタン仕様となっている。手首のフィット感の調整や着脱時の利便性、それにグローブをするときに袖口を大きく開くことができるなど、機能性を考慮してデザインされたが、ブランドによってはカフスボタンが内側に隠れるような仕様となるものも。また第二次世界大戦期を迎えると物資統制の影響でボタンの数が減り、ボタンがひとつだけのカフスがスタンダードなデザインへと変わっていく。
ディテール解説「胸ポケット」
胸ポケットほどブランドの個性が浮き出るディテールは他にない。ブランドごとに機能性とデザイン性を追求しパテント申請され、それがブランドの“顔”となっていった歴史がある。1940年代まで見られる変形ポケットはその最たるもの。旧い年代だと懐中時計を出し入れしたすいウォッチポケットも存在す、機能に特化したデザインが特徴だった。
(出典/「Lightning 2024年11月号 Vol.367」)
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