新コレクションのエンジニアブーツはヴィンテージのプロダクツを忠実に復刻。
モヒカン小川(以下、M)/ジェラードから新しいエンジニアブーツが登場するって聞いたんですが、どんな経緯で誕生したんですか?
後藤洋平さん(以下、G)/僕らは、「ジェラード」以外に「ザ・2モンキーズ」というブランドを鈴木さんと一緒にやっていますけど、このコレクションはアメカジより少しだけ外したところに、鈴木理也さんの世界観を全面に押し出しているので、個性的なシューズやウエアも多いんです。その一方でジェラードとしてはダブルエックスなどのジーンズを完全リプロダクトしたりとか、41カーキなどチノパンを忠実に再現したりしていて、アメカジのど真ん中のファッションなので、ジーンズとかのボトムスに似合うブーツのコレクションを展開しよう、と鈴木さんと話をしていました。
鈴木理也さん(以下、S)/ジェラードは基本的にヴィンテージのプロダクツをしっかりと復刻させています。そのジェラードの世界観に合わせて誕生したのがこの「ジェラード・ザ・ブーテッド」のエンジニアブーツなんです。
G/やっぱり最初は一番分かりやすいエンジニアブーツを作りたいって思っていたんです。そして鈴木さんとタッグを組んでやるからには、エンジニアブーツのつま先に先芯が無い方がいいよね、といったやり取りをお願いしたりしていました。僕らの商品ってヴィンテージの個体を忠実に再現するというブランドコンセプトがあるので、ブランドが所有するヴィンテージプロダクツの資産をまずは活かして、でもそこからアレンジしたりもして作るので、鈴木さんに今回も監修をしてもらいました。
S/なるべく再現できるところは再現しようとしました。ただし、やはり今のユーザーが求めているもの──ホースバットの革だとか、つま先に先芯がないものとか、そういう世の中のニーズを取り入れつつ、あとはヒールの湾曲もそうなんですが、このベースになっている後藤さんのヴィンテージのエンジニアブーツの特徴を取捨選択して、新作エンジニアブーツに落とし込んでいます。
M/それがシャフトのバンク(傾斜)の形だったりとか、この履き口の外から付ける剣先状のストラップだったりとかなのですね。カラー展開はブラックのみですか?
S/はい、ブラックのみになります。エンジニアブーツって、結構いろんなブランドがやってるんで、それとは違ったものにもしたかったんです。それに元ネタありきなので、元ネタでいいものをしっかり所有しないとできないんですよ。
G/そうなんです。やはり作りたいものがあった時に我々が所有していなければヴィンテージから探すとか、それを手に入れてからどう作るか、みたいな話しながら作っていくっていうやり方を行っています。
バックルの素材など、ディテールに至るまでしっかりと再現。
M/それにしてもよくこのヴィンテージを探してきましたね(笑)。あんまりにクラシカルすぎず、きちんとエンジニアブーツ好きを満足させつつ、人とは違う個性的になっているという、いい塩梅にデザインが完成していると思います。
G/バックルも当時と同じく鉄製で作るなど、そういった細かなディテールまでしっかりと復刻させています。
S/しかも形状も逆反りのものを作りました。
G/この逆反りの鉄製バックルなんてなかなか無いですしね。
S/1950年代は順反りの方が旧かったりするので、フィフティーズにこだわるところは順反りのバックルを使っている場合が多いから、なかなか逆反りはないです。
M/なるほど。あとシャフトの上部にあるストラップの付き方も個性的でかっこいいですね。
S/はい、しかも特徴的なのがベロが後ろから出ていて、そのストラップも後ろにオフセットしているんですよ。また元ネタになったヴィンテージはレザーソールだったので、新作のエンジニアブーツもヒールのトップリフトやソールをレザーにしています。ラバーよりもレザーのほうが軽くて柔らかくなりますし。ただレザーソールにはラバーの滑り止めを付けています。レザーソールだけだとかなり滑るので。元ネタがレザーソールだったこともありますが僕自身もレザーソールが好きなんです。ザ・2モンキーズを含めて携わるブーツは全部レザーソールとなっています。
M/「ジェラード・ザ・ブーテッド」の今後の展望を聞いてもいいですか?
G/アメカジの基本であるジーンズやチノパンに似合うブーツやシューズを展開しようというのがありまして、2024年のミッドシーズン(盛夏コレクション)で、USNのサービスシューズもラインナップする予定です。
S/ちなみに1941年に作られた木型で作ったので、41サービスシューズと呼称しています。
G/元ネタになるヴィンテージも程度が良い物を入手できましたし、何より鈴木さんが所有する1 9 41年に作られた木型を採用してこだわって作っています!
M/それはもの凄く楽しみですね。本日はありがとうございました!
ENGINEER BOOTS (Type-1) JELADO the BOOTED [JP94901]
アメカジを引き立てるブーツやシューズを展開する新たなブランド「JELA DO the BOOTED」。第一弾は1950年代製と思われるエンジニアブーツが ベース。ブランドは不明ながら他にはないディテールが特徴的で、このブ ーツの木型を変えたほか修正を加えて新たなブーツに仕上げている。
ヴィンテージをモチーフにしながらも新たに木型を用意し、先芯を無くすことですっきりとしたシルエットを構築している。使用する素材は茶芯のホースバットレザーを使用する。
シングルレザーソールで低めのヒール、両サイドの低い位置でヒールのカウンターポケットに当たるバンプなど、元ネタとなる1950年代のエンジニアの特徴的な部分をしっかり再現。
3人のレコメンドを紹介!
「ヴィンテージの様に育つので経年変化させるのが楽しみ!」モヒカン小川
「普段からエンジニアブーツを愛用するので、この新作エンジニアーブーツを俺流に育てたいって思ったね。先芯無しとか茶芯のホースバットとか、俺の大好物だし(笑)。ディテールも変わっていてGOODだぜ!」
「ジーンズに似合うエンジニアブーツを作りました!」JELADO/後藤洋平
「エンジニアブーツはアメカジの基本なので、一番最初に持っといて欲しいブーツとして新たにコレクションを始動させました。なのでブーツ初心者でもジーンズやチノパンと合わせて使いやすくてカッコいいと思います!」
「個性的なデザインと経年変化を存分に味わってください!」ブーツのミカタ/鈴木理也
「一般的なエンジニアとちょっと異なる個性を持っています。例えば薄めの革ソールや低いヒール。それらは履きやすさにもつながります。ホースバットレザーならでは風合いとか経年変化の面白さを味わって頂けると嬉しいです」
【問い合わせ】
JELADO FLAGSHIP STORE
TEL03-3464-0557
https://jelado.com
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2024年4月号 Vol.360」)
Text/A.Shirasawa 白澤亜動、Photo/N.Suzuki 鈴木規仁
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