アメリカと繋がるカルチャーとプロダクツ。
「イギリスのバイクやフランスの家具、アートにのめり込んでいったきっかけは、アメリカとの繋がりがあるから。基本的には、アメリカものが好きなんですけど、もともとアートをはじめとする旧い美術品にも興味があったので、そのプロダクツの歴史を紐解いていくうちに、アメリカとフランス、イギリスとアメリカが、こんなところで繋がるんだと気付かされることが多々あって、欧州のプロダクツも好きになっていきました」
ヴィンテージウエアのみならず、音楽、バイク、家具などにまつわるさまざまなアイテムをコレクションする西崎さん。自らディレクションするプロダクツの骨子はアメリカものがベースだが、彼が好きなもの、空間にはイギリスやフランスといった他国の要素もほどよくミックスされている。現にアトラクションズのショールームは、ヴィンテージのフランス家具で統一されたモダンな空間に仕上がっている。
「アメリカが好きな人ってフランスのことがわからなかったり、ヨーロッパが好きな人はアメリカのことを知らなかったりするんですが、1920年代頃まで時代を遡れば、米国が欧州から影響を受けたこともあり、アートと家具、音楽など繋がっているんです。それが元々、好きだった自分のジャンルとリンクしたこともあって、欧州ものだからといってアンチにすることなく、すんなりと受け入れることができたんだと思います」
空間を彩る肝入りの家具だけでなく、彼が愛してやまない希少なコレクションも見せてもらった。
ライディング時に重宝するリアルクローズ。
1940年代のU.S.ネイビーのスモックパーカ。フロントにボタンが付けられているタイプが前期型で、左が後期のもの。「近年、ヴィンテージ市場でも値段が上がりつつあるスモックパーカ。シャツやニットなどの上から、バックリと着ることができるので好きです」
U.S.ネイビーのN-1デッキパンツはどちらも1940年代のもので右が前期、左が後期型。「いずれも冬のバイクライディング時に愛用しているアイテムです。めちゃくちゃ暖かくて重宝しています。ヴィンテージとはいえ、まだまだ値段も手頃なアイテムでオススメです」
リーの101は、穿いたときのシルエットやポケット位置が好きで、現在も愛用しているお気に入り。いわゆるセンター黒タグ、サイド黒タグの1950年代から1960年代に作られたもの。
「統一サイズのポケット位置はバイクに乗るとき邪魔にならなくて良いんですよね。ウエアマスターズのデニムのイエローステッチはリーの影響が大きいです」
1920年代のスポルディングのニット。スリーブ部分のボーダーとカフス、ネック部分がホワイトの切り替えになっているデザインが特徴。
「10年くらい前に購入したスポルディングのニット。裾裏にブランドタグが隠されています」
生産国の垣根を越えたプロダクツ。
長年、コレクションし続けているゴーグル。作られた年代も1920年代から1960年代頃までとさまざま。
「日本、アメリカ、イギリスと生産国もそれぞれ異なりますが、デザイン性や機能性の高さ、ヴィンテージならではの当時を感じさせる趣の良さから、ずっと集め続けています」
バイクに乗る際に着用必須のレザーグローブ。「すべて1950〜1960年代頃のもので、左がアザラシ、中央がルイスレザーズ、右がブコのもの」
1940年代、エバーウォークの半キャップヘルメット。「乗馬用ですが、自分的に玉子柄塗装と呼んでいる頑丈な塗装が気に入っています」
エコール・ド・パリ期の藤田嗣治のオリジナルリトグラフ。「1926年の作品で、左下にATTRACTIONSの文言が書かれない希少なもの」
ヴェロセット、トライアンフなど、ヴィンテージの英国車は複数台所有。なかでも最近、手に入れたトライアンフのサンダーバードは1949年製。
「本国イギリスで見つけ、知り合いを通じて購入し納車されたばかりの初代サンダーバード。自分が想像していた以上にコンディションも良く、オリジナル塗装のヤレ感がカッコ良いですよね」
(出典/「Lightning2023年3月号 Vol.347」)
Text/T.Itakura 板倉環 Photo/M.Watanabe 渡辺昌彦 取材協力/ Attractions TEL03-3408-0036 https://attractions.co.jp
関連する記事
-
- 2024.11.20
松浦祐也の埋蔵金への道。第10回 夏季最上川遠征・没頭捜索編 その2。
-
- 2024.11.19
[渋谷]革ジャン青春物語。—あの頃の憧れはいつもVANSONだった。—
-
- 2024.11.17
なぜ英国トラッドにはブラウンスウェード靴なのか? 相性の良さを着こなしから紐解く。