プロに教わる、本気の革ジャンメンテ術。

「革ジャンメンテはどうすればいいの?」「ぶっちゃけ、革ジャンメンテの頻度がわからない……」そんな声をよく耳にする。だったらプロに聞いちゃえばいいんじゃね?ということで行ってきました、私モヒカン小川。お話を伺ったのは、Mモゥブレィやサドルアップといったレザーケア商品を扱うR&Dの湯浅和洋さん。レザーケアマイスターの資格を持つプロフェッショナルだ。大切な革ジャンを末長く愛するために、正しいメンテ法をマスターすべし!

左がR&D の湯浅さん。日本皮革メンテナンス協会認定のシューケアマイスター/レザーケアマイスターの資格を持つプロフェッショナルだ

1.定期的に行いたいフルメインテナンス法。

まずは、きっちりと全てを行うフルメインテナンス方法から。湯浅さん曰く、「1カ月に1回、少なくとも3カ月に1回はやってもらいたいですね」。よく、メンテをし過ぎるとカビが生えるという話を聞くが、それは古いオイルをリセットしないからだと湯浅さんはいう。「古いオイルが残った状態で、また上からオイルを入れてしまうと、オイル過多でカビの原因になりかねません。きちんとクリーナーで古いオイルをリセットすることをお勧めします」

こちらがフルメンテを行う際に使用する道具。右からポリッシュレザーグローブ、ライニングフレッシュナー、レザーエイジングスプレー、レザーオイル、レザーミルク、レザークリーナー、馬毛ブラシ(全てサドルアップ)

まずはホコリ落とし。毛足の長いLサイズの馬毛ブラシを使う。パーツによってホコリの溜まり方が違うので、いろんな方向でブラッシング。襟裏やプリーツ裏も忘れずに。

レザークリーナーでクリーニング。布にコイン一枚分くらい染み込ませ、小さな円を描くように素早く拭いていく。強くする必要はなく、あくまで軽くマッサージする感じで。

レザークリーナーを使用する際は、革の傷みを確認しながら入念に拭いていく。特に裾や袖口は革が掠れやすいので重点的に行う。クリーナーは古いオイルもリセットしてくれる。

次は栄養補給。上の写真、左が艶を出したい人用のレザーミルク、右がマット仕上げのレザーオイル。今回はレザーミルクを使用。コーヒー豆一粒分くらいを布に塗布する。

レザーミルクは回数を分けて少しずつ塗っていく。艶感を出すとはいえ、ビジネスシューズのようなビカビカになるわけではなく、革ジャンに適した艶感が広がっていく。

艶出しのブラッシング。毛足が短めで艶出しに適した馬毛ブラシ(M)を使用。ブラシの全体を使って押し込むようにブラッシング。ただし、力はそんなにかけずに軽く行う。

次は仕上げの工程。栄養と防水効果のあるレザーエイジングスプレーを全体に吹き付ける。この際、軽くさーっと表面に乗せる感じでスプレーしていくのがコツ。

レザーグローブで乾拭き。このレザーグローブは表がボア、裏が山羊革の起毛になっており、まずはボアでクリームやオイルを馴染ませ、次にスエード面で光沢を出していく。

お次はライニングフレッシュナー。ライニングの消臭・除菌スプレーで非常に重宝する。脇の下や背中、襟元を重点的に。このスプレーはヘルメットやキャップにも使える。

2.不精者のためのメンテ方法。

「フルメンテの方法はわかったけど、なんだかめんどくせー」という不精者のあなたには、このメンテがお勧め。確かにフルメンテは時間もかかるし大変だけど、これは簡単な方法なので、定期的にやることをお勧めしたい。不精者の私モヒカン小川も、この方法なら定期的にできそうです(笑)

使う道具は、馬毛ブラシとレザーグローブ、レザーエイジングスプレーのみ。これなら簡単そうでしょ? 大切な革ジャンを守るためなら、少しは頑張りましょう!

まずは馬毛のブラシでホコリを取る。この写真では机に置いて作業しているが、ハンガーにかけた状態でもOK。目に見えないホコリもあるので、ブラッシングは入念に。

栄養と防水効果を与えるレザーエイジングスプレーを吹き付ける。あくまで軽くスプレー。

あとはレザーグローブで乾拭き。ね! 簡単でしょ?

3.スエードのメンテってどうなのよ。

革好きでも意外と知られていないのがスエードのメンテ。でもコツを掴めば簡単! 基本はブラッシングでOK。スエード靴にも応用できるので是非やってみて!

使う道具はいたってシンプル。起毛用のスエードブラシとレザーエイジングスプレーのみ。表革とはまた違うメンテ方法なので、やってみると案外面白い!

このスエード用ブラシは、中心が波型のワイヤー製になっていてスエードの毛並みを傷めづらい。手首を返す感じでブラッシングをしていく。このブラッシングで寝ていた毛を起こしていく。

あとはレザーエイジングスプレーを吹き付けるだけ。

これは裏技。レザーグローブのスエード面は、金属パーツを磨くのにも最適。ワンスターもピカピカに!

【問い合わせ】
R&D
TEL03-3847-2255

(出典/「Lightning 2024年2月号 Vol.358」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

Pick Up おすすめ記事

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...