アメリカ黄金時代を知るフルサイズカーがシボレー・インパラの存在

旧いアメリカ車好きが一度は憧れる巨大なフルサイズカー。そんなフルサイズカーカテゴリーに長らく君臨していた名車がシボレー・インパラの存在。巨大な車格と豊富なバリエーションだけでなく、ハイパフォーマンスなモデルや、ヒスパニック系アメリカ人にはローライダーのスタムベース車両としても時代を築いた。まさにシボレーを代表するモデルのひとつ。そんなインパラについて詳しくなってみようじゃないか。

GM系フルサイズカーの大黒柱。

シボレー・インパラといえばアメリカ車好きであれば誰もが聞いたことのある名車のひとつ。シボレーのパッセンジャーカーのフラッグシップ的なモデルで、10世代もの長きに渡って生産されてきたモデルである。

残念ながら現在では絶版モデルになっているが、1950~’60年代のモデルはアメリカ旧車党にも人気モデル。というわけでインパラってどんなクルマなのかを世代を追ってチェックしてみる。

第1世代 1958年に生まれた初代はパッケージ名だった。

当時のシボレー・フルサイズカーには安価なモデルから順に150、210、ベルエアという3モデルが存在していたが、1958年モデルにはそれぞれに車名が冠され、デルレイ、ビスケイン、ベルエアと整理された。

最上級車種であったベルエアにはこの年にさらに特別仕様としてインパラ・スポーツ・パッケージが設定された。これがインパラの始まりとされ、ボディは2ドアクーペのみという設定。その元祖はモデル名ではなくスペシャルパッケージとしての登場だったのである。

第2世代 1959~1960年 ’59年にインパラとして独立したモデルになり、シボレー系フルサイズカーの親分に。

1959年からインパラはパッケージ名ではなく、モデル名として昇格。ベルエアの上位モデルに位置することになり、シボレーフルサイズの最上位モデルとなった。

ボディスタイルも2ドアクーペだけでなく、2ドア・コンバーチブル、4ドアハードトップ、4ドアセダン、4ドアワゴンとバリエーションが増えた。先代よりも低く、ワイドなボディになったので、よりフルサイズカーとして堂々たるシルエットになった。

アメリカの黄金時代の象徴ともいえるテールフィンがデザインされたのはこの世代のみ。

第3~4世代 1961~1970年 1960年代にはハイパフォーマンスなインパラSSも登場する。

‘50sの流行も落ち着き、直線基調のデザインへとシフトしていった第3~第4世代。初年度の1961年にはSS(スーパースポーツ)モデルがオプションで登場し、バブルトップと呼ばれる細身のCピラーに盛り上がったリアウィンドーを持ったスポーツクーペに、当時のシボレー史上最強だった360馬力を誇る409エンジン(約6700cc)を搭載したハイパフォーマンスモデルだった。

その後SSモデルはインパラのハイパフォーマンスモデルとして浸透し、アメリカのマッスルカーブームも手伝って大排気量、高馬力のモデルをこの世代では数多く生み出していった。

また1966年の4ドアハードトップには内装をさらに高級に仕上げたカプリス・パッケージが登場。走りを意識したモデルから高級感のあるモデルまで幅広い層にアプローチすることに成功した。

その後カプリスは1966年からはパッケージ名ではなく、独立したモデルになり、走りのインパラ、高級感のあるカプリスという性格の違いで併売されていく。

1961年式インパラSS。空力性能の高いバブルトップルーフを持ったスポーツクーペスタイルはコレクターカーとしてもアメリカでは名高いモデル。この当時で300馬力オーバーのエンジンを搭載していた。Photo by General Motors

第5~6世代 1971~1985年 マッスルカーが終焉する1970年代から、同型のカプリスへと主力が交代する1980年代。

1971年にフルサイズカーが一新され、さらに大きなボディへと拡大したインパラだったが、その直後にオイルショックが打撃を与える。今までステイタスだった大排気量のV8エンジンを搭載した大きく燃費の悪いフルサイズカーよりも、コンパクトで燃費の良いクルマを求める層が増え、アメリカでのクルマの立ち位置も変化していったことでインパラの販売は伸び悩むことに。

そこで1977年に生まれた第6世代ではボディが小型化され、エンジンもスタンダードが直6エンジンになるなど(V8エンジンはオプション設定に)ダウンサイジングすることで復活し、’85年まで生産された。

ただ当時併売されていたフルサイズカーだったカプリスのみにモデルが整理されることになり、インパラとしての単独モデルは1985年が最後になった。

1978年式のインパラワゴン(奥)とカプリスワゴン(手前)。カプリスはフルサイズの高級パッケージモデルとして登場し、その後独立したモデル名へと成長した。この世代もウッド張りで高級感を持たせている。Photo by General Motors

第7世代 1994~1996年 新生インパラSSが登場した1990年代。

新型モデルが発表されることなく、シボレーのフルサイズカーはカプリスが担っていたが、1994年にカプリス・セダンのホットバージョンとしてインパラSSの名前が復活。ベースはカプリスのポリスパッケージ(パトカー仕様)とし、エンジンには当時のコルベットに搭載されていたLT-1と呼ばれる5700cc V8を搭載して1996年モデルまで生産された。

この世代は日本への正規輸入はなかったが、カプリスとともに多くの個体が日本に並行輸入された。

第8~9世代 2000~2013年 4年振りに復活したインパラのモデル名。

それまで存在したシボレーの中核を成していたセダンだったルミナの後継モデルとしてインパラのモデル名が2000年モデルで復活して第8世代が登場した。ただボディはミッドサイズカテゴリーになり、駆動方式もFFに。エンジンは直4とV6のみという設定で、いわゆるスタンダードなセダンとして生まれ変わった。

ただ、2004年にはインパラSSが復活し、3.8LのV8をスーパーチャージャーで過給するホットなエンジンが搭載された。

2006年にはフルモデルチェンジして第9世代に。このモデルはFF駆動は継続されたが、SSモデルには5.3LのV8エンジンを搭載し、シボレー初の前輪駆動車でV8エンジンを搭載するモデルとなった。

第10世代 2014年~2020年 最終世代はフルサイズセダンとして役目を終えた。

FFのドラドライブトレインによる4ドアセダンというスタイルは先代から継承しているが、フルサイズカテゴリーにボディが巨大化した第10世代。エンジンはV8エンジンがドロップし、2.4Lマイルドハイブリッド、2.5Lの直4、3.6LのV6の3種類がチョイスできるようになり、燃費や環境性能を意識したラインナップになった。

時代はクロスオーバーSUVがスタンダードになったことで、シボレーの4ドアセダンはミッドサイズカテゴリーのマリブ(といってもフルサイズのインパラと車格は大きく変わらない)のみに整理され、インパラはその歴史に幕を閉じた。

インパラの新車というアナウンスはまだない。

現在のシボレーの4ドアセダンはマリブのみの展開になっていて、現状新たなインパラの登場はアナウンスされていない。最終の2020年式モデルが最新となっている。また日本国内には1996年以降のインパラはほとんど入ってきていない。1950~’60年代のモデルはアメリカ旧車としては人気だが、日本国内ではフルサイズという大きさのため、限られたアメリカ車愛好家やローライダーにのみ人気で、旧いモデルはフルレストア車両か、きっちりと仕上げられたモデルは価格も上昇傾向にある。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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