都会の街並みに溶け込む、戦前の英国モーターサイクル。

かつては世界のバイクシーンをリードしていた英国車。その黄金期であった戦前となると80年も前になるが、現在でも十分に楽しめることを石嶋さんが証明してくれた。

手間の掛かる感じが、戦前の英国旧車の醍醐味。

「アディクトクローズ」のオーナーであり、ヴィンテージUKモーターサイクルジャケットの研究家でもある石嶋さん。

その愛車は複数台があるが、特に気に入っているのが、今年から本格的に乗り始めた’26年製のレックスアクメ・350スポーツ。

数年前に手に入れていたが、ようやく今年になって完成した。

英国旧車が愛車の人は多いが、そのほとんどは戦後のもの。戦前になると愛用者はグッと台数が減る印象がある。その魅力はどこにあるのだろうか?

手慣れた様子でエンジンを掛ける石嶋さん。この日は軽く雨が降っていたため、オリジナルのオイルドジャケットを着用。バックにロゴ
がプリントされていて、さり気ないアクセントになっていた

「英国のバイクは第二次大戦前までバイクシーンを牽引する存在であったと思います。現在では数えるほどですが、かつては数多くのメーカーが存在しレースを始めとした競争の中で切磋琢磨を経て沢山の魅力的なバイクを産み出して来ました。

レーシングモデルからツーリングモデル、入門用モデルと色々ありますが個人的には軽量な車体にパワフルなエンジンを搭載したガーダーリジッドのスポーツモデルが好みです。

このレックスアクメ350スポーツは通勤にも使っていますが、操作も複雑ですし、ブレーキの効きも決して良いとは言えない。片道30分でも頭を使いながら、色んなことをシミュレーションして乗っています。

その手間の掛かる感じが面白いというか、戦前の英国旧車の醍醐味なのではないかと思います」

【1926 REX-ACME 350 SPORTS】マン島TTでも活躍した戦前英車の名作モデル。

イギリスがバイクの生産を始めた黎明期から存在したレックスは、1922年頃にライバルだったアクメと合併しレックスアクメに社名を変更。

1933年にバイクの生産を終了するまでの約10年の間でマン島TTなどのレースシーンで好成績を収めた。

この車両は同メーカーの代表的なアウターフライホイールが特徴のブラックバーン社製350㏄OHVエンジンを搭載。

プリミティブな構造のBest & Lloyd 社製のコンスタントロス方式のオートマチ ックオイルポンプを装備。手動ポンプに代わる1920年代の最先端パーツ
アウターフライホイールが特徴のブラックバーン社製350㏄OHVエンジン。きっちりと整備しているので、高速での100キロ巡航でも余裕があるのだとか
1922年頃に競合だったアクメと合併し、 レックスアクメというメーカー名に。 1933年にバイクの生産を終了したので現存数はかなり少ない
手動の進角を始め、戦後のオートバイとはまったく異なる操作性もこの年代の魅力。アクセルも2本のレバー式だったがグリップ式に変更している

戦前のノートン& BSA もクール!

英国旧車専門のバイクショップを併設する「アディクトクローズ」には、石嶋さんの私物や商品、お客さんの車両など、戦前のヴィンテージバイクが多く並ぶ。どれもタマ数が少なく、市場には滅多に出ないスペシャルなモデルばかりだ。

1935 NORTON MODEL18

ノートン単気筒ラインナップの大黒柱であるモデル18。79×100㎜の伝統のロングストロークエンジンを搭載。チェ・ゲバラの愛機としても有名。

1939 BSA B-25

希少なガーダーフォーク、リジッドフレームのコンペティション車両。灯火類、発電機などを装着することにより公道走行も可能に。

(出典:「Lightning 2017年11月号 Vol.283」)

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