「Jプレス オリジナルス」が日本でブレザーをつくる理由。

日本製ブレザーの展開や、国内ファクトリーブランドとのコラボなど、ジャパンメイドに積極的なJプレス オリジナルスの試みと考えに迫る。Jプレスの最重要人物、バイヤー・黒野智也さんに日本製のブレザーにこだわる理由をお聞きした。

「Jプレス&サンズ 青山」バイヤー・黒野智也さん|アメトラの王道、Jプレスの最重要人物。ブレザースナップ専門のInstagramアカウントも好評。@blazer_snap

目指すはブレザーが「当たり前」の時代。

昨年から日本製ブレザーの展開を始め、国内の名だたるブランドとのコラボにも積極的なJプレス オリジナルスに、日本でブレザーを作る理由について聞いた。

「ジャパンメイド最大の利点は、細かな製法の話とは別にあると思っています。たとえば、作り手と一緒に進化していけるところ。頻繁に会いに行けて、細かいニュアンスでオーダーを伝えられるので、毎回ちょっとした改変を加えやすいんです。ブランドとしての進化を長続きさせるには重要なポイント。あとは、性格が似ているところ()

『ここをこうすればカッコよくなる』という感覚を共有しやすい。そして我々には、それが効率悪くともやり遂げたいと思う気持ちがある。新しいモノが生まれるときは、効率の悪いことをあえてやったときだと思っているので、これもブランドが発明を続けるうえで重要です。

僕らはブレザーを、皆さんの『当たり前』にするべく日々奮闘しています。それを実現するために必要な『着実な進化』と『発明』には、日本のものづくり精神が不可欠なんです」

×KANEMASA】カットソーを布帛に見せる老舗ならではの技術に感服。

1964年に生地メーカーとして創業、2021年にオリジナルブランドをスタートしたカネマサとのコラボは、カットソーブレザー。シルエットやディテールに至るまでカジュアルな一着。58300(J.プレス&サンズ 青山)

カットソー生地で、布帛(ふはく)の雰囲気を再現するというマニアックかつ限られた工場にしかできない技術を駆使
伸縮性があるぶん縫いづらいカットソーで、Jプレスの特徴である赤パイピングまで再現するこだわりよう

【×COOHEMブレザーらしい光沢感などを独自のアイデアで再現する。

1952年創業のニットメーカー「米富繊維」のオリジナルブランド、コーヘンとの協業。ニットならではの快適な着心地と、ニットらしからぬ細かなつくりや生地の質感が唯一無二。64900(J.プレス&サンズ 青山)

ふつう工場だとプレス機を使って生地を圧着するが、「米富繊維」では機械がないため、芯地を貼るために使う大きなアイロン台で熱を加えているという
生地の端は折り返さず、別布を当てて強度を高めるという妥協なき作り

J.PRESS ORIGINALS2018年よりインラインで展開する日本製の王道ブレザー。

2022年、中国から青森の「サンライン」へと工場を移し、日本製ブレザーを展開。「新しいことへの挑戦心が強い工場なので、一緒に進化している感覚があります」。67100(J.プレス&サンズ 青山 TEL03-6805-0315)

アメリカ製とは異なる、こだわりの原料を採用。生地も毛織物の産地として有名な尾州で製作している
アメリカ製にはなかったパイピングが、日本製では配される。見えない場所にもこだわる日本人の気質あってこその特徴だ

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 20235月号 Vol.194」)

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

Pick Up おすすめ記事

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...