カバーオールにかける熱き想い
コラボレートをきっかけに、ペイデイのディレクションにも携わるようになったという大貫達正さん。長年ヴィンテージシーンに身を置く大貫さんにして、「とにかく“ちょうど良い”ブランドだった」とペイデイについて語る。
「ブランドバリュー、商品構成、歴史など、まつわる全てが、僕にとってはちょうど良かった。リーバイスやリーのように名門過ぎず、“知る人ぞ知る”的な立ち位置にあっても、何十年も変わらず残った中堅どころというか。アメリカの大手百貨店JCペニーのワークレーベルとして1922年にスタートしていますが、その時々で仕様の変化こそあれどもカバーオールやオーバーオールといった主力商品は、いつの時代も展開し続けていたようです。しかも、驚くことにデザインが大きく変わっていない。アノニマスなのにしっかり筋の通った一貫性もまた、ディレクション側にとってホントにちょうど良かったんです」。
大貫さんが最初に取り組んだのは意外にもレディスライン。ブランドに紐づく伝統や特徴的ディテールをより広い市場にアピールできるかたちへとアップデートしていった。
「トレンド感を意識しつつも継承ブランドとしてトラディショナルな要素は当然不可欠です。とはいえ、ペイデイなら本質的な仕様やデザインには手を付けずとも、ハードボイルド過ぎないレーベルカラーだからこその、モダンなデザインや提案もひとつのカテゴリーとして成立するのでは。そう考えたのです」。
確かに土臭くなり過ぎない抜け感はストアブランドならではの魅力。特にカバーオールは1910年代にはすでにオープンソースと化し、多くのブランドからこぞってリリースされた。他社との差別化はデザインではなくディテールワークに集約され微差や独自の意匠で競い合う。言わば無個性なアイテムだからこそ、1シーズン1型のみという形で展開する復刻カバーオールの存在はより特別な位置づけにあるという。
「もはやデザインする余地はありません。でも単なる完全復刻なら、わざわざ作る意味もない。パッと見は各意匠にこだわった完全復刻のようですが、実は肩線の傾斜を変えるなど、いま着てかっこいいバランスに整えたりしているんです」。
これまでも数々のヴィンテージを完全復刻
WW II MODEL
40s MODEL
毎季リリースされるカバーオールは往年のヴィンテージをベースとしたスペシャルピース。これまで戦中に生産された通称大戦モデルや古着好きから最も親しまれた40年代モデルなどを忠実に再現。
30s VINTAGE COVERALLS
ブランドを象徴するラグランスリーブ、戦前まで採用された通称ドットボタンやチンストラップなど、当時の仕様を忠実に再現。趣きはそのままに、身幅や肩傾斜といったサイジングを現代的に再設定することで、ワークの土臭さを巧みに軽減した。3万1900円
【問い合わせ】
マルベリー
TEL03-6450-4800
https://mulberryco.jp/
Photo/Ryota Yukitake Stylist/Syun Iizuka Text/Takehiro Hakusui Hair&Make/Daisuke Yamada
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