ジェラードが満を持してリリースする、ヴィンテージモチーフの“エンジニアブーツ”とは?

ジェラードが2024年から新たに「ジェラード・ザ・ブーテッド」というシューズ・ブーツを専門にしたコレクションを展開。その第一弾として登場するエンジニアブーツについて、モヒカン小川による3者鼎談を開催。新コレクションの魅力を存分に語ってもらった。

新コレクションのエンジニアブーツはヴィンテージのプロダクツを忠実に復刻。

「Lightning」編集者・モヒカン小川|レザーの知識はLightning編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。そして普段履きはどんな時でもエンジニアブーツというタフガイさにファンは多い
「ジェラード」代表・後藤洋平さん|元古着バイヤーという経験を活かし、世界中のヴィンテージウエアをモチーフに、現代的なシルエットを再構築する「ジャラード」を2005年6月から東京・恵比寿にて始動させる
「ブーツのミカタ」鈴木理也さん|ブーツのミカタ主宰。元レッド・ウィング ・ジャパン代表。ジェラード後藤氏とタッグを組み「ザ・2モンキーズ」を展開。新たに「ジェラード・ザ・ブーテッド」のディレクションを担当する

モヒカン小川(以下、M)/ジェラードから新しいエンジニアブーツが登場するって聞いたんですが、どんな経緯で誕生したんですか?

後藤洋平さん(以下、G)/僕らは、「ジェラード」以外に「ザ・2モンキーズ」というブランドを鈴木さんと一緒にやっていますけど、このコレクションはアメカジより少しだけ外したところに、鈴木理也さんの世界観を全面に押し出しているので、個性的なシューズやウエアも多いんです。その一方でジェラードとしてはダブルエックスなどのジーンズを完全リプロダクトしたりとか、41カーキなどチノパンを忠実に再現したりしていて、アメカジのど真ん中のファッションなので、ジーンズとかのボトムスに似合うブーツのコレクションを展開しよう、と鈴木さんと話をしていました。

鈴木理也さん(以下、S)/ジェラードは基本的にヴィンテージのプロダクツをしっかりと復刻させています。そのジェラードの世界観に合わせて誕生したのがこの「ジェラード・ザ・ブーテッド」のエンジニアブーツなんです。

G/やっぱり最初は一番分かりやすいエンジニアブーツを作りたいって思っていたんです。そして鈴木さんとタッグを組んでやるからには、エンジニアブーツのつま先に先芯が無い方がいいよね、といったやり取りをお願いしたりしていました。僕らの商品ってヴィンテージの個体を忠実に再現するというブランドコンセプトがあるので、ブランドが所有するヴィンテージプロダクツの資産をまずは活かして、でもそこからアレンジしたりもして作るので、鈴木さんに今回も監修をしてもらいました。

S/なるべく再現できるところは再現しようとしました。ただし、やはり今のユーザーが求めているもの──ホースバットの革だとか、つま先に先芯がないものとか、そういう世の中のニーズを取り入れつつ、あとはヒールの湾曲もそうなんですが、このベースになっている後藤さんのヴィンテージのエンジニアブーツの特徴を取捨選択して、新作エンジニアブーツに落とし込んでいます。

「ジェラード・ザ・ブーテッド」の第一弾であるエンジニアブーツの1stサンプル。エイジングサンプルとして後藤氏が半年間履いて育て上げた。刻まれた皺や茶芯に凄みを感じる

M/それがシャフトのバンク(傾斜)の形だったりとか、この履き口の外から付ける剣先状のストラップだったりとかなのですね。カラー展開はブラックのみですか?

S/はい、ブラックのみになります。エンジニアブーツって、結構いろんなブランドがやってるんで、それとは違ったものにもしたかったんです。それに元ネタありきなので、元ネタでいいものをしっかり所有しないとできないんですよ。

G/そうなんです。やはり作りたいものがあった時に我々が所有していなければヴィンテージから探すとか、それを手に入れてからどう作るか、みたいな話しながら作っていくっていうやり方を行っています。

バックルの素材など、ディテールに至るまでしっかりと再現。

M/それにしてもよくこのヴィンテージを探してきましたね(笑)。あんまりにクラシカルすぎず、きちんとエンジニアブーツ好きを満足させつつ、人とは違う個性的になっているという、いい塩梅にデザインが完成していると思います。

G/バックルも当時と同じく鉄製で作るなど、そういった細かなディテールまでしっかりと復刻させています。

S/しかも形状も逆反りのものを作りました。

G/この逆反りの鉄製バックルなんてなかなか無いですしね。

S/1950年代は順反りの方が旧かったりするので、フィフティーズにこだわるところは順反りのバックルを使っている場合が多いから、なかなか逆反りはないです。

M/なるほど。あとシャフトの上部にあるストラップの付き方も個性的でかっこいいですね。

やや太めかつ傾斜したシャフト、逆反りのスチールバックル、剣先型の履き口部分のストラップエンドといった、随所の元ネタとなったヴィンテージのディテールを落とし込んだ

S/はい、しかも特徴的なのがベロが後ろから出ていて、そのストラップも後ろにオフセットしているんですよ。また元ネタになったヴィンテージはレザーソールだったので、新作のエンジニアブーツもヒールのトップリフトやソールをレザーにしています。ラバーよりもレザーのほうが軽くて柔らかくなりますし。ただレザーソールにはラバーの滑り止めを付けています。レザーソールだけだとかなり滑るので。元ネタがレザーソールだったこともありますが僕自身もレザーソールが好きなんです。ザ・2モンキーズを含めて携わるブーツは全部レザーソールとなっています。

M/「ジェラード・ザ・ブーテッド」の今後の展望を聞いてもいいですか?

G/アメカジの基本であるジーンズやチノパンに似合うブーツやシューズを展開しようというのがありまして、2024年のミッドシーズン(盛夏コレクション)で、USNのサービスシューズもラインナップする予定です。

S/ちなみに1941年に作られた木型で作ったので、41サービスシューズと呼称しています。

G/元ネタになるヴィンテージも程度が良い物を入手できましたし、何より鈴木さんが所有する1 9 41年に作られた木型を採用してこだわって作っています!

M/それはもの凄く楽しみですね。本日はありがとうございました!

右は最終サンプル、左はベースとなった1950年代製のヴィンテージのエンジニアブーツ。その特徴的なディテールを落とし込み、ジーンズやチノパンに似合う一足に仕上げた

ENGINEER BOOTS (Type-1) JELADO the BOOTED [JP94901]

Color_Black Size_US6.0(24㎝) ~ US11.0(29㎝) 全 11 サイズ Price_¥143,000

アメカジを引き立てるブーツやシューズを展開する新たなブランド「JELA DO the BOOTED」。第一弾は1950年代製と思われるエンジニアブーツが ベース。ブランドは不明ながら他にはないディテールが特徴的で、このブ ーツの木型を変えたほか修正を加えて新たなブーツに仕上げている。

ヴィンテージをモチーフにしながらも新たに木型を用意し、先芯を無くすことですっきりとしたシルエットを構築している。使用する素材は茶芯のホースバットレザーを使用する。

シングルレザーソールで低めのヒール、両サイドの低い位置でヒールのカウンターポケットに当たるバンプなど、元ネタとなる1950年代のエンジニアの特徴的な部分をしっかり再現。

3人のレコメンドを紹介!

「ヴィンテージの様に育つので経年変化させるのが楽しみ!」モヒカン小川

「普段からエンジニアブーツを愛用するので、この新作エンジニアーブーツを俺流に育てたいって思ったね。先芯無しとか茶芯のホースバットとか、俺の大好物だし(笑)。ディテールも変わっていてGOODだぜ!」

「ジーンズに似合うエンジニアブーツを作りました!」JELADO/後藤洋平

「エンジニアブーツはアメカジの基本なので、一番最初に持っといて欲しいブーツとして新たにコレクションを始動させました。なのでブーツ初心者でもジーンズやチノパンと合わせて使いやすくてカッコいいと思います!」

「個性的なデザインと経年変化を存分に味わってください!」ブーツのミカタ/鈴木理也

「一般的なエンジニアとちょっと異なる個性を持っています。例えば薄めの革ソールや低いヒール。それらは履きやすさにもつながります。ホースバットレザーならでは風合いとか経年変化の面白さを味わって頂けると嬉しいです」

【問い合わせ】
JELADO FLAGSHIP STORE
TEL03-3464-0557
https://jelado.com

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)

この記事を書いた人
ADちゃん
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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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