Even Realities
https://www.evenrealities.com/
ドラゴンボールのスカウターのように、情報が目の前に表示される
Even G1のディスプレイ解像度はわずか640×200。しかも単色。初期のパソコンのモノクロディスプレイのように緑色だ。
一見普通のメガネにしか見えないが、文字情報が視界を遮らずに、視界の一部に表示される。グラスの左右のレンズ部分に表示され、両目で見ると中空に浮いているように見える。表示距離はアプリで1〜5mの間で調整できる。
これまで、さまざまなデバイスを体験してきているが、見え方は自然で見やすいといってもいいだろう。
タイトルで使ったこの画像は、Even G1を使っている時に、どう見えているかをイメージ画像として作ってみたもの。ご覧のように、視界の少し上の方に、緑色の文字が表示される。周囲はこんなに暗く見えるわけではないが、コントラスト感はこのぐらいはっきりしている。
最初、普通の色の写真に合成したら文字が読みにくく感じたが、このぐらいはっきり見える。
実際には、頭の揺れに対して文字はしっかり空間に浮いているし、距離感の違いもあるので、この画像からイメージされるより読みやすいと思う(もちろん視力の問題はある)。

ちょうど、ドラゴンボールのサイヤ人たちが使うスカウターのように、メガネに情報が表示される時代がようやく来たのだ。しかも、生成AIと接続されているので、表示される文字数は少なくても、かなり高度なことができる。このあたり、今だからこそ便利なデバイスだともいえる。
まだ、ソフトウエア的に十分だとは思わないが、大きな可能性を感じるデバイスだ。
たとえば、プロンプトを表示して読むことができる。生成AIに質問して、回答を表示させることも。また、外国語を聞いて、その翻訳を表示させることもできる。
ちなみに、下の状態で、私はカメラの方を見つつEven G1に表示されている文字を読んでいる。
いかがだろうか? ほとんど目線を合わせているように見えるのではないだろうか? 実際には、カメラの前にEven G1が表示している緑色のプロンプトを見ている。
試用しての詳細なレビューはまた後日お届けするが、まずはEven Realitiesという企業と届いた商品について、解説しよう。
優れた機能と、美しいデザインの秘密
現在、Even Realitiesの商品は、一般には日本では売っていない。しかし、通販で海外から購入することができる。今回、私はそうやって購入した。
ただし、当然ながら日本におけるサービス体制や、日本語のサポートなどはないので、そのあたりをオウンリスクで購入できる人にしかお勧めしない。
とはいえ、幸いなことに日本の技適は取得済みなので、Ray-Ban Metaや、初期のVision Proのように、技適の特例申請を個人でする必要はない。これはとても助かる。
現在、Even Realitiesの商品は、欧州を中心に販売しており、EUオフィスはベルリンとスイスのルガーノにある。アメリカでも購入可能だが、まだ、拠点は少ない。つまりワールドワイドで見て、今のところ欧州市場中心に展開されているということだ。
デザイン、マーケティングなどはこのEUオフィスを中心に行われており、デザイン、製品品質などは欧州基準となっている。本社は深圳で、電子的な先進技術、生産技術などは中国のバックグラウンドが活かされている。
創業者CEOのWill WangさんはアップルでiPhoneやApple Watchの製品開発に携わっており、その後中国に戻ってAnkerとOPPOで製品デザインとサプライチェーン戦略の強化に取り組んだという。CTOのJian Ouyangさんもアップル出身である。
主任デザイナーのPhillipp HaffmansさんはベルリンでMYKITAとic! berlinというデザインオリエンテッドなアイウェアブランドを共同創業した伝説的なデザイナー。ネジを使わないスクリューレスヒンジを活かした、シンプルで美しいデザインが特徴で、その手腕はEven Realitiesのブランドにとって大きな意味を持つ。CSOのNikolaj Schnoorさんは著名なデンマーク発祥の高級アイウェアブランドLINDBERGでCCOを務めており、世界的な商品戦略、マーケティングにおいてEven Realitiesに大きく貢献しているのだそうだ。
このように、西海岸や中国のテクノロジー機能の技術力、開発力と、欧州のデザイン、マーケティングが組み合わさって作られたのがEven Realitiesのプロダクトなのである。
Even G1の『開封の儀』をお届けしよう
購入は比較的簡単で、筆者の場合、購入から10日ほどで受け取ることができた。
ご覧のように、安全な状態で届いた。最近のトレンドにしたがって、地球環境を考え、プラスチックを使わない包装だ。
パッケージを開けた様子。Ray-Ban Metaなどと同様に、ケースにバッテリーが内蔵されており、入れておくと充電できる仕組み。
パッケージにメッセージと、最初に使い始める時に見るクイックガイドが入っているのも嬉しい。
ちなみに、ちょっと分かりにくいが、メガネケースの下に、USB-Cケーブルと、メガネ拭きが入っている箱があるので、見落とさないように。ないと困るというものでもないが、USB-Cケーブルは上質なものが入ってるので、ぜひ活用したい。
ベルリンのエキスパートアイウェアデザイナーが携わっているだけあって、非常にスタイリッシュ。角度によってはグラス部分に文字の表示領域がうっすらと見える。
この写真は、かなり頑張って撮影しているが、この表示領域は普通に見ているとほとんど気付かない。
クイックガイドに従って、Even G1とiPhoneをペアリングし、初期設定を行う。
HeadUp Settingsというのは、ちょっと上を見ると、日付、時間、天気、直近の予定などが表示される『ダッシュボード』という仕組みがあるのだが、どのぐらい見上げるとダッシュボードが表示されるかを設定するところ。デフォルトは20度だが、そのあたりが適切な気がする。あまり低くすると頻繁に表示されて面倒だし、高すぎるとダッシュボードを見るアクションが大げさになる。
使い始めると気付くのだが、あくまでさりげなく情報に接することができるのがEven G1の美点だから、大げさにならない方がいいと思うのだ。
最初に設定する部分は他にはあまりないが、『設定』の項目はご覧の通り。
現在、システム言語として使用出来るのは、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語……と、ヨーロッパ諸国の言語のみ。このあたりもヨーロッパをマーケットの中心に据えているからこそ。
対して、スピーチ言語(音声入力)としては、日本語を含む数多くの言語が利用できる。まぁ、生成AIで使えるからということだが、日本語フォントも入っているので、日本語も表示できるということだ。
ちなみに、ケースにはご覧のように技適マーク(一番右)があった。これで安心して使用出来る。ケースのバッテリーは2000mAh/7.4whという表記も見える。本体には160mAh/0.616Whのバッテリーが内蔵されており、これで1.5日ぐらい持つという。公式の表記だとケースを合わせて6日ぐらいもつ勘定だ。
ここまでの操作でEven G1は利用出来るようになった。
実際の使ってみてのインプレッションについては、もうしばらく使い込んでからレポートしよう。
お楽しみに。
(村上タクタ)
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