アメリカの広大な牧場で働くクルマは、世界中のタフで男前な四駆でした。

ロサンジェルスにほど近いマリブキャニオンにある私設牧場「ワン・ガン・ランチ」。そこには牧歌的な風景とともに、そこに出入りするクルマたちが佇む。それはどれも悪路から街乗りをこなす、世界を代表する4駆たちばかりだった。

ここには世界中のヘビーデューティなクルマが実用車として集まっている。

マリブの山並みのなかで自由に放牧されている動物たち。太平洋沿いはセレブが住む高級住宅地として知られるが、山側は自然にあふれている。

牧場では多くの動物を飼育するだけでなく、オーガニック野菜なども栽培。広い施設にはエアストリームも佇んでいる。

マリブはときに山火事が起きる場所。そんなときに動物たちを避難させるためにトラックや4WDを使うようになったという。

旧いクルマでも仕事の移動にガンガン使うのが信条。歴史あるクルマでも置物にはしないスタイルがカリフォルニア的だ。

ここのオーナーであり、紹介するクルマを所有するアリス(右)とアニ(左)。マリブのピアではアパレルや雑貨の店舗も経営している。

ずらっと並んだ各国を代表するヘビーデューティーなクルマたち。詳細を紹介していこう!

1979 トヨタ ランドクルーザー FJ40

1979 Toyota Landcruiser FJ40 |カリフォルニアの青い空にも負けない美しいブルーのボディが牧場に映える。日常的に使っているがキレイそのもの

マリブのピアのショップの入り口にいつも駐車しているので、彼女たちのトレードマークにもなっているFJ40。往年の4WDもきっちりとレストアされて日常のアシとして使っている。4駆に乗り始めたのはオンもオフも走れる機能性だった。

エンジンは2Fと呼ばれる4230㏄の直列6気筒。コンパクトなボディには十分な排気量なので、 アメリカの道路事情にも合う
マークではなく、アルファベットになるトヨタの表記が往年のスタイル。一周回って最近ではあえてこの表記にする人もいる
足元はオリジナルのスチールホイールにホイールキャップという往年の組み合わせ。タイヤは男らしいマッドテレーンを選択
鉄のインパネやグローブをしたままでも操作しやすいトグルスイッチなど、機能に特化した殺風景なインテリアが逆にカッコいい
女性とはいえマニュアルのクルマを軽々と操る。「旧いクルマは乗馬と同じような感覚」だと語る。普段から馬に乗っている彼女らしいコメント

1985 AMC ジー CJ-8スクランブラー

1985 AMC Jeep CJ-8 Scrambler|2トーンにカスタムペイントされたアメリ カ車らしいカラーリングのCJ-8スクラン ブラー。スクランブラーは’81〜’85年 まで存在した稀少モデルだ

きっちりレストアされてマリブの街も山間部も難なく走るスクランブラー。肉厚なタイヤとヘビーデューティなバンパー、それに中央にセットしたフォグランプで男前なルックスにカスタムされている。

心臓部にはオリジナルの直列6気筒4.2 リッターが鎮座。当時のAMCの中核を成すエンジンだ。往年のジープファンなら親しみのあるエンジンである
スクランブラーは通常のジープをロングホイールベース化してピックアップトラックのような荷台を延長したフォルムが特徴。これはキャビン部分のシェルを取っ払ってフルオープンにしている
リアタイヤのカバーに彼女たちの牧場やショップのロゴを入れてカスタム。無愛想なリアスタイルも本格的なオフロードカーらしさ
グランツ製のウッドステアリングに交換される以外はオリジナルをキープするインパネ。中央に配置される計器がスパルタンな仕様だ
リアの荷台には対面するベンチシートをセットして4人乗車ができるようにカスタム。オープンエアを満喫できる仕様になっている
足周りはディープなアルミホイールにマッドテレーンタイヤで武装。肉厚でどっしりとしたスタイルに生まれ変わって、力強さも倍増する
機動力だけなく、人も動物も荷物も乗せられるジープということで手に入れたのがこのモデル。舗装路が存在しない牧場内でも力強い走りを見せる

1967 ランドローバー シリーズ IIA LWB「ドクタージープ」

1967 Lamd Rover Series IIA LWB “Doctor Jeep”|旧いエアストリームとの2ショットは現代とは思えないシーンを演出してくれる。ランドローバーは英国車だけど、アメリカでもそのタフなスペックが買われ、緊急車両など、特装車として使われていた歴史がある

’69年にJFケネディの弟であるエドワード・ケネディが起こした自動車事故(チャパキディック事件)の際に現場に駆けつけた救急車だったというヒストリーを持つクルマだけに、当時そのままを維持して所有する。

ロングホイールベースの4ドア。キャビンのスタイルは1948年から変わることなく受け継がれてきた。 ディフェンダーという名称は’90年から
3分割になるリアウィンドーやリベット留めされたボディなど、 ヘビーデューティなクルマらしさが全開の名車である
フロントウィンドーから伸びるエアダクトがむき出しなだけでなく、内装もナシ。鉄板のままのインテリアはまるで装甲車みたい
3分割のフロントシート、セカンドシートともベンチシートを装備。さらにサードシートは左右にタテにセットされるという仕様だ
この手のオールドカーでは定番のスチールホイールは年代相応の経年変化もそのままに、あえてピカピカにしない。これもスタイル

ほかにもフィールドも街乗りもすべてをこなせるクルマがたくさん!

この牧場で稼働しているヘビーデューティなクルマはこれだけじゃない。オンもオフも走れるクルマを彼女たちは多数所有している。アウトドアを謳歌できるクルマの博物館のようなラインナップは圧巻。さすがアメリカ。

フルモデルチェンジした2020年式、新型ランドローバー・ディフェンダーも所有。基本はオールドカーだが現代車両も働いている。

アメリカでもっとも売れているクルマといえばフォードのピックアップトラック。これは完全に牧場内での仕事グルマとして稼働している。

現行フォードもあれば1972年式フォードF150も所有。これも牧場内で荷物の移動に使っているというから驚き。タフさが自慢だ。

(出典/「Lightning 2021年1月号 Vol.321」)

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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