野球好き必見!ベースボールグッズのヴィンテージ市場価値とその魅力とは?

  • 2021.10.24  2021.03.17

Lightning本誌で長年好評をいただいている連載「ヴィンテージ・マーケット」。おもちゃからアパレル、クルマまで様々なヴィンテージアイテムの魅力と市場価値を紹介してきた。

今回取り上げるのは、アメリカの国技として挙げられる「ベースボール」のヴィンテージグッズ。また日本よりアメリカでのコレクターが多いとのことから、ヴィンテージの市場価格はドル(2020年11月の日本円レートも併記)にて紹介していこう。

米国野球史を色濃く残すヴィンテージは、後世へ繋ぐ資料である。

日本人にも馴染み深いベースボール。少年野球から始まり高校野球、そしてプロ野球と身近に感じる存在だが、意外にもヴィンテージのベースボールグッズを収集している日本人は少ないとか。

逆に一大市場を形成しているのがアメリカ。その起源は明確ではないが、イギリスの球技であるタウンボールがイギリス系移民によって1830年代頃にアメリカに持ち込まれ、ベースボールとしてアメリカ全土に根付いたという。

そんな歴史からか、ユニフォームやグラブといった道具類、メジャーリーガーのトレーディングカードなどに至るまで、コレクタブルな品々が全米各州で開催されるトレードショーやコンベンション、ミーティング、オークションなどで、高値で取引されている。

そこで自身もベースボールグッズを収集中という、業界きっての野球好きとして知られる、「ウエアハウス」の藤木将己さんの元へ訪ね、彼のコレクションを軸に、コレクター市場の話を伺った。

「ウエアハウス」プレス・藤木将己さん|ウエアハウスの名物プレスとして活躍しながら、ショップ別注アイテムなど様々な企画も担当。幼少期に野球を始め、現在も草野球チームに所属するほど大の野球好き。野球少年時代のワクワク感を求め、日夜ヴィンテージのベースボールグッズを世界中で探索中!

「ヴィンテージのベースボールグッズはアメリカ本国での人気が高く、とくにメジャーリーグのコレクタブルな物──ウエアにしてもグッズにしても、日本の市場で流通するのは稀なんです。僕が収集する物選びの基準は、その当時の歴史や生産背景といった、モノ・コトを感じられるものに惹かれることが多い。手に入れたアイテムひとつとっても、その背景に隠れた事実を紐解くのが面白いんです」

ヴィンテージのベースボールグッズ市場価値を知る!

ヴィンテージのベースボールグッズにはその時代の趣や選手たちの情熱が詰まっている。その細部を丁寧に紐解いていくと、よりその深みにハマっていくという。そこでヴィンテージウエア全般に造詣の深い藤木さんが虜になった、コレクタブルな逸品の価値を教えてもらおう。14アイテムをピックアップした。

1.【1931年】MLB 日本ツアージャケット(スポルディング製)

1931年にアメリカのメジャーリーグ・オールスターチームが日本との親善野球に来日。そのメンバーであるセントルイスカージナルスのフランク・フリッシュ選手が実際に着用していた、スポルティング製の逸品。その価値は最低でも1万ドル(約103万円)、全米のオークションなどに出品したら、さらに高値が付く事は間違いないであろう。

2.【1900~1910年代】ユニフォーム(メーカー不明)

ロープ染色のインディゴ生地が使われた、世にも珍しいベースボールユニフォーム。しかもセットアップでそろうのは相当レア。旧いワークウエアと同じ折り伏せステッチや、パンツの中央に縫われたベルトループと革の補強など歴史を感じるディテールが満載。アメリカでの相場は1500ドル(約15万5700円)ほど。

3.【1990年代後期】ゴールドグラブシリーズ(ローリングス)

ノーラン・ライアンやカル・リプケン、オジー・スミス、そしてケン・グリフィーJrといった往年のメジャーリーガーたちがローリングスを愛用していた’90年代終わり頃のゴールドグラブシリーズ。ハート・オブ・ザ・ハイドと呼ばれる、厳選したステアハイドを贅沢に使うUSA生産の逸品。希少色のブルーで1500ドル(約15万5700円)、ブラックで800ドル(約8万3000円)、タンで300ドル(約3万1100円)

4.【1980年代】ベースボールキャップ(ロマン プロ)

「ウールサージの生地感と形が最高に良い!」と、評するBBキャップはローマン・プロ社のもの。元々MLBチームに帽子などを供給するKMプロ社製品の刺繍を手掛けていた、ローマン・アート社が前身で、KMプロ社の倒産に伴い資材と在庫を引き取り、ローマン・プロ社が誕生した。しかしMLBの方針で選手用帽子市場から締め出され1994年に操業を停止する。相場は60ドル(約6200円)ほど。

5.【1950年代後期】ファーストミット(ハッチ)

’50年代のハッチ社製ファーストミットは、現代の形状に移り変わる前の、発展途上らしい味わい深い形状を持つ。これはシンシナティレッズのテッド・クルズスキー選手のシグネチャーモデル。旧いので相場は高いかと思いきや、実用性が低いため相場は150ドル(約1万5570円)前後。

6.【1940年代】ベースボールジャケット(スポルディング)

BBジャケットのルーツを感じさせる’40年代らしい佇まい。スポルディング製のこちらは黎明期に当たるボタン留めの物。一重のメルトンウールにディアスキンの袖と贅沢な作り。ロックミシンのパッチポケットもいい雰囲気を醸し出している。シニールの形からおそらくシンシナティにあったチームの頭文字と思われる。相場は700〜800ドル(約7万2600円〜8万3000円)。

7.【1950年代】ファンウエア(グレンガリー)

アイビーリーグ所属の大学や、アーミー・ネイビーの士官学校の名を持つ旗と共に、野球ボールのマークを落とし込んだファンウエア。「このボールがビリケンさんに見えてしょうがない」とは本人談。探すと意外と見つからない物だけに150ドル(約1万5500)前後のプライスがつく。

8.【1920~30年代】ユニフォーム(メーカー不明)

キク穴のガゼットが付いた脇の作りが旧さを感じる。手間の掛かる縫製だけに、そのしっかりとした作りは見事。ルー・ゲーリック選手がマイナーリーグ時代に所属したチーム、ハートフォードセネターズ関連のアイテムと思われる。状態の良さから700ドル(約7万2680円)は下らない。

9.【1980年代】ベースボールキャップ(ニューエラ)

‘80年代のNEW ERAは庇の裏地がグレーで、これ以前はグリーン、そして新しいと共地になる。米国人コレクターが多く状態の良いものは年々枯渇。「P」はパイレーツのデッドストック、「G」はジャイアンツでユーズド。通気孔がキク穴となるのもこの時代まで。80ドル(8300円)。

10.【1980年代】ベースボールジャケット(海軍兵学校)

米海軍アナポリス士官学校の野球チームが着用していたBBジャケット。海軍と言えばネイビーが基調のイメージだが、意外にもオフホワイト×イエローの組み合わせも多い。光沢感の強いサテン生地も当時の流行だ。ちなみに旧くはメルトン生地が主流で、やがて機能性の高いフリースとなり、そしてサテン生地へと移り変わっていく。相場は70ドル(約7260円)。

11.【1920~30年代】ウエスボール(メーカー不明)

物資が不足した世界恐慌の時代、ウエスと呼ばれる端布を丸めて作ったボールで子供たちはベースボールを楽しんでいた。その原料は縫製工場などで余った生地を流用したもの。ウォバッシュ生地など、当時の時代背景を想像できる素材感もたまらない。セットで150ドル(約1万5570円)の相場観。

12.【1960年代】ベースボール・ノダー(メーカー不明)

首振り人形をアメリカではベースボール・ノダー(うなずく)と呼ぶ。全球団のマスコットを未使用品で所有したら何百万円もの価値がつく。これは冒頭のフランク・フリッシュ選手が所属したセントルイスカージナルスのマスコット。陶器製のため壊れやすく現存数は少ないため相場は250ドル(約2万5960円)。

13.【1970~80年代】ベースボールファンT(チャンピオン、ヘインズ)

‘60年代の頃までMLBチームに根ざしたファングッズは数多くなかった。それが’70年代に入ると様々なファングッズが作られるようになった。特に旧いチームロゴなどは高値が付く傾向にある。左上のマリナーズ旧ロゴは80ドル(約8300円)、右上のパイレーツは50ドル(約5190円)、手前のカブス旧マスコットは150ドル(約1万5570円)ほど。

14.【左:1950年代・右:1970年代後期~80年代前期】カレッジベースボールキャップ(左:メーカー不明、右:ザ・プロ)

「クラウンの高さといい、バランスの良い形はポテンに別注したいぐらい」と絶賛する大学野球リーグのBBキャップ。右は今は無きTHE PRO社のマイアミ大学のスクールカラー。NCAAのタグ付きで60ドル(約6220円)ほど。左は’50年代のハーバード大学の物で、先入れ刺繍など旧い縫製。アイビーリーグの人気大学だけに250ドル(約2万5950円)。

資料的価値も高いベースボールグッズだが、じっくり眺めていると、当時の熱狂がおのずと目に浮かんでくる。元の持ち主たちが熱狂渦巻くスタジアムに身に着けて足を運んでいたのかと、想像して楽しむのもまた一興。もちろんデザインや素材も現在のものとは違うので、ファッションとしても魅力的だ。

(出典/「Lightning 2021年1月号 Vol.321」)

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