30、40代の紺ブレは、まだまだ遊びたい気分。着道楽たちはどんな紺ブレを選ぶ?

アメトラの一般教養はしっかりとインプットしつつも、原理主義的な装いからは脱皮して、自分流の紺ブレ攻略法を我が物にしている30〜40代。そのリアル観を「トゥモローランド」バイヤー・川辺圭一郎さん、「ニート」ディレクター・西野大士さん、「GMT」プレス・ミウラシュランさんのファッション業界で活躍する3人の放談から探る。トラッドすらエネルギッシュに楽しみたい服道楽たちが選ぶ紺ブレ像とは!?

「トゥモローランド」バイヤー・川辺圭一郎|1989年生まれ。2012年に入社し、販売員を経て2018年からメンズのプレス業務を担当。「全社朝礼から直行してきたから普段よりも堅めです」と謙遜するが、クリーンなアイテムを崩す手腕は服飾業界内でも指折り。トラッドからヴィンテージまで、守備範囲も広大だ。着用しているブレザーはCARUSO
「ニート」ディレクター・西野大士|1983年生まれ。小学校教員を経てブルックスブラザーズに入社。販売員から名物プレスとして活躍し、同社を退社後2015年にパンツ専業ブランド「ニート」をスタート。2017年にはPR会社「にしのや」も創設し、今夏、淡路島に「N&Nストア」をオープンした多忙人。着用しているブレザーはBROOKS BROTHERS
「GMT」プレス・ミウラシュラン|1984年生まれ。海外シューズブランドのインポーター、「GMT」のプレスを担当。フットワークの軽さと人脈の広さでは右に出る者はなく、本誌の名物連載「無礼講酒場」でもその一端を垣間見せている。ヴィンテージをミックスした独創的なスタイリングに定評あり。着用しているブレザーはSCYE BASIC

着なくなったとはいえ、初めて買った紺ブレを捨てられない気持ちはわかる

川辺 ここまでたくさん紺ブレが揃っていると、さすがに壮観ですね! 圧倒されます。

ミウラ そもそも紺ブレがこんなに多くのブランドからリリースされているっていうことに驚かされますよね。一体みんなどれだけ紺ブレが好きなんだよっていう(笑)。

川辺 正直めちゃくちゃ頻繁に着用するアイテムじゃないと思うんですけど、それこそ白のオックスBDとかジーンズみたいに、やっぱり男服のなかでは核みたいな存在なのかもしれませんね。トレンドとは一線を画す存在というか。

西野 服好きなら絶対に一着は持っておかなきゃダメな永世定番って感じはしますよね。

ミウラ にしてもここまでキャラの違う紺ブレを一度に試着できる機会なんてそうないから、なんだか興奮するなぁ。

西野 たしかにテンションは上がるけど、僕の場合は紺ブレの集合体を見ると、20代の頃を思い出して甘酸っぱさも込み上げてくるというか、正直ちょっとお腹いっぱいな感じがするというか(笑)。

川辺 ブルックスで働かれていた時は毎日紺ブレに囲まれていたんですもんね。それこそユニフォームみたいなものだったんでしょうし。

西野 まさに制服です。実際に入社したら“とりあえずシングルの紺ブレを買う”、みたいな暗黙のルールもありましたよ。やっぱり毎日ブルックスのアイテムを着なきゃいけないから、まずはブランドの顔的存在を押さえておきましょうみたいな感じで。だからまだ色々購入できていない入社したての頃なんかは、それこそ週5ペースで着用してたんじゃないかな。あまりにヘビロテしすぎて、数年経ったら生地が痩せすぎてテロッテロになっちゃったんですけど、いまだに手放さずに実家に保管してますね。

ミウラ たま~に着たくなっちゃうみたいな?

西野 それが20代の頃とは体型が全然違うから着れないんですよ。最初の紺ブレは“36ショート”だったのに、今じゃ“44レギュラー”。我ながら育ったもんです(笑)。

川辺 でも着なくなったとはいえ、初めて買った紺ブレを捨てられない気持ちはわかります。僕も二十歳頃に初めて買った古着の紺ブレ今だに持ってますから。某雑誌が当時推していたトラッドな装いに憧れて、よくガチガチのコスプレみたいなトラッドスタイルでキメてたなぁ(苦笑)。

ミウラ 紺ブレデビュー時なんてみんなそんなものじゃないですか? 僕もとりあえず色々なジャンルの定番を買い揃えようと思っていた20代前半の頃に、ブルックスの段返りの3つボタンを購入したんですけど、やっぱり正統派な着こなしを知らないとダメでしょっていう固定概念があった気がします。年を取るとともに服の嗜好も変わってきて、今はほぼ着ていないけど、なぜか手放せないというのも同じ。多分最初の紺ブレには、“あの頃背伸びして買ったな”っていう、思い出補正が働いてるんじゃないでしょうかね。

川辺 それは絶対ありますよね。あと30代~40代に突入した服好きって、大抵一度は20代の頃にどうやって紺ブレを着こなすか迷子になった経験を経ていると思いません?

ミウラ なったなった(笑)。

西野 オックスのBDにタイを締めてトラウザーズっていう、どストレートなスタイリングしか引き出しがなくって、いつしか“これってコスプレじゃない?”って、なんだか気恥ずかしくなってきちゃうんですよね。

ミウラ そうそう。ジーンズなんかと同じで、ベーシックなアイテムだからこそ、どうやって自分のカラーを出すか悩む時期がくる。王道をしっかり把握したうえで、殻を破って自分流に着こなせるようになるまでの道のりって、実は結構長いんですよね。

川辺 僕もトゥモローランドに入社して間もない頃、紺ブレを前述のガチガチのアメトラコスプレで着こなして出社したら、先輩から肩に力が入りすぎててダサいって言われてしまって。それからはどうやって自分流にアレンジするか模索の日々で、今だに紺ブレを着るときは、“いかに崩すか”をテーマにしています。

西野 わかるなぁ。多分僕ら世代はみんな同じこと思っているんじゃないですかね。

ミウラ 20代の頃みたいにキラキラした目で王道アメトラを貫けないし、かといって50オーバーの達人の域にも達してない。要はまだまだトライしたい世代じゃないですか。紺ブレで遊んでやる!って。

西野 たしかにそうかも。ただその紺ブレっぽさを消すアプローチは、人によって違うんですよね。僕の場合は完全に自分が大好きな“アメカジのフィールドに持ってくる”っていうのが、ここまでの経験で導き出した紺ブレ攻略法。

川辺 西野さんっぽいなぁ。たしかにどんなアイテムもアメカジに味付けしているイメージありますね。

ミウラ あるある(笑)。

この記事を書いた人
2nd 編集部
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